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海の姫の章
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~~ その頃の拠点 ~~
「宗介、今日は夕飯は?」
ブラッドは工房に籠りきりだったので宗介と顔を合わせるのも久しぶりだった。
「今日は夕飯時に工房でられたか」
「ああ、なんかその場で調理する系がいいな、夕飯」
「テラスで月見ながらまったり夕飯するか。BBQコンロとか七輪だして」
ブラッドは嬉しそうに頷いた。
「夕飯にライブ感が欲しいってやつですね」
エイギョーこと平田克己と永井恵太が今日はエドモンドに連れられて来ていた。荷物を運んだついでに二人が運ばれてきた、みたいな感じだった。克己はアキラに会いに来ていたのだが残念な事にアキラは王都へ行った後だった。
「アキラと遊ぼうとおもったけどいないし。レッドも北だっていうし。……美人のおねーさん増えてるし」
とゴールディを見て克己は呟いた。
「あー、レッドとシルバーの親戚」
宗介がそう説明する。
「レッドとシルバーも親戚?」
「アキラもな」
「ま、結婚とかで繋がったりするもんな」
シルバーが(一応)男性だと知ってショックをうけていた克己であったがゴールディはちゃんと女性らしい女性なので少し嬉しいようだった。一緒に来ている恵太はエヴァとユリアーナの畑の手伝いに行った。克己は恵太が農業をやりたいと思っているのを薄々感じていた。アキラに相談したい事があると言っていたからだ。今日は泊まりだなと、マルクと談笑しているエドモンドを見て思っていた。
「せや、クロがええもん持ってきてくれたで」
宗介は克己に日本酒の名前を教えてくれる。
「へぇ、美味しいの?俺、日本酒あんま知らんのよ」
「おっちゃんは好きやな」
「二日酔いにならないように飲み方教えてな」
宗介は良い顔で笑った。
「ええで。克己ちゃんは素直やな」
克己がにやりと笑う。
「懐に入るには素直が一番」
「まーなー。おっちゃんもここに来る前は営業してたんだやで」
「まじでー。何の営業してたん?ってかどうやってここに来たん?」
宗介は克己のイントネーションに懐かしさを覚える。そう二人は日本語で会話をしていたのだ。
「なんや、克己ちゃんは西の方出身か。おっちゃんは35の時かな。次の営業先行こう思って足踏み出したらここにおった。何がなんやら。で、おっちゃんが商のうてたんは基本は『ネジ』やな」
宗介の話を克己は感心して聞いている。ブラッドは二人の間の不思議な耳慣れない言葉を黙って聞いていた。宗介は二人に熱い紅茶を出した。
「西、でもないよ。出身、名古屋だし」
「へぇ。赤味噌が恋しいか?」
「それよりスガキヤのラーメンかな。シンプルなストレート麺のあれ」
「愛知の子はあれで育つって言うもんな」
宗介は克己の肩を軽くたたく。
「お腹減った」
畑から帰ってきて元気なユリアーナの声が勝手口から響いてきた。
「宗介、今日は夕飯は?」
ブラッドは工房に籠りきりだったので宗介と顔を合わせるのも久しぶりだった。
「今日は夕飯時に工房でられたか」
「ああ、なんかその場で調理する系がいいな、夕飯」
「テラスで月見ながらまったり夕飯するか。BBQコンロとか七輪だして」
ブラッドは嬉しそうに頷いた。
「夕飯にライブ感が欲しいってやつですね」
エイギョーこと平田克己と永井恵太が今日はエドモンドに連れられて来ていた。荷物を運んだついでに二人が運ばれてきた、みたいな感じだった。克己はアキラに会いに来ていたのだが残念な事にアキラは王都へ行った後だった。
「アキラと遊ぼうとおもったけどいないし。レッドも北だっていうし。……美人のおねーさん増えてるし」
とゴールディを見て克己は呟いた。
「あー、レッドとシルバーの親戚」
宗介がそう説明する。
「レッドとシルバーも親戚?」
「アキラもな」
「ま、結婚とかで繋がったりするもんな」
シルバーが(一応)男性だと知ってショックをうけていた克己であったがゴールディはちゃんと女性らしい女性なので少し嬉しいようだった。一緒に来ている恵太はエヴァとユリアーナの畑の手伝いに行った。克己は恵太が農業をやりたいと思っているのを薄々感じていた。アキラに相談したい事があると言っていたからだ。今日は泊まりだなと、マルクと談笑しているエドモンドを見て思っていた。
「せや、クロがええもん持ってきてくれたで」
宗介は克己に日本酒の名前を教えてくれる。
「へぇ、美味しいの?俺、日本酒あんま知らんのよ」
「おっちゃんは好きやな」
「二日酔いにならないように飲み方教えてな」
宗介は良い顔で笑った。
「ええで。克己ちゃんは素直やな」
克己がにやりと笑う。
「懐に入るには素直が一番」
「まーなー。おっちゃんもここに来る前は営業してたんだやで」
「まじでー。何の営業してたん?ってかどうやってここに来たん?」
宗介は克己のイントネーションに懐かしさを覚える。そう二人は日本語で会話をしていたのだ。
「なんや、克己ちゃんは西の方出身か。おっちゃんは35の時かな。次の営業先行こう思って足踏み出したらここにおった。何がなんやら。で、おっちゃんが商のうてたんは基本は『ネジ』やな」
宗介の話を克己は感心して聞いている。ブラッドは二人の間の不思議な耳慣れない言葉を黙って聞いていた。宗介は二人に熱い紅茶を出した。
「西、でもないよ。出身、名古屋だし」
「へぇ。赤味噌が恋しいか?」
「それよりスガキヤのラーメンかな。シンプルなストレート麺のあれ」
「愛知の子はあれで育つって言うもんな」
宗介は克己の肩を軽くたたく。
「お腹減った」
畑から帰ってきて元気なユリアーナの声が勝手口から響いてきた。
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