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ランディの帰省(vs.虎人国編)

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 足音を立てないように、目立たないようにと気を使いながら3人は当主夫妻の寝室の前に立つ。

「こっちの部屋から気配がある」

「ここはさすがに鍵を預かってないからな。奥様の部屋だよ、こっちは。真ん中が寝室でその隣がオヤジの部屋」

ランディが解説し、付け加える。

「多分ね。俺の母親の部屋はここの上。母の部屋が3階の時はオヤジの執務室も個室も三階だったな。オヤジは爵位はないんだけど最初は趣味で花の種を旅の間に買って、こっちで育ててたんだよ、爺やのためもあるんだけどさ」

ランディたちはゆっくり歩き上の階へ向かった。

「ここが母の部屋だよ」

と言い3階の一番奥の部屋の扉を開ける。ランディは部屋の中で少し眉を顰めている。

「どうした?」

「いや、なんか……他人の気配が残ってる」

「ここ、なにかあります」

そこに飾られたランディの母親であろう美女の肖像画の真下あたりをルトガーは指さした。

「あと2階の部屋の呪物もその真下辺りだと思います」

レッドは知覚の精度をあげた。

「おれあんまり魔法得意じゃないけどな、下の呪物と多分そこで行われた儀式は繋がってるが……閨系の呪術だと思う」

レッドが続ける。

「シルバーかオールだともっと詳しく分析できるはずだ。ルトガーはまだ呪いか祝福かの区別がつくぐらいか?」

ルトガーは頷く。

「まだ詳細が読めるようにはなっていません。ただこれ違和感はあるんですが女の子がするおまじないと同じ匂いがする」

「まさにその系統だろうな」

ルトガーは学生の頃一部の女子から同じ匂いがするのを不思議に思っていたのだがオールに着いて魔法の勉強を始めて『あれはおまじないの匂いだったのか』と納得したのだ。オールが用意したルトガーでも触れそうな呪物の中に『恋愛成就のミサンガ』があってそれの放つ独特の感覚が学生時代に感じたものだったのだ。

「ならほっておいても?」

ランディがいうとレッドは首を傾げる。

「好きにすればいいけど、オヤジさんだろ?一応そういうことされてるってのは言っておけばいい。その上でどうするかはオヤジさんしだいじゃないの?」

「そうか、そうだよな、異変に気が付いたけどそこから後はオヤジの管轄だもんな」

ランディは頷いた。

「とりあえず戻ろうか」

「いや、その前に鍵を渡してくれた執事と話したい」

ランディにレッドは言う。

「なら、我々用に用意してくれた応接室に戻りませんか?オールがあの部屋の盗聴用の魔道具を全部壊して、適当な会話を流すようにしてあるんで」

ルトガーが提案し、そういうことになった。



 「お呼びですか?」

通りすがりのメイドを呼び止め執事を呼んでもらった。

「ああ」

ランディが何か言おうとすると『盗聴器があります、ご友人方に話して貰って要点は筆談でお願いします』と書いた紙をだす。ランディは頷いてルトガーとレッドに紙を渡すとルトガーもレッドも頷き、

「なぁ、今日は拠点の夕飯なんだろうな」

「気になりますね」

などと話始めた。


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