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金と銀の玉の章

閑話 肉の解体

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「昨日は宗介もちゃんと休めたか?」

マルクが心配そうに尋ねてくる。

「よう休んだわ。もっぺん風呂ゆっくり浸かって、体もほぐれたし」

帰宅してすぐ旅の汚れを風呂で落としてからかなり長時間湯に浸かっていたのはマルクも知ってたが2回目は知らなかった。

「いつさ?」

「今朝、早うに目が覚めたからな。たっぷりの水飲んで風呂に入るとやな、汗がしっかり出てじーさんなりに肌の調子もええのんよ」

「確かになぁ」

マルクがしげしげと宗介を見る。

「疲れてる俺と今の宗介だと今の宗介の肌のが若く見える」

宗介はニカっと笑う。

「ありがとな。まぁ、人種的なもんもあるわ。東の国の人間はあんたらから見たら若こう見えるしな。マルク、あの東の国の商店の主人、幾つやと思う?」

マルクは真剣に考えてから答える。

「30代半ばから40代にはならないくらいかな?」

宗介はニヤニヤしながら答える。

「あの子、50越えてんで」

「うそぉ」

マルクは本気で驚いている。そこにアキラが相談に来る。

「肉、ストックある?」

「いや、あんまない。どうした?」

マルクの言葉にアキラが答える。

「ん、今日の夜、パーティやるじゃん?俺とレッドとシルバー居るなら肉足りなくなるかなって。まだ、ギルド行ってないからボアとかブルの解体たのんでないんだよ。ダンジョン行って仕入れてくるか…」

宗介が声をかける。

「ボアなら解体できんで。ギルド勤めてた時厨房のみんなで手伝ったとったからな」

「結構あるぞ」

「ここなら、前にギルドの子ら来てた時に使うてた施設あるし。何十匹とかは無理やけど。パーティの準備全部してくれたら4、5匹は俺だけでできるし、せやな、マルク、ユリアーナちゃん、ジュニアこっちくれたらこの三人に教えるからも少し解体できるやろ」

マルクも頷く。

「ウサギとコッコなら解体できるしな、俺でも」

「ユリアーナちゃんは豚なら解体したことある言うてたからボアもすぐわかるやろし。ジュニアはこれから冒険者長いんやから覚えて損はない」

「ルトガーとエドガーは?」

「まだあの子らは包丁おぼつかんな。あと、ユリアーナちゃんがちゃんと覚えたら二人に教えたらええやろ」

「鳥までならニーアも出来るよ」

マルクが聞いてくる。

「いんや、ニーアちゃん外したらブラッドだけやろ、まともに料理できるの。用意大変やし」

「俺も料理できる」

日本にいた頃調理クラブに入っていたアキラが主張する。

「せやから用意の方手伝ったって」



宗介達肉班、アキラとニーアとブラッドを主軸とするパーティ用意班に分かれる。シルバーとレッド、ランディは

「俺達は?!」

と聞いてきたので

「部屋の掃除とかゴミ燃やしたりとか雑用手伝う」

とニーアに割り振られる。エヴァとヴァイキーも実家の農場で豚や牛の解体の経験があり肉班に加わった。
 アイリスはゆったりと

「じゃ私は待ってるわ」

と言いながらもニーアを手伝う。





 夜にはかなりの数のボアがあとは食べるだけにされていた。ヴァイキーは解体よりも血抜きに忙しかった。魔剣はボアとはいえたっぷり血を飲めて満足げであった。

「血抜きの手間要らんかったんは良かったわぁ」

と宗介が言う。
 ヴァイキーとエヴァはボアも解体できたので2人で一組になってかなりの数を解体してくれたし、マルク、ユリアーナ、ジュニアは三人で宗介に習いながら数時間で二匹、なんとか解体した。

「また近いうちにボアの解体させてもらえる?」

ユリアーナはかなり前向きにボアの解体を覚えようとしている。

「なんか帰ってきてすぐに悪い」

とアキラは宗介に謝る。

「ええよ。気にせんとって。ジャンジャン肉焼いて食べな。シルバーに負けてんで」

宗介は薄切りにしたボアの肉を焼きながらアキラに笑いかけた。
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