上 下
310 / 585
金と銀の玉の章

88

しおりを挟む
 『アキラ~、ちょっと南の山の方へ来てくれるかな』

『どうしたの?』

シルバーからアキラに念話が飛ぶ。

『金に玉渡してさ。回復のための食料とか足りない』

『わかった。ポーション類もひと揃え4人分もってく。あと肉とかも焼ける用意もしとく』

アキラの念話にシルバーは肯定の念を伝える。そしてお互いのいる位置を合流の為確認しようとシルバーが言ったら、アキラは

『金の山の前で待ってて。その方が手っ取り早い』

と返した。確かにそうだとシルバーも思い山に取って返す。



アキラとシルバーは無事に合流し金の竜のいる場所に着いた。レッドは寒いというゴールディの為に湯を沸かし白湯を飲ませている所だった。

「金、久しぶりってか初回ぶり」

「会うの二回目だっけ?」

「うん。会ってからすぐにデアードの黒のとっから他所に飛んだからね。お腹減ってる?」

「まだ血が足りてない感じ。お腹は……わかんない。でも寒く感じる」

「わかった」

アキラはアイテムボックスに入れてあった鳥のスープを出し白湯の入った鍋と入れ替える。そして小さなローテーブルを出しブラッド特製七輪を設置する。既に火が起きた状態でアイテムボックスに入れてあるので外に出せばすぐにつかえるのだ。

 「……多分脂質が足りてないか。脂や油は体温調節に利用されるから」

「そういう知識ってここの知識じゃないよね?」

シルバーが疑問に思ったことを素直に口にする。

「そう。前飛んでた所。宗介の故郷だな。向こうで学生しててね。そこで覚えた。クラブ活動っていう学校生活の一環で授業、勉強の時間が終わった後の活動で料理覚えたんだよ。あと最近はエイギョーと会った時に教えてもらったりもする。あいつらはこういう所野外での料理とかよく知ってるから」

「向こうってなんか面白そう」

シルバーは少しうらやましそうだ。

「面白いよ。向こうは竜神信仰のある国だから比較的行き易いというか黒が行かせやすいというか。一つの世界の中でも竜は悪役だったり神様だったり色々あったよ。実際にその国には行ってないけど宗教的英雄に殺される竜とかもいたよ。大昔の話らしいけど」

そう言いながらアキラはマルクがさばいていたウサギ肉を数枚、七輪に置く。ゴールディは鳥のスープをお腹に収めて体温が少し上がったらしく顔を上げている。明らかに昨日よりは元気そうだ。

「鳥のスープに浸して食べても美味しいよ」

アキラは白パンをいくつか出してレッドが足していた小テーブルに置く。そして見回してアキラはアイテムボックスから今自分が腰かけているキャンプ用のいすを3人分用意する。

「椅子のが楽なら使って。床のが良かったら床で」

アキラが出した椅子に見なすわりなおした。アキラは小さめに肉を切りなおす。

「シルバーとレッドは適当に食べてよ。ゴールディは特別対応なんだから」

アキラに言われシルバーは早速焼けた肉を取る。

「ソースは適当に好きなのかけて」

アキラはそう言いながら小さくした肉を焼き上げてゴールディに渡す。レッドは自分のスープカップをアイテムボックスから出し鳥のスープをそれに入れ一口飲んだ。

「なぁアキラ、おにぎりくれ」

そういわれてアキラは小テーブルの上に皿に乗った塩むすびをアイテムボックスから出す。レッドはおにぎりを一つとると自分のスープカップに入れる。

「これ味付け醤油だろ?」

「あたり、宗介が作ってくれたやつ」

鳥の肉と濃い緑色の葉っぱの入った澄まし汁は確かにお米とよく合う。

「美味しそう」

ゴールディが甘辛いタレが付いた肉を食べながらレッドを見ている。




 ゴールディはたっぷり食べてアキラが用意した敷布を厚く敷いた簡易ベッドの上で丸まって寝た。ゴールディは今はアキラが寝る時に着ているコットン生地のサッカー地のパジャマを着ている。着心地が良くて体が楽な物、と思いアキラはストックしていた予備のパジャマをゴールディに渡した。

「肌ざわりよさげですね」

「シルバーには俺のストックだと小さいからな。今度街に行って色々揃えよう」

レッドがシルバーに突っ込む。

「その服も俺のストックだったもんな」

「そういえばそうでした」

シルバーは悪びれずに笑った。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る

神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】 元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。 ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、 理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。 今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。 様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。 カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。 ハーレム要素多め。 ※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。 よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz 他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。 たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。 物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz 今後とも応援よろしくお願い致します。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜

平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。 『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。 この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。 その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。 一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。

元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。 しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた! 今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。 そうしていると……? ※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!

処理中です...