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ランディの帰省(vs.虎人国編)

01

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 「じゃ、南の森まではオール達を乗せる、と。で一旦そこでキャンプして」

レッドを中心にランディの帰省計画を練る。

「ランディは途中で寄りたい街とかあるか?」

「あー、メイデには寄りたい。昔馴染みがいるんだ」

皆、ああ、女かと考えたがランディの答えは違った。対象は女性ではあったが。

「従姉がな、ギャンブルのつけで結局神聖娼婦に落ちてな。一応、偶に稼ぎを神殿に納めて従姉の借金の一部を返してるんだ」

「……派手に金使ってないのにいつも節約してるから家でも買うのかと思ってたぞ」

魔剣がぼそっという。こういう時誰よりも人間臭い反応をするのがこの魔剣だった。

「ははっ。ま、偶には女と遊んだりもしてるんでな。拠点もあるし、竜人国には普通に小さい家持ってるしな。男4人でむさくるしくていいなら家に泊まれるぞ」

「ふむ、ねぐらがあるのは悪くないな」

ヴァイキーが呟く。

「みんな竜人国ドラクールは初めてか?」

ランディが聞く。レッドは

「ここ300年近く行ってないな。あと空も飛んでない」

ランディがなにか納得した顔になった。

「多分、竜の存在を疑いなく信じてるのは俺の世代くらいまでだな。金の竜様、銀の竜様が空で見られたからな。ただし基本、黒の竜様、青の竜様は伝承が少ない。基本虎人国の竜として語られる。赤の竜様は暴虐の竜と呼ばれていて、我々が不敬な事をすると国を焼きに来るという話になってるんだ。

レッドは笑う。

「少し身に覚えはあるな。大分前、その国の王子が魔法も使えて剣の腕もよくてな。が、乱暴者で手が付けられず、決闘を挑まれたからブレスで追い払った。そこからそういう伝説になったんじゃないかな」

魔剣が小さな声でしっかりと皆に聞こえるように言った。

「多分、それ、俺」

「は?」

ヴァイキーが驚いた声を出す。

「もう人の時の記憶ほとんどないけど、暴れん坊だった事とか、なにか大きなものに焼かれたあともっと大きな……夜みたいな竜に『剣となって償え』と言われた事はなんとなく覚えてるんだよ」

「……トラヴィス王子、か?」

レッドの問いかけに魔剣は答える。

「人の時の名前なぞ時のかなたに流れた」

魔剣は本当に覚えてなかった。

「そうか。ま、魔剣トラヴィスってことにしとこうか、そうすると名を呼べる」

ヴァイキーの言葉で魔剣の柄にある赤い宝石はきらきらと光を帯びた。
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