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金と銀の玉の章

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 「え?師匠?」

エドガーが心底驚く。

「あら、根拠がなくはないのよ。あの人なら私が冒険者続けるのも何も言わないと思う」

「アキラとか、ランディとか」

エドガーはユリアーナに聞いてみる。

「ランディもアキラも悪くないけど…。アキラは年下っぽいしランディは…娼館通いしてるの目の当たりにしちゃうとね」

「娼館ってそんなにだめ?」

エドガーの疑問にユリアーナは答える。

「人によるんだろうけど、私はだめ」

ユリアーナは続ける。

「ヴァイキーはエヴァが頑張ってるし、ジュニアは…うーん、仲間って感じ。宗介さん、性格は理想だし美味しいもの作ってくれるけど、妻帯者だし年上すぎるし。あ、レッドもありかな。オールとブラッドもちゃんと相手がいるしね」

ユリアーナは多分エドガーは気が付いてないだろうと考え、オールとブラッドの事はぼかして言葉にする。そしてその読みは正しかった。

「オールとブラッドにもいるのかぁ。…で、姉さん達はどーするの?」

「私はまだだね。ブランカ姉さんも…あんまり考えてないでしょうね。あの人、ルトガー兄さんが心の真ん中にいるからね…」

と少し遠い目になる。ユリアーナはルトガーが傷ついた瞬間を見てるし、自分の事を身を投げ出して守ってくれた、それだけでヒーローになってしまうのも仕方ないと思っている。

「父さんに孫抱かせてあげたいとか…誰も思わないのかな?」

「エドガー頑張って」

とユリアーナは笑う。

「私が適齢期だって言ってもエドガーもすぐだよ?他人の事構ってる暇ないでしょ?」

ユリアーナはエドガーに真面目な顔で言う。

「ある意味、貴方が一番あの夫婦両親から精神的に自立してるの。貴方か一番、まともな家庭を築けるって私は思ってる。ブランカ姉さんとルトガー兄さんは…色々難しいと思うよ。私はあの二人よりはましかな。縛られてないから」





 「たでーま」

レッドがちょろっともどってきた、と言う。

「いやぁ、宗介の豚汁の威力はすさまじかった」

北の寒さの感想を言う。レッドは自室に荷物を置くと食堂にもどってきた。

「ほい」

アキラは自分用にいれていたほうじ茶をレッドのカップを用意していれる。

「こっちもあったかいもんが御馳走の季節になってきたな」

「船組大丈夫なのかな。…全くクロから音沙汰なかったんだけど」

「こっちにもねーな」

レッドは赤い髪をかき上げて言う。

「そろそろオルトロス狩り行かないと」

とアキラはグリーナーと第三王子の騒動をレッドにかいつまんで話す。

第三王子あのバカかぁ。…赤ん坊の時は可愛かったぜ、そらとびぬけてな。あの美形ぞろいのエルフの中でもぴか一に可愛い赤ん坊だったから…みんなあいつに甘い甘い。シナモンロールにはちみつしみこませて、砂糖衣で包んだくらい甘かったぞ」

アキラは感心して話を聞いている。

「悪い奴っていうか嫌なやつとは思わなかったけど…。面倒くさそうなやつだとは思った」

アキラの感想を聞いてレッドはくくくっと笑った。

「王太子さんが会いたがってたよ。一発でこの端末の先まで見えたみたい」

「…まだ見えてるのか。あれはあれで辛かったみたいでな」

「普段は受信しないようにコントロールしてるけど、転移してすぐに俺を見ちゃったから見えたみたい」

アキラは王太子の説明をレッドに伝える。

「そうか。…あいつ、元気だった?」

「うん、…ちょっと弟の言動がイラついていたみたいよ」

レッドは苦笑いしている。
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