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ランディの帰省(vs.虎人国編)

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 ランディは正々堂々と町長の家に行き、話したいことがあるといってリリーを連れて冒険者ギルドへ向かった。こぎれいな恰好の少女は既に女の媚態を身に着けている。ランディはリーの経験値じゃ負けるわな、と思う程度のは色気を振りまいてる。

 「あのね、りー。もう終わった話よね?近寄るなとも言ったよね?」

リリーは最初から喧嘩腰だった。

「あんまりしつこいから街から追い出したのに。なんでまた戻ってきたの?」

リリーは虎人混じりらしい、そして総じて虎人の女は気が強い。

「若いときは短いの、今のうちに稼がなきゃいけないのよ。女で稼げる間は私は女で稼ぐわ。邪魔しないで。これが最後よ。二度と会わない」

リーが言葉を発する隙もなかった。

「あんたらは客としてもとらないから」

リーははっきり少年達に言い渡すとランディに頭を下げて出て行った。レッドが送っていくといいリリーを追いかけた。

「リリーなりの巣立ちだと思う」

リュカがぽつっと口を開いた。

「俺達と離れる、のがリリーの決断だ。その裏になにがあっても俺達が否定はしちゃいけないと思う」

半ば自分に言い聞かせるように、そしてリーに言い聞かせるように言葉を発するリュカは少し苦しそうでもあった。

「それは……俺が虎人だからか?」

リーは苦しそうに吐き出す。

「違う。男と女は女の方が先に大人になるから……、俺達とは違う道が見えたんだと思う」

リュカ以外の少年たちは沈み込んでいる。

「そういう時は、やけ食いだ。リュカ達は酒はいけるのか?」

「俺以外はまだ飲ませません。18過ぎて自分で稼いで初めて飲んでいいんだって院長に言われたし」

「どこの?」

「孤児院の」

カイはリュカと会話しながらもこいつらどーすっかな、と考えていた。



 レッドは帰ってきて傷心の少年たちにいう。

「暫くこの街でろ。預かり先はある。うちのクランで面倒を見るから」

「クラン?」

「ああ、ちゃんと冒険者ギルドにも登録されてるぞ。『竜の探索者』ってクランだ。まだ新しいから人もそうは多くない。辺境に、元のモンド国に拠点もあるからそこに連れて行く」

オールがさらっと

「連れて行くのは俺ね。向こうには世話ができるやつがいるからそいつに鍛えてもらうといい。ある程度目途がたったらこっちに帰るなり色んな国に行くなりできる」

という。リーは首を横に振る。

「虎人だとどこに行っても……まともにはあつかってもらえねぇ」

レッドがきっぱりと言う。

「リーが辛い目にあったのはわかった。だがな、うちの拠点はドワーフもいる。ヒトもいる。そんな所だ。冒険者には蛇人もいるし狼人も猿人もいる。リーが自由になれる場所だと思う。ただ、この辺りはいわゆる辺境だ。人の数が少なすぎてお互いを見てる。そんなところで過ごすのは一人だけ異質に感じられて辛いと思う。竜人すら少ないだろう、この街」

そしてレッドは思い出したようにリュカに声をかける。

「リュカ、あの娘からこれを返してくれってさ。『長い間借りててごめん』って」

レッドはリュカの手に赤い石の着いた指輪を置いた。リーがかっと眼を見開く。

「それ、リュカのお母さんの指輪じゃん」

「そうだな」

リュカは暫く目を閉じていた。そして眼を開けると言った。

「心残りもなくなった。俺はこの人たちの提案にのる」


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