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金と銀の玉の章
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「できるようになるよ。私も最初だめだったもの」
アイリスはさらっと言い放つ。
「デヴィッドもブラッドもできそうじゃん」
マリナの言葉にグリーナーがちょっと安心した顔になる。
「たぶんできる。どっちも甥姪多くて赤ん坊背負ってたことあった…」
グリーナーが二人の親戚に双子が生まれて他にも赤ん坊が多かった時期、どちらの一族も子供と両親を集め一緒に世話をしていた時期があると話す。
「主に母親が眠れるように、多数の乳母達を雇って。その上で12才までの子供も親たちと一緒に集められて子守の要員になってたの」
グリーナーは思い出したように笑う。
「ブラッドの一族とデヴィッドの一族がそういう時期が重なってドワーフとエルフ入り混じっての赤ん坊が沢山いてね。デヴィッドの家はエルフの国以外とも仲が良いのでエルフの王都では色々軋轢もあったみたいで」
とグリーナーは事の重大さを感じていないようだった。
「元来ドワーフとエルフは仲が悪いと思ってた」
マリナの言葉にアイリスも頷く。
「アマゾネスじゃドワーフの子とエルフの子一緒の隊に入れるの苦労するんだよね…。そういやフェイスは平気だったな」
グリーナーは居間を見渡す。広い居間にはドワーフもエルフも人も竜の端末も一緒にいる。角付き合わす事もなく、カードで遊んだりだらだら昼酒を飲んだりしてるが基本の空気はのんびりしている。
「この居間みたいなのが『理想』っていうのかな?」
とマリナはのんびりと楽しそうだ。
「私はこれから『争い』とかある世界に戻るわけだ」
と教会に戻る事をマリナはそう表現した。
「俺も一緒ですよ」
ジェイ修道士、ことジョンがいう。
「あと二年頑張ろうね」
とマリナも言う。
「二年?」
アイリスが不思議そうだ。
「ああ、後2年したら、今育ててる聖女候補生8人が育ち上がるからね。正副の二名で東西南北の結界を担当するんだって。そうなれば私はお役御免、って事らしい。このシステムがちゃんと動くなら十年ごとに人を変える事ができるから一人の聖女で全てを担わなくていいしね。私は市井に降りて生きてる間は聖女候補生の幼児教育担当しようかなって思ってる」
マリナがぼそっと
「男性にも結界向きの力の強い人もいるんだけど…、神官はこういう仕事してくれなくて」
と言う。
「その辺の意識はなかなか変わらないからね」
とアイリスも言う。
「エルフは女性でも普通に政治的な役職についたりするんでしょ?」
アイリスに尋ねられてグリーナーは頷く。政治的なものに疎いグリーナーでもエルフの政治機構と人間の政治機構が違うのは知っていた。
「だって、考えたりすることに性別って関係ないじゃない?」
グリーナーが不思議そうに言う。アイリスが苦笑いで答える。
「人間の男様はそうは考えないの。神官長みたいな男は多いわ」
「え?あんな感情がわかりやすいやつ、偉いさんに多いの?」
とアキラが驚いた顔になる。
「あんな考えてる事筒抜けなやつがそんな風なのか」
アキラにかかっては神官長はけちょけちょだった。
「レッドより考えてる事わかったぞ」
アキラの言葉にレッドは
「俺はそこまで単純じゃねーよ」
と答える。宗介が炊き立てのごはんでおにぎりを作り持ってくると、居間にいるメンバーは喜んでおにぎりを手にする。
「本当、こんな風にシンプルだといいんだけどねぇ」
とアイリスが呟く。
「ま、政治的な事はそう言うのが好きな人に任せて我々は生活を楽しまねばね」
マリナは楽しそうな面々を見てそういう。アイリスも
「それを護る為にいるのが冒険者、よね」
と答えた。
アイリスはさらっと言い放つ。
「デヴィッドもブラッドもできそうじゃん」
マリナの言葉にグリーナーがちょっと安心した顔になる。
「たぶんできる。どっちも甥姪多くて赤ん坊背負ってたことあった…」
グリーナーが二人の親戚に双子が生まれて他にも赤ん坊が多かった時期、どちらの一族も子供と両親を集め一緒に世話をしていた時期があると話す。
「主に母親が眠れるように、多数の乳母達を雇って。その上で12才までの子供も親たちと一緒に集められて子守の要員になってたの」
グリーナーは思い出したように笑う。
「ブラッドの一族とデヴィッドの一族がそういう時期が重なってドワーフとエルフ入り混じっての赤ん坊が沢山いてね。デヴィッドの家はエルフの国以外とも仲が良いのでエルフの王都では色々軋轢もあったみたいで」
とグリーナーは事の重大さを感じていないようだった。
「元来ドワーフとエルフは仲が悪いと思ってた」
マリナの言葉にアイリスも頷く。
「アマゾネスじゃドワーフの子とエルフの子一緒の隊に入れるの苦労するんだよね…。そういやフェイスは平気だったな」
グリーナーは居間を見渡す。広い居間にはドワーフもエルフも人も竜の端末も一緒にいる。角付き合わす事もなく、カードで遊んだりだらだら昼酒を飲んだりしてるが基本の空気はのんびりしている。
「この居間みたいなのが『理想』っていうのかな?」
とマリナはのんびりと楽しそうだ。
「私はこれから『争い』とかある世界に戻るわけだ」
と教会に戻る事をマリナはそう表現した。
「俺も一緒ですよ」
ジェイ修道士、ことジョンがいう。
「あと二年頑張ろうね」
とマリナも言う。
「二年?」
アイリスが不思議そうだ。
「ああ、後2年したら、今育ててる聖女候補生8人が育ち上がるからね。正副の二名で東西南北の結界を担当するんだって。そうなれば私はお役御免、って事らしい。このシステムがちゃんと動くなら十年ごとに人を変える事ができるから一人の聖女で全てを担わなくていいしね。私は市井に降りて生きてる間は聖女候補生の幼児教育担当しようかなって思ってる」
マリナがぼそっと
「男性にも結界向きの力の強い人もいるんだけど…、神官はこういう仕事してくれなくて」
と言う。
「その辺の意識はなかなか変わらないからね」
とアイリスも言う。
「エルフは女性でも普通に政治的な役職についたりするんでしょ?」
アイリスに尋ねられてグリーナーは頷く。政治的なものに疎いグリーナーでもエルフの政治機構と人間の政治機構が違うのは知っていた。
「だって、考えたりすることに性別って関係ないじゃない?」
グリーナーが不思議そうに言う。アイリスが苦笑いで答える。
「人間の男様はそうは考えないの。神官長みたいな男は多いわ」
「え?あんな感情がわかりやすいやつ、偉いさんに多いの?」
とアキラが驚いた顔になる。
「あんな考えてる事筒抜けなやつがそんな風なのか」
アキラにかかっては神官長はけちょけちょだった。
「レッドより考えてる事わかったぞ」
アキラの言葉にレッドは
「俺はそこまで単純じゃねーよ」
と答える。宗介が炊き立てのごはんでおにぎりを作り持ってくると、居間にいるメンバーは喜んでおにぎりを手にする。
「本当、こんな風にシンプルだといいんだけどねぇ」
とアイリスが呟く。
「ま、政治的な事はそう言うのが好きな人に任せて我々は生活を楽しまねばね」
マリナは楽しそうな面々を見てそういう。アイリスも
「それを護る為にいるのが冒険者、よね」
と答えた。
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