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金と銀の玉の章

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 「違うよ。王様の着けてるバングルが私の玉の欠片なんですよ」

シルバーは能力をが凄いのではないと言う。

「昔好きだった人に渡した指輪なんですけど海の末の姫との話が来た時、形見だったその指輪をそこにいた地下の小人にあげたら、その指輪を手首につけたその小人と念話が繋がった、って感じ」

「つまり玉の欠片の能力?」

「そう」

シルバーはうなづいた。

「この国がどこにも侵略されず廃墟なままなのも微細な玉の欠片が、多分金だけではなく黒の玉の欠片も混じってると思います、国全土に広がってるからだと」

「じゃ、冒険者とかここに来れるの?」

「青にしたって、冒険者にしたってここに国を作りたいわけじゃないし、他所の国からも干渉されない場所ってことでこの国の跡地を選択してるんだと思います。あとダンジョンコア、今はまだ幼いダンジョンコアの力もまた育ちますし、あの子はアキラと同調してる部分が大きいので竜種扱いになってるから土地が受け入れるんですよ」

「えーと、わけわからん」

レッドが正直に言う。あっという間にパエリアはなくなっていて今は色々アイテムボックスに入れておいた食物を食べている。
 シルバーの食欲はレッド以上だった。

「三日も食べてないとなんとなくお腹減った感じしますね」

シルバーはレッドが用意した食べ物を良い感じで減らしている。

「明日の朝、ここを出ましょう。我々の足ならおやつの時間くらいには着くでしょう」

「って事は朝は多めの用意しておやつの時間まで休みなしで行くって事だな?」

シルバーはレッドの言葉に頷く。

「で、なにか貴金属か手触りの良いつるっとした石とかあります?あの子達から金の玉の欠片を貰うのでお礼を渡したいのです」

「俺のアイテムボックス空にされたからなぁ……、こっちに置いてたかな、なにか」

とごそごそと本体の下をまさぐっている。

「これは?」

レッドが手にしていたのは真っ赤なスピネルだった。

「シルバーのアイテムボックスは?」

「あー、玉が認知できなくなった瞬間からアイテムボックスも使えなくなって。で、玉が戻ってからアイテムボックス見たらすっからかんなんですよね」

シルバーは笑う。レッドはお手上げた、とばかりに溜息をついている。

「ちょっとまて」

レッドは1ダースずつ持たされていた超高級ポーション、上級ポーション、中級ポーション、ポーション、そしてポーション入りの塗る傷薬を4つ分ずつシルバーに渡す。

「金にも同じだけ渡すつもりだ」

「これは?」

「ポーション入りの塗り薬」

シルバーは小瓶のふたを開け匂いを嗅いだ。

「うん、良い匂い。ハーブの匂いがしますね。ちょっと練り香っぽい」

「あーニーアとか水仕事の後塗ってるやつ」

シルバーは目を開いてああ、と頷いた。

「これなら金も付けそう。あの子香りにうるさいから」

「金は俺、女の端末しか知らないんだけど」

「あの子が4竜の中で一番女性性が強いから。多分男性性が強いのがレッドで、アキラと私は中間。アキラはやや男性寄りで私はやや女性寄りになると思う。クロは完全に中性。動きやすさから男性端末を使う事多いけど」




 「じゃ、たっぷり食べたし。行くよ」

シルバーは元気に声を上げる。レッドはアイテムボックスはかなり空になったなと思いながらシルバーのアイテムボックスにも色々備蓄しないと、と考えた。

 本当におやつの時間に金の竜の山の前に着いた。

『王様、ちょっとだけ顔出せる?』

シルバーの念話に地下から小さな生き物が丸い頭と顔を出した。宗介がこの生き物を見たら『もぐらやん』と言っただろう。

『銀さま、待ってた』
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