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海の姫の章

06

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 「そっか。石の色もデザインも揃える、と」

「そうそう。魔力ある人は自己魔力が溜まるだけって感じ」

「ヴァイキーとヨアヒムにも話す。ヴァイキーは魔剣がすぐに気が付くしヨアヒムは……知っておいてもらっていいと思う、あいつの山からの収入とかクランにつぎ込んでくれてるし」

「それもそうか。それとお願いがあるんだ」

クロは興味深げにアキラ達の会話を聞いているしシルバーはぼんやりしているように見えているが王都全体を魔力探査をかけている。

「なに?」

「俺とチャーリーの仮のIDを『竜の探索者』に登録させてほしい。俺達を俺達だと知って利用しようとしないクランなんてここくらいのものだし」

「別にいいよ。ただ、そのIDの登録するとそのIDでした仕事の一割、俺達の口座に振り込まれるよ?」

「名前の使用料だし、別に法外でもないしな」

アキラはデビッドに訊ねる。

「チャーリーは知ってるの?」

「知ってる。なんならクロも知ってる」

アキラがクロの方を見るとクロは重々し気に頷いた。クロは執務室いいる時に閉じていたオーラを思い切り解放していて普段と存在の圧が違うとデヴィッドは感じていた。

「そんならいいよ」

 それから他所のクランの話を聞く。最大手の『狼の声』で20%の上納金、大抵は10~15%の上納金がクランに加入すると発生する。それを嫌いクランに所属しない冒険者も多い。アキラは拠点を元に生産部門を立ち上げようと考えているので実験として興味深く他のクランにも観察されているらしい。

 シルバーがかなり難しい顔になっている。

「神殿にどうしても探査できない場所がある」

「あ、神殿の北東?」

「そう」

「大丈夫、あそこは異界と繋がってるから」

「……そのさらっと大丈夫って」

アキラの言葉にシルバーが眉間の皺を深める。

「あそこ、宗介の故郷の神様の領域でさ。サファイアを預けてる所」

「は?サファイアを預けてるって」

「王の力を抜いて一人の『人』に戻すための、王の力を貯めておく場所みたいな?神様の領域なんで俺もはっきりしたことはわかんない」

アキラの言葉にシルバーは頭を抱えていた。

「そこに海の姫が逃げ込んでたら」

「多分ない。し、確認に行こうか?神様が入れようと思ったら入れてくれる。入れる気がなかったら入れないけどね。デヴィッド送ってくれる?」

「いいぞ。クロも来る?」

「いや、……デヴィッドの仕事を少し減らしておくか」

クロは笑いながらそう答えた。





「この位置なら神殿にバレない」

そういってデヴィッドは神社の鳥居の前に転移する。三人で鳥居を潜るとアキラの姿のみ見えなくなった。

「シルバーは入れてもらえなかったか」

「そのようですね。ここはなにか違う感じがしますね。神殿以上に空気が清涼で。木々が……こちらではみない感じの木ですね」

シルバーが梅を見て言う。

「昔、冬の終わりにこの場所に来た時、凄く良い匂いの可憐な花が咲いていてな。色は深紅だった。グリーナーの為に一輪摘んだんだけど、外には持ち出せなかったよ」

デヴィッドが肩をすくめる。

 一時間ほどしてアキラが突然現れた。

「ちょっとだけ情報貰ってきた」

「情報?」

シルバーがアキラを見る。

「中にはいなかった。サファイアはずっと座って自分と対話してた。ので、彼とは話してないよ。中の神様からちょっとしたお土産もらって帰ってきて。その時にちょっと話をしてもらった」

アキラは続ける。

「多分、海の姫であろう人が時々この鳥居を破壊しに来るんだって」
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