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ランディの帰省(vs.虎人国編)

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 「竜が呼べないなら私には意味がない儀式です」

デヴィッドはギルド所属の魔術師の事を思い浮かべては無理だ、と考える。

「聞きたい事はあるが……逃亡予防にこれを着けてもらう」

ハルバーの利き手の手首に魔法が使えなくなり異常に腕が重くなり上げられなくなる腕輪を着ける。

「さて、と」

そう言った途端デヴィッドは自前の転移魔法で拠点に飛んだ。靴のまま拠点のリビングに立つ。

「すまん、緊急事態だ」

デヴィッドはハルバーの首に己が腕を回しがっちり抱え込んでいる。

「アキラ、ブラッドの捕縛袋とあの蔦の縄を:

そう言われアキラはブラッドの工房へ行く。ブラッドは手にあの蔦から作った縄と捕縛袋を持っている。まず何も聞かず暴れるハルバーを上手に縛り上げる。そして首から下を捕縛袋に入れる。きんちゃく型の袋に人がおさまっている姿は何とも間抜けである。

「ブラッド、こいつから情報を引き出せ。こいつがなにものなのか、とか」

「少しなら俺が情報もってる」

ヨアヒムがハルバーを見て言う。

「若いころに世話になったよな。……あんたの事忘れてないよ。ハルバーさん」

ヨアヒムの纏う空気がきな臭い。

鉱山ヤマ見つけるより前、多分ヴァイキー達と知り合うより前だな。あんたの仲間にスカウトされたの」

しゃがみこんでハルバーの顔に自分の顔を近づける。

「『』が誘い文句だったよな」

ハルバーはヨアヒムから眼を逸らしている。

そこでアキラに念話が入る。

『こっちにある召喚陣は文言を変えて『竜王を呼び出せ』になってたけど埋め込む術式がまちがっているので召喚陣としては作動しない。同じ術式使ってるなら他の国も大丈夫だけど大量の砂を作る魔法陣になっちゃってるのでやった場所で大量の砂が発生する。後始末は大変だけど関わった教会や土地はどこかわかると思う、ってデヴィッドの所に行って伝えてくれる?』

シルバーだった。シルバーが陣を潰す為に陣の内容を追い、呪物つぶしはゴールしがやったらしい。シルバーには今デヴィッドがなんか関係者っぽいエルフを連れてリビングに立ってる事を伝える。アキラがデヴィッドにシルバーからの情報を告げる。

「そうか……、中央平原でそれをやる予定らしいけど」

クロが降りてきた。クロはこの家でのやり取りは部屋の中で聞いていたしアキラとシルバーの念話をアキラはクロに念話で話している。

「アキラと行って調べてくる」

「俺も行く。なにがどうなってるのか知りたい」

デビッドは言う。

「じゃこっちは自白剤使ってみるよ。実験中のやつだからどうなるかわからんけどな」

「出来たら生かしておいてほしいけどな」

「完全に保証はできない」

デヴィッドの言葉にヨアヒムは楽しそうに答える。

「知ってる事は全部書いておくよ。……酔っぱらって記憶無くなるまで飲んだ時に多少聞いてるからな。自白剤の前に酒飲まして聞き出すのもありだな」

「私はそんな脅しには負けないぞ」

ハルバーが言うとヨアヒムはあきれた顔になる。

「あんた……自覚ないんだな。めったに他人と飲まないから他人と一緒だと寄ったら陽気になるし口も軽くなるぞ?」

「え?」

「自分で言ったじゃないか。『他人と一緒だと酔うとやばいから、他人といる時は飲まないようにしてる。本来は他人と飲むのは好きなんだが』って」


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