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海の姫の章
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「で、こちら。マルクとニーア夫妻。カイが治療かつ療養してる間王都の台所を担ってくれる」
アキラにマルクとニーアを紹介されカイは頭を下げる。
「ニーアさんが人妻なのはちょっと残念だな」
「くどくのに時間がかかりましたよ」
マルクとカイはしっかりと握手をする。ニーアはころころと笑っている。
「ごめんねぇ。こっちと違って冬のベリーがあったから摘んでたら遅くなった」
翌朝になってオールとルトガーは帰ってきた。エドガーが帰ってきたら連れ帰るつもりだったが受け入れられたようだった。
「じゃはじめ……るには不向きな体調っぽいね」
「マルクと二人沈んでる。宗介のペースで飲んだみたいで」
「おっちゃん、強すぎる……」
酒の量で負けたことのないカイは呻くように言った。マルクも二人につられて自分の酒量より飲み過ごしたようだった。
「ニホンシュとかいう米の酒、やべぇよあれ。すいすい飲めて何のつまみでも旨いんだもの」
「おっちゃん……。なにつまみにだしたの?」
アキラがよっぽど特殊なつまみを出したのかと宗介に尋ねる。宗介はオールが積んできたベリー類を綺麗に洗っていた。半分は北の強い蒸留酒に砂糖と一緒に漬けるのだとか。もう半分はジャムにするらしくこちらは鍋の中で砂糖にまぶされている。
今、台所は冬の薄い緑色のベリーの甘くさわやかな匂いがしている。
「えーと、きんぴらとパースニップのバター焼きとか肉とキャベツ炒めたのんとかやで?米の酒なんやから米にあうもんはなんでも合うよ」
宗介は後半は半分死体のカイに向かって言っている。ベリーの酒はニーアやマルクが飲むのにいいと思っているが二瓶出来たので片方は拠点に置いて、ユリアーナやブラッドが薄めて楽しむといいと宗介は思っていた。
六週間立ったが海の王子から連絡はなかった。商会長からは『どうもトカゲモドキの処遇についての話し合いが上手く言ってないようです。あと奥の院に末の姫の端末を放りこんだところ本体も入れろと要求されたらしいので本体の確保を引き続きお願いします』と連絡があったらしい。今は本当に忙しいらしくゴールディに対するちょっかいも全くない。ゴールディは楽しくギルドで働いている。クロは神殿の端末をそのまま閉じたらしい。要は生かしておくと神官たちの玩具にされるので、必要なし、と判断したと。
「二日酔いにはこれやで」
宗介が卵を落とした味噌汁を出す。
「なにも食えん」
「汁だけでも飲み」
カイは宗介の言葉にしぶしぶしたがったが体のなかに塩分が入り、卵のタンパク質が入ると少しは体が楽になったようだった。マルクは二日酔いの時の汁物の威力は実感しているのでおとなしく飲む。アキラは嬉しそうに宗介に聞く。
「おっちゃん、余ってる?」
「あるで」
アキラはくつくつ煮えている味噌汁に自分の分の卵を落す。ブラッドと目が合う。
「ブラッドも食べる?」
いい笑顔でブラッドが頷き横に座っていたジュニアも顔を上げて
「俺も食べたい」
と言い出した。
「俺、ごはんにかけて食べるけど二人はどうする?」
二人とも同じように食べるというのでアキラはスープ用の器に軽くご飯を入れたものを3膳用意した。そして卵が半熟になった辺りで各器に卵を乗せ、味噌汁を注ぎブラッドとジュニアに渡す。さらさらと食べている三人を見てカイとマルクも食欲をそそられたようだった。
「雑炊つくるけど二人とも食べる?」
アキラの言葉にカイもマルクも頷いた。
「雑炊やったらおっちゃんも少しよばれようかな」
宗介の言葉にアキラは頷いてにっこり笑った。
アキラにマルクとニーアを紹介されカイは頭を下げる。
「ニーアさんが人妻なのはちょっと残念だな」
「くどくのに時間がかかりましたよ」
マルクとカイはしっかりと握手をする。ニーアはころころと笑っている。
「ごめんねぇ。こっちと違って冬のベリーがあったから摘んでたら遅くなった」
翌朝になってオールとルトガーは帰ってきた。エドガーが帰ってきたら連れ帰るつもりだったが受け入れられたようだった。
「じゃはじめ……るには不向きな体調っぽいね」
「マルクと二人沈んでる。宗介のペースで飲んだみたいで」
「おっちゃん、強すぎる……」
酒の量で負けたことのないカイは呻くように言った。マルクも二人につられて自分の酒量より飲み過ごしたようだった。
「ニホンシュとかいう米の酒、やべぇよあれ。すいすい飲めて何のつまみでも旨いんだもの」
「おっちゃん……。なにつまみにだしたの?」
アキラがよっぽど特殊なつまみを出したのかと宗介に尋ねる。宗介はオールが積んできたベリー類を綺麗に洗っていた。半分は北の強い蒸留酒に砂糖と一緒に漬けるのだとか。もう半分はジャムにするらしくこちらは鍋の中で砂糖にまぶされている。
今、台所は冬の薄い緑色のベリーの甘くさわやかな匂いがしている。
「えーと、きんぴらとパースニップのバター焼きとか肉とキャベツ炒めたのんとかやで?米の酒なんやから米にあうもんはなんでも合うよ」
宗介は後半は半分死体のカイに向かって言っている。ベリーの酒はニーアやマルクが飲むのにいいと思っているが二瓶出来たので片方は拠点に置いて、ユリアーナやブラッドが薄めて楽しむといいと宗介は思っていた。
六週間立ったが海の王子から連絡はなかった。商会長からは『どうもトカゲモドキの処遇についての話し合いが上手く言ってないようです。あと奥の院に末の姫の端末を放りこんだところ本体も入れろと要求されたらしいので本体の確保を引き続きお願いします』と連絡があったらしい。今は本当に忙しいらしくゴールディに対するちょっかいも全くない。ゴールディは楽しくギルドで働いている。クロは神殿の端末をそのまま閉じたらしい。要は生かしておくと神官たちの玩具にされるので、必要なし、と判断したと。
「二日酔いにはこれやで」
宗介が卵を落とした味噌汁を出す。
「なにも食えん」
「汁だけでも飲み」
カイは宗介の言葉にしぶしぶしたがったが体のなかに塩分が入り、卵のタンパク質が入ると少しは体が楽になったようだった。マルクは二日酔いの時の汁物の威力は実感しているのでおとなしく飲む。アキラは嬉しそうに宗介に聞く。
「おっちゃん、余ってる?」
「あるで」
アキラはくつくつ煮えている味噌汁に自分の分の卵を落す。ブラッドと目が合う。
「ブラッドも食べる?」
いい笑顔でブラッドが頷き横に座っていたジュニアも顔を上げて
「俺も食べたい」
と言い出した。
「俺、ごはんにかけて食べるけど二人はどうする?」
二人とも同じように食べるというのでアキラはスープ用の器に軽くご飯を入れたものを3膳用意した。そして卵が半熟になった辺りで各器に卵を乗せ、味噌汁を注ぎブラッドとジュニアに渡す。さらさらと食べている三人を見てカイとマルクも食欲をそそられたようだった。
「雑炊つくるけど二人とも食べる?」
アキラの言葉にカイもマルクも頷いた。
「雑炊やったらおっちゃんも少しよばれようかな」
宗介の言葉にアキラは頷いてにっこり笑った。
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