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海の後始末の章

07

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 アキラは再度自室で寝た。レッドはゴールディを彼女の私室に寝かせる。少し考えてシルバーも私室に入れる。シルバーの部屋はやばかった。何もないのだ。レッドはぶつぶつ言いながら外で使うためのマットレスを出しその上に転がし、やはりキャンプの時用の掛布をかぶせる。シルバーはむにゃむにゃ言っているがよくわからない。

 レッドは一息つくとクロが帰ってきた。

「あんたは寝ないの?」

「儂は本体を出してないしメンテナンスは済ませてある」

「そうなんだ。ゴールディがまだあと1週間かかるって」

「ん」

そう言ってクロは悪い顔になる。

「デヴィッドとチャーリーにはあと一週間、泣いてもらおうかの」

クロは悪い顔のまま笑う。




 シルバーが目覚め、ゴールディも目覚めた。後はアキラだけだ。

「レッド、手間かけさせてすみません」

シルバーはレッドに礼を言う。

「拠点の部屋があのありさまって知らなかったよ」

「横になったら眠れますからねぇ」

「……あのマットレスと上掛けは渡すけど、もう少しなんとかならねぇの?」

「床があるだけまともなねぐらかと……」

「人といるんだからもう少しまっとうにしてくれ」

レッドの方が人と暮らす事を理解しているようだ。

「マットレスとかで寝た方が端末の疲れも取れる」

レッドが己が経験からシルバーにアドバイスする。

「端末のコンディション調整も必要だろう?こっちは黒龍が調整してくれるわけじゃないんだし」

「まあそうですね」

シルバーは相変わらずのほほんとしている。その後、ゴールディからは枕を贈られ、ニーアから手作りのパッチワークの上掛けを贈られてシルバーの部屋は少しましになった。



 アキラは眼を覚ますとまず風呂に向かった。風呂につかっていると朝仕事を終わらせたジュニアが入って来た。

「アキラ、起きたか」

「うん。良く寝た」

「すっきりした顔になってるな」

「ん、いい夢も見れたしな」

「みんな心配してたぞー。レッドが起きてくるまで宗介とヨアヒムでアキラに水分とカロリーとらせてた」

「レモネード?」

ヨアヒムは食欲がない相手にはなにかとレモネードを飲ませる。アキラとしても正しいよな、とは思っている。はちみつのカロリーとレモンのクエン酸で手っ取り早い、と。こちらにはエナジードリンクはないから余計に。あと熱中症用のドリンクもヨアヒムは作っている。経口補水液の味そのままなので熱中症になってないとまずいとしか思えない味だった。経口補水液は一般的な意味での錬金術師ギルドにレシピが置いてある。ヨアヒムはこの経口補水液は自分たちが使うより、道端で具合悪い人に使う事が多いと笑っている。

「そう。あの甘くて酸っぱいやつ、アレのハーブ抜きを朝作業の後作っておいててくれることあって、あれがまた旨い」

ジュニアは嬉しそうに言う。

 アキラは湯船からあがりさっと体を乾かすとちょっと前に東の国の商会のジョージから貰った服を着る。木綿で作った甚平った。さらっとした着心地がとてもいい。
 下にいりていくと宗介の眼が丸く開く。

「アキラちゃん」

「宗介、おはよう。……腹減った」

宗介は破顔一笑し、まずはアキラにニーアがいつも朝ごはんにたっぷりと作る野菜スープを渡す。

「何食べたい?」

「……鶏。あ、卵も」

「んなら親子丼やね」

と言いながら大きなフライパン一杯に親子丼の具を入れる。

「ようさん作っといたら食べる子おるやろ」

宗介の言葉にニーアが笑顔で頷く。

「私、鳥の卵とじだけ食べたい」

ニーアに宗介が教える。

「これはな米と一緒やなかったら親子煮っていうたらええねん」





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