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金と銀の玉の章
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アキラは急いで床にクリアの魔法をかける。
「すみません。注意しておきます。どうもあの子、……おおらかすぎて」
とエドモンドは苦笑した。
「こっちは今使ってないからいいけどさ。…掃除する意味がないね」
「こっちがメインになったらニーアさんか宗介さんもいるし。管理人がする仕事はあんまりないからあの娘も入ってくること減るでしょうし」
エドモンドの言葉にアキラはちょっと考え込んで答えた。
「ユリアーナとエヴァは向こうに畑あるからなぁ。ギルドの支部が移転したら家畜も飼いたいみたいだし。あっちがメインになるんじゃないかな」
「小さい街みたいにしたいってアキラは言ってましたね」
「クランだけで生活が成り立つようにしたいんだよね。国とまでは行かないけど。デヴィッドは冒険者ギルドを独立組織にしたいって言ってたな。みんなやりたい事あるんだよね」
「そうですね。大きいか小さいかは関係なく、ですね。私は蛇人の書類の精査を終わらせてひっかける文言の有無の確認をしたいですね」
アキラは笑う。
「蛇人ってそういうタイプなの?」
「身内って認められればものすごく親切です。でも身内って思ってなければ身ぐるみはがそうとしてきますね。長い時間かけて付き合うつもりがないとなかなか手を出しにくい相手なんです。今回は向こうから買い付けに来てるので何かないか気になって」
そういやアキラは馬車の中でジュニアが蛇人と飲みに行くと言ってたな、と思い出したが飲みに行くのもギルドだしな、と思いチェックしにいくのは止めた。
アキラが気配で起きると、まだ夜中と言っていいくらいの早朝でマルクがジュニアを抱えて来ていた。
「酔いつぶれた?」
「蛇人族の毒でな」
マルクの顔が厳しい。
「あいつら、酒に入れるものがあるんだがジュニアはそれを飲まされたらしい。蛇人自体は最初は悪意もないんだけどこれが他種族には毒、というか酒の周りが良くなりすぎるっちゅうか。国としては禁制なんだけど蛇人に限っては特例で許されてるんだ。『文化だから』って」
マルクはアキラが眠っていた場所にジュニアを寝かせて服を緩めている。
「最初は悪意もなにもないんだけど…、飲んで潰れた相手には何をしてもいいっていう文化を持っているんだよ、蛇人。大体は金取って終わり、なんだけどジュニアは知らない事なんだけどジュニアの財布をジュニアの許可なく触ったりしたら酷い痺れが相手に伝わるようになってるんだよ。過保護のブラッドが財布に仕掛けつくっててな」
マルクは自分の財布も似たようなもんだったな、と思い出す。
「夜食買いに冒険者ギルドに行ったら潰れたジュニアとビビッてた蛇人をみつけたわけだ。蛇人は我々と常識も文化も違うし付き合うならそこを覚悟しないといけないんだけど…。俺もギルド内の酒場だから安心してた。俺のミスだ」
マルクは真面目な顔で最後の一言をつぶやいた。
「そうじゃないでしょ。蛇人と俺らの文化が違ったって事だよ。どうあっても酔いつぶれた人に手を出すのはマナー違反だけど……、酔いつぶれるのはなぁ……。何されても構わないって取られてもしかたないっつか…油断、ではあるよね。ヨアヒムにそのあたりの薬とかないか聞いてみるわ。あるならクランのメンバーには持たせとこう。あと蛇人の『文化』とやらの影響をなくすようなのとかも」
マルクは気が抜けたように笑う。
「あいつなら無くても研究しそう」
「するな」
アキラも同意した。
その時玄関でなにかがどさっと倒れた。マルクが腰を浮かせたがアキラは手で制し自分が玄関に向かう。玄関では靴を脱ごうとしてそのまま落ちたエドガーがいた。
「ここにも酔っ払いがいる」
アキラはぐんにゃりしているエドガーを肩に担いでタタミコーナーのジュニアの横に寝かせた。
「こいつは熟睡してやがる……」
マルクが少し呆れつつ酔っ払い二人を眺めてる。
「朝までこっちで寝たら?」
アキラがマルクに声かけると
「いや、ジョンがまだ起きてるし夜食待ってるからな」
アキラはじっとマルクを見る。
「ジュニアが心配で見に行ったとはジョンに言ってないんだね」
アキラはマルクが夜食欲しければマジックボックスの中の物出すでしょ、とマルクに言うとマルクは苦笑いしつつ、仕事場に戻っていった。
「すみません。注意しておきます。どうもあの子、……おおらかすぎて」
とエドモンドは苦笑した。
「こっちは今使ってないからいいけどさ。…掃除する意味がないね」
「こっちがメインになったらニーアさんか宗介さんもいるし。管理人がする仕事はあんまりないからあの娘も入ってくること減るでしょうし」
エドモンドの言葉にアキラはちょっと考え込んで答えた。
「ユリアーナとエヴァは向こうに畑あるからなぁ。ギルドの支部が移転したら家畜も飼いたいみたいだし。あっちがメインになるんじゃないかな」
「小さい街みたいにしたいってアキラは言ってましたね」
「クランだけで生活が成り立つようにしたいんだよね。国とまでは行かないけど。デヴィッドは冒険者ギルドを独立組織にしたいって言ってたな。みんなやりたい事あるんだよね」
「そうですね。大きいか小さいかは関係なく、ですね。私は蛇人の書類の精査を終わらせてひっかける文言の有無の確認をしたいですね」
アキラは笑う。
「蛇人ってそういうタイプなの?」
「身内って認められればものすごく親切です。でも身内って思ってなければ身ぐるみはがそうとしてきますね。長い時間かけて付き合うつもりがないとなかなか手を出しにくい相手なんです。今回は向こうから買い付けに来てるので何かないか気になって」
そういやアキラは馬車の中でジュニアが蛇人と飲みに行くと言ってたな、と思い出したが飲みに行くのもギルドだしな、と思いチェックしにいくのは止めた。
アキラが気配で起きると、まだ夜中と言っていいくらいの早朝でマルクがジュニアを抱えて来ていた。
「酔いつぶれた?」
「蛇人族の毒でな」
マルクの顔が厳しい。
「あいつら、酒に入れるものがあるんだがジュニアはそれを飲まされたらしい。蛇人自体は最初は悪意もないんだけどこれが他種族には毒、というか酒の周りが良くなりすぎるっちゅうか。国としては禁制なんだけど蛇人に限っては特例で許されてるんだ。『文化だから』って」
マルクはアキラが眠っていた場所にジュニアを寝かせて服を緩めている。
「最初は悪意もなにもないんだけど…、飲んで潰れた相手には何をしてもいいっていう文化を持っているんだよ、蛇人。大体は金取って終わり、なんだけどジュニアは知らない事なんだけどジュニアの財布をジュニアの許可なく触ったりしたら酷い痺れが相手に伝わるようになってるんだよ。過保護のブラッドが財布に仕掛けつくっててな」
マルクは自分の財布も似たようなもんだったな、と思い出す。
「夜食買いに冒険者ギルドに行ったら潰れたジュニアとビビッてた蛇人をみつけたわけだ。蛇人は我々と常識も文化も違うし付き合うならそこを覚悟しないといけないんだけど…。俺もギルド内の酒場だから安心してた。俺のミスだ」
マルクは真面目な顔で最後の一言をつぶやいた。
「そうじゃないでしょ。蛇人と俺らの文化が違ったって事だよ。どうあっても酔いつぶれた人に手を出すのはマナー違反だけど……、酔いつぶれるのはなぁ……。何されても構わないって取られてもしかたないっつか…油断、ではあるよね。ヨアヒムにそのあたりの薬とかないか聞いてみるわ。あるならクランのメンバーには持たせとこう。あと蛇人の『文化』とやらの影響をなくすようなのとかも」
マルクは気が抜けたように笑う。
「あいつなら無くても研究しそう」
「するな」
アキラも同意した。
その時玄関でなにかがどさっと倒れた。マルクが腰を浮かせたがアキラは手で制し自分が玄関に向かう。玄関では靴を脱ごうとしてそのまま落ちたエドガーがいた。
「ここにも酔っ払いがいる」
アキラはぐんにゃりしているエドガーを肩に担いでタタミコーナーのジュニアの横に寝かせた。
「こいつは熟睡してやがる……」
マルクが少し呆れつつ酔っ払い二人を眺めてる。
「朝までこっちで寝たら?」
アキラがマルクに声かけると
「いや、ジョンがまだ起きてるし夜食待ってるからな」
アキラはじっとマルクを見る。
「ジュニアが心配で見に行ったとはジョンに言ってないんだね」
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