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金と銀の玉の章
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その頃のお船組
「はぁ…海、飽きた」
エヴァがマジックボックスから豚汁を出して飲みながら呟いている。ヴァイキーとランディ、男どものは喜々として甲板で色んな事を教えてもらっている。あまり大きな船ではなく眠るときは小島に停留することが多い。そもそも島が多すぎる、とエヴァはぐちぐち考えている。何人かいる船員は気のいいタイプばかりでマルクや宗介とも仲良くやっているしエヴァとニーア、アイリスにも紳士的である。少しチャーリーという副ギルド長が怖いとエヴァは独り言ちている。大抵ぶつぶつ言ってるのだが、突然『あー!もー!こんなところで』とか叫びだすのでエヴァにはストレスが強い。ニーアは『独り言の大きい人なのよ』でさらっと流してしまっているのがすごい、とエヴァは思っていた。揺れる船の中エヴァは椅子替わりの行李の上でクッションを抱きながらうつらうつらしている。
昼ご飯は宗介が前日の停泊地で作ってマジックボックスの中に入れておいたものがメインだった。夕飯は船で移動してる間に釣ったものを焼いたものが多かった。小国群は島国で大小、島があり何日も船の上で生活をするという事はなかった。無人島もちょこちょこあるのだが人が泊まれる程度の施設が置いてあるところが多い。
「けんかしたカーちゃんが泊まったりもある」
と船員たちがからから笑う。この辺りの家庭は大抵舟をもっているし人が住む島から小舟でわたっていける距離にこういう施設のある無人島がある。夫婦喧嘩なんかで頭を冷やすために女性が行く島、男性が行く島など人が住んでいる島ごとに決まっているそうだ。エヴァ達が泊まる島は冒険者が来た時に使用する島、という事だった。
「この海域を通っていないのはなぜですか」
とチャーリーが言い出す。
「いや、そんなことはないはず」
と船長が言うがチャーリーは海図を見ながら首を横に振る。
「わかりました。私が言う通りに舟を動かしてください」
チャーリーが何かに気が付いたらしくはっきりと指示を口にしている。これまで黙っていた魔剣が何か言いだそうとしたのでヴァイキーが首を横に振ったので魔剣は黙った。
チャーリーの指示の通りに船は動いているが船員たちは不満げだった。船員はこの海域はこれまで何度も通っている、と思っていたのだ。が、操舵手が無意識に舵を切ろうとするのでチャーリーは指示をする。
「そっちに動かさないで」
操舵手は手を動かしている自覚がないので不満げであった。が、我慢してそのままの方向をキープする。エヴァにもわかる魔法的抵抗があって魔剣の柄の赤い石が一瞬光ったのち、今まで見えていなかったひときわ大きな島、それも無人島が見つかった。
「ほらね。綺麗に空間を縫い合わせてわかりにくかったですけど。なんとか私の仕事は終わりました」
チャーリーはほうぅっと息を吐いた。船は沖に停泊し、小舟でその島へと近づいている。
「鬼がでるか、蛇がでるか」
ぼそり、と宗介がつぶやいている。多少緊張しているようだ。
小舟から上陸するとマルクが生活魔法用の杖で「乾燥」をかけてくれる。魔法杖はあと何本かあり、魔石を入れ替えることで何度でも使えるものだった。アキラの提案でブラッドが作った特製品であった。
「今日も魚のスープか」
ランディが呟いた時だった。
「良い匂いですね」
男とも女ともつかない声、銀色の長いストレートヘア、全体が光っているようなあえかなはかなげな性別のわからない柔らかな美貌の人が立っていた。
「私の島にようこそ」
「貴方様が銀の竜か?」
物おじせずにランディが聞いた。美貌の人はにっこり笑い頷き肯定した。
「これから夕飯やけど、あんたも食べるか?」
宗介に聞かれ美貌の人は喜んだ。
「わぁ、うれしい」
美貌の人はゆったりとそう言った。
「はぁ…海、飽きた」
エヴァがマジックボックスから豚汁を出して飲みながら呟いている。ヴァイキーとランディ、男どものは喜々として甲板で色んな事を教えてもらっている。あまり大きな船ではなく眠るときは小島に停留することが多い。そもそも島が多すぎる、とエヴァはぐちぐち考えている。何人かいる船員は気のいいタイプばかりでマルクや宗介とも仲良くやっているしエヴァとニーア、アイリスにも紳士的である。少しチャーリーという副ギルド長が怖いとエヴァは独り言ちている。大抵ぶつぶつ言ってるのだが、突然『あー!もー!こんなところで』とか叫びだすのでエヴァにはストレスが強い。ニーアは『独り言の大きい人なのよ』でさらっと流してしまっているのがすごい、とエヴァは思っていた。揺れる船の中エヴァは椅子替わりの行李の上でクッションを抱きながらうつらうつらしている。
昼ご飯は宗介が前日の停泊地で作ってマジックボックスの中に入れておいたものがメインだった。夕飯は船で移動してる間に釣ったものを焼いたものが多かった。小国群は島国で大小、島があり何日も船の上で生活をするという事はなかった。無人島もちょこちょこあるのだが人が泊まれる程度の施設が置いてあるところが多い。
「けんかしたカーちゃんが泊まったりもある」
と船員たちがからから笑う。この辺りの家庭は大抵舟をもっているし人が住む島から小舟でわたっていける距離にこういう施設のある無人島がある。夫婦喧嘩なんかで頭を冷やすために女性が行く島、男性が行く島など人が住んでいる島ごとに決まっているそうだ。エヴァ達が泊まる島は冒険者が来た時に使用する島、という事だった。
「この海域を通っていないのはなぜですか」
とチャーリーが言い出す。
「いや、そんなことはないはず」
と船長が言うがチャーリーは海図を見ながら首を横に振る。
「わかりました。私が言う通りに舟を動かしてください」
チャーリーが何かに気が付いたらしくはっきりと指示を口にしている。これまで黙っていた魔剣が何か言いだそうとしたのでヴァイキーが首を横に振ったので魔剣は黙った。
チャーリーの指示の通りに船は動いているが船員たちは不満げだった。船員はこの海域はこれまで何度も通っている、と思っていたのだ。が、操舵手が無意識に舵を切ろうとするのでチャーリーは指示をする。
「そっちに動かさないで」
操舵手は手を動かしている自覚がないので不満げであった。が、我慢してそのままの方向をキープする。エヴァにもわかる魔法的抵抗があって魔剣の柄の赤い石が一瞬光ったのち、今まで見えていなかったひときわ大きな島、それも無人島が見つかった。
「ほらね。綺麗に空間を縫い合わせてわかりにくかったですけど。なんとか私の仕事は終わりました」
チャーリーはほうぅっと息を吐いた。船は沖に停泊し、小舟でその島へと近づいている。
「鬼がでるか、蛇がでるか」
ぼそり、と宗介がつぶやいている。多少緊張しているようだ。
小舟から上陸するとマルクが生活魔法用の杖で「乾燥」をかけてくれる。魔法杖はあと何本かあり、魔石を入れ替えることで何度でも使えるものだった。アキラの提案でブラッドが作った特製品であった。
「今日も魚のスープか」
ランディが呟いた時だった。
「良い匂いですね」
男とも女ともつかない声、銀色の長いストレートヘア、全体が光っているようなあえかなはかなげな性別のわからない柔らかな美貌の人が立っていた。
「私の島にようこそ」
「貴方様が銀の竜か?」
物おじせずにランディが聞いた。美貌の人はにっこり笑い頷き肯定した。
「これから夕飯やけど、あんたも食べるか?」
宗介に聞かれ美貌の人は喜んだ。
「わぁ、うれしい」
美貌の人はゆったりとそう言った。
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