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金と銀の玉の章

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 早朝、皆寝ている薄っすらと夜が開け始めた時間に大きな音と数舜遅れで衝撃が島を走っ
た。

「解けた」

ぼそりとオールが呟き、砂浜に大の字に寝ころんだ。

「ありがとう」

いつの間にかシルバーが来て横に座る。

「海の偽装を解除する力をつかわなくてよかったからだいぶん回復した」

「わかる。日に日に魔力の圧が上がってる」

オールは目をつぶったまま言った。

「今で半分くらい?」

「そうだね」

「一瞬の転移には耐えられそう?」

「後1割くらい欲しいかな。魔素がないから基本的な力をつけておかないと。嫌、2割ほしいな。2割貯めて1割は本体の隠し場所の偽装を解かないと」

「俺がって言いたいけど、今は…無理だな。ごっそり持っていかれた」

シルバーはふふふと笑う。

「そういう作りになってるからね。言ってなかったね」

「それくらい、こういう偽装を解く時の常識だし」

オールは気だるげであった。

「どっちにしても門を繋げようと思ってる」

と目をつぶったままオールはいう。

「あと、君に必要なのは宗介と俺も残るけど、船は帰ってもらって、ランディとかマルクは帰ってもらおうかなって」

「門?」

オールはシルバーにブラッドと作り上げた携帯型の魔道具の話をする。

「じゃ、飛べるようになったら、君と宗介を背中に乗せて拠点に行ったらいいね」

「竜の背に乗るってめったにない冒険になるな。その話乗った。…だめだ、眠い」

シルバーは軽々とオールをお姫様抱っこで移動する。

「砂浜で寝たら焦げますよ」

「……この年で抱き上げられるとは思わなかった」

「ま、人生そういう体験も必要です」

皆が寝ていた野営地のテントの中にオールは置かれた。何も言わず、そのままオールは寝落ちたようだった。

「オールをお姫様抱っこって」

アイリスが呆れたようにいう。シルバーはほんわかとした笑顔だった。

「あれが一番安定して人体を運べますから」

「細身なのに力強いのね」

アイリスが艶やかに笑う。波打ち際をマルクとニーアのカップルが散歩しているのが見える。二人は手を繋いでいて仲がよさそうに見えた。

「貴方だって、オールなら抱えられるでしょう?ランディは無理かな」

「ランディは背が高いしバランス取りにくいかな」

アイリスは否定しなかった。




 夕方にオールが起き上がってきた。夕食には船の人員もいたので今回の調査は終了したことと、明朝書類を持ってきてもらえばサインをする事を伝える。その書類にサインが無いとギルドから報酬が支払われないので大事な書類だった。

「先に帰っていいっていうけど、あんたさんたちはどうするんですか?」

「まだ暫くここにいるよ。そしてギルドから迎えがくるからね」

と船員に聞かれオールは門の話はせずにごまかした。夕食後、船の人員がいないところでオールは皆に明後日、門を使って帰ってもらう事と宗介とオールは引き続き残ってシルバーの復調を待つこと、復調すればすぐにでも戻る事を話す。

「あと、10日もあれば戻るかと思います。あちらでもよろしくお願いします」

シルバーはおっとりと挨拶した。


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