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金と銀の玉の章
01
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元王都があった辺りは既に森に飲まれている。男性神信仰が国教だったこの国はディアーヌ神を信仰するディアーヌ王国と対になった存在、姉弟国として扱われていた。最高神を信仰するデアードを頂点とする3国として他の国に認知されていた。
神国デアードとこの国の間は切り立った山があり、通れるのは一か所のみであったが今はその門は厳重に閉じられている。
まずは神殿を探すと特徴のある男神の頭部だけが残されていた。あとは踏みつぶされたのだろうか。マリナはその場でディアーヌ神の祈りをささげる。アキラ達はそれを邪魔はしない。
鎮魂の祈りは長く続いた。マリナと暗躍君二人は真剣に祈っている。アキラやレッドは宗教的なものはわからない、というかあがめられる側に近いので彼らとは感覚もちがうのだろう。
二人の祈りが終わる。デヴィッドやヨアヒムは一緒に祈っていたがヴァイキーは途中で席を立ちアキラ達の方へ来た。オールは一応は神官でもあるらしいのだが、エルフの神に仕えているので今回の儀式を一緒には出来ない、と一人でどこかで鎮魂の祈りをささげているようだ。
デヴィッドに
「デヴィッドはエルフの神の方じゃないの?」
とアキラが尋ねると
「あー、一応戒律とかで神官は他所の神職との関わりが難しいんだ。俺は信仰してるわけじゃないからどちらでも、神に祈る事には変わりないと思ってるんだけどな」
と答える。オールは神職が使う魔法を覚えるために神官になったのだが神官としての誓いやなんやがあるらしい。
「とりあえず、この辺りの散策しようか。王宮の跡地も探したいし」
「見事に踏みにじられてるなぁ」
「あの瘴気リュウモドキ、海に入っていったけど海竜はどうしてるんだろうな?」
「俺らと会話する気ないだろう、海竜ら」
レッドとアキラの会話にデヴィッドが食いつく。
「なに揉めてるのか?」
「んー、友好の証で海竜の姫と結婚した銀竜が行方不明でな。海竜側は『バカにしてるのか』って怒ってるんだよ。俺らとしても銀竜を欠くのは色々とバランスが崩れて問題なんだが…。生きてる、っぽいんだけど位置がわからん。こいつが他の世界行ってても位置を把握してた黒の竜が銀の位置がわからんってのがな」
「まぁ、俺がいたところは竜神信仰のお社、神殿みたいなところかな、だったんだよな。古い竜神を祭ってる家でな。そこにお世話になってた。…黒の端末って事ではなかったはず、一緒にいたばあちゃん」
アキラは日本にいた時に世話をしてくれていた女性を思い出す。地味な生真面目な初老の女性でごはんいつも美味しかったな、と思った。
「他の世界は他の世界で信仰があるんだな」
帰ってきたオールが会話に加わる。
「うん、…俺が行ってた国はヤオヨロズ、八百万って書くんだけど、の神々がいるって所だったよ。最高神は太陽なんでデアードとおんなじだけど」
「へぇ」
「ただ、俺あんまり宗教に興味なかったから情報はあんまりもってない。そのあたりは俺より宗介に聞いた方がわかりやすいかも」
「今度聞いてみよう」
オールは純粋に興味があるようだった。
「王宮このあたりかな」
王宮と神殿はそこそこ近いようだった。王宮は神殿ほどは破壊されていない。ただここにいた人が一人でも助かる事はなかっただろうと想像に難くない程度の破壊だった。
「もったいない」
どうもオールは図書室の残骸を見て言ってるようだった。
「ここは魔法書の宝庫だったんだよ。数代前の王が魔法狂いで。今じゃ発禁になってる魔法書なんかもあったんじゃないかって噂で。一度忍び込もうと思ってたんだけど先に国が潰れた」
オールは悔しそうだった。
神国デアードとこの国の間は切り立った山があり、通れるのは一か所のみであったが今はその門は厳重に閉じられている。
まずは神殿を探すと特徴のある男神の頭部だけが残されていた。あとは踏みつぶされたのだろうか。マリナはその場でディアーヌ神の祈りをささげる。アキラ達はそれを邪魔はしない。
鎮魂の祈りは長く続いた。マリナと暗躍君二人は真剣に祈っている。アキラやレッドは宗教的なものはわからない、というかあがめられる側に近いので彼らとは感覚もちがうのだろう。
二人の祈りが終わる。デヴィッドやヨアヒムは一緒に祈っていたがヴァイキーは途中で席を立ちアキラ達の方へ来た。オールは一応は神官でもあるらしいのだが、エルフの神に仕えているので今回の儀式を一緒には出来ない、と一人でどこかで鎮魂の祈りをささげているようだ。
デヴィッドに
「デヴィッドはエルフの神の方じゃないの?」
とアキラが尋ねると
「あー、一応戒律とかで神官は他所の神職との関わりが難しいんだ。俺は信仰してるわけじゃないからどちらでも、神に祈る事には変わりないと思ってるんだけどな」
と答える。オールは神職が使う魔法を覚えるために神官になったのだが神官としての誓いやなんやがあるらしい。
「とりあえず、この辺りの散策しようか。王宮の跡地も探したいし」
「見事に踏みにじられてるなぁ」
「あの瘴気リュウモドキ、海に入っていったけど海竜はどうしてるんだろうな?」
「俺らと会話する気ないだろう、海竜ら」
レッドとアキラの会話にデヴィッドが食いつく。
「なに揉めてるのか?」
「んー、友好の証で海竜の姫と結婚した銀竜が行方不明でな。海竜側は『バカにしてるのか』って怒ってるんだよ。俺らとしても銀竜を欠くのは色々とバランスが崩れて問題なんだが…。生きてる、っぽいんだけど位置がわからん。こいつが他の世界行ってても位置を把握してた黒の竜が銀の位置がわからんってのがな」
「まぁ、俺がいたところは竜神信仰のお社、神殿みたいなところかな、だったんだよな。古い竜神を祭ってる家でな。そこにお世話になってた。…黒の端末って事ではなかったはず、一緒にいたばあちゃん」
アキラは日本にいた時に世話をしてくれていた女性を思い出す。地味な生真面目な初老の女性でごはんいつも美味しかったな、と思った。
「他の世界は他の世界で信仰があるんだな」
帰ってきたオールが会話に加わる。
「うん、…俺が行ってた国はヤオヨロズ、八百万って書くんだけど、の神々がいるって所だったよ。最高神は太陽なんでデアードとおんなじだけど」
「へぇ」
「ただ、俺あんまり宗教に興味なかったから情報はあんまりもってない。そのあたりは俺より宗介に聞いた方がわかりやすいかも」
「今度聞いてみよう」
オールは純粋に興味があるようだった。
「王宮このあたりかな」
王宮と神殿はそこそこ近いようだった。王宮は神殿ほどは破壊されていない。ただここにいた人が一人でも助かる事はなかっただろうと想像に難くない程度の破壊だった。
「もったいない」
どうもオールは図書室の残骸を見て言ってるようだった。
「ここは魔法書の宝庫だったんだよ。数代前の王が魔法狂いで。今じゃ発禁になってる魔法書なんかもあったんじゃないかって噂で。一度忍び込もうと思ってたんだけど先に国が潰れた」
オールは悔しそうだった。
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