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旅の章

02

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 「そろそろ麓だな」

「俺とヨアヒムとレッドは山に登るけど、ヴァイキーとマルクは馬の事もあるから下で頼む。1週間もあれば帰ってくる、つもり。2週間で帰ってこなかったときは一旦拠点に戻っててほしい」

「了解」

マルクはそういい、ヴァイキーは頷いた。

「俺も行きたかったぜ」

魔剣はあまり真剣でなく言っているので誰も取り合わなかった。



 山は適度に険しい。三人の中で一番最初に音を上げたのはレッドだった。

「ヨアヒム、あんた本当に人類か?」

「そうだよ。鍛えてるし、薬で強化もしてある」

「…あんた、不老不死の薬飲んだな?」

レッドが言う。

「そら飲んでますが?錬金術ギルドの正会員になるのには『不老不死の薬』の作成とそれを飲んだ上での数年の経過観察が必要でな。名称は不老不死の薬だけど極端に老けなくて長寿を保つ薬だ。不思議な事に自分で調合しないと効果ないんだよ。今は俺は見た目通りの年齢だけどな。これから多分400年くらい生きるよ。その程度はアキラと付き合える。冒険者達が『錬金者ギルド』って呼んでるところは『準会員のギルド』なんだよ、本当は。我々正会員のギルドは世の中から隠れているんだ。知ってるのは総ギルド長と王宮かな。神殿には教えていない。噂くらいは入ってるみたいだけどな」

 レッドはその場所で大の字になった。

「ちゃんとこの山であってるよ。本体と近づいてるのがわかる」

「じゃ、これ飲んでみろ」

レッドは座る。ヨアヒムはレッドに『滋養強壮』の薬草汁を渡した。小瓶のふたをあげごくごくと飲み干した。

「まっず。青い。匂いが青いぞ」

「薬草汁だからな。これから精製して丸薬にするんだけど、わずかにこの状態の方が吸収がはやいらしくてな」

「…たしかに。さっきの力が抜けるような感じがましだ」




その頃の拠点


「宗介、その卵、生で食べていいのか?」

「鑑定ではそう出てるし腹もこわしてないぞ」

ブラッドはおそるおそる宗介の食べている卵かけご飯を見る。

「宗介、鑑定できるの?」

オールがゆでたまごを剥きながら尋ねる。

「食材だけな。簡単な食べられるかどうか、くらい。魚は鑑定じゃなくて目利きな」

と宗介は二杯目のごはんをよそい、沢山あるゆで卵に手を伸ばす。手早く卵の殻を剥くとご飯の上に置き真ん中あたりに箸をいれぱかっと割る。ねっとりとした黄身の上にぽたぽたと醤油を落とし、二つに割れた片方を口に入れる。そしてごはんに残った卵をもう一回割り箸で小さくしながらごはんと混ぜる。

「ゆで卵と生卵、どっちが旨いの?」

エドガーがうずうずしている。

「どっちも旨いよ。また別もんやなぁ」

「俺もお米もらっていい?」

「もちろん」

エドガーはスープボウルに土鍋のご飯をよそう。そしてゆで卵を2個剥くと宗介の真似をして半分に割る。少しいびつに割れた。そして少しだけ醤油をかけて一つをつるんと食べる。その後ボウルの中のご飯に卵と祖父湯を混ぜ込むと一気に食べる。

「うはっ」

食べ終わると満足そうにエドガーは声をあげた。ユリアーナは

「食べたいけど、今はお腹いっぱい」

と少し悔しそうだった。
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