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旅の章

01

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 「気楽に行こう」

マルクはそういいながら馬を走らせる。軽快に馬は走っている。ヨアヒムとレッドは色々と話している。エリクサーの味を聞いている。

「…無味無臭なんだけどちょっとキノコ臭い気もする」

「キノコは入ってるな。甘味とか付けた方がいいかな?」

「いや、いらねぇ。あれ以上匂いとか味とかあったら気持ち悪い」

アキラは自分だけで行けたら早いんだけどなぁとか考えながらぼんやりとしていると睡魔に襲われた。


 「すまんな」

「だからじーさん、先ぶれをだせって言ったじゃん」

「ああ、そうじゃった、そうじゃった」

「…ボケたふりするなよ」

黒い竜の端末はにやりと笑った。

「そういえばジムはデヴィッドにバレた」

と笑っている。デヴィッドが『あのな、あからさまな気配消しをするのは怪しいからやめてくれ。お前、アキラとかレッドと同じ匂いがする』と影に呼ばれて言われた、と。ついでに商業ギルドの端末の事も話しておいたらしい。

「で、何か用?」

「そうそう、赤の本体には中級エリクサー4~5本飲ませて一日置いてから上級を4~5本飲ませてやってくれ。図体がでかいのと、端末の焼けるのを少しでも楽になるように本体が痛みとか熱さを引き受けてたからな。やけどが酷い」

「わかった。傷薬とか塗った方がいいかな?」

「あるなら使ってやってくれ。そうだ、最初にエリクサー1本飲ませてから全身を聖水で濡らしてやってくれ。少し吸血鬼からの呪詛を受けているからな。この手順は金の竜にも必要だ。金の竜の玉は南方だな。薄い気配があるから土の中かもしれん。あの辺はダンジョンないからな」




その頃の拠点

エドガーは宿題の傷薬の質を上げる事に取り組んでいた。『質が上がれはギルドが買い取る時に値段が上がる。同じ材料使ってもコストパフォーマンスをよくするのも錬金術師の腕だ』とヨアヒムに言われてエドガーも納得している。それ以外にもハーブの収穫と干す事も日課になっていた。
 宗介は薄茶色い蒸留酒にグリーナーの土産のリンゴを漬けていた。最初は小さな瓶に自分の楽しみで漬けていたのだが、酒飲みどもにに意外と評判もよくかなりの量を大きな甕に漬けるようになっていた。黙々とリンゴを切っている横でニーアが芯を取ってくれている。ブラッドがそのリンゴを甕にいれる。この酒を炭酸水で割ったものをニーアとブラッドの酒をほとんど飲まない二人が楽しみにしているのだ。それで宗介は張り切ってリンゴを漬けた蒸留酒をつくってるのだ。

「ブラッドもニーアちゃんもこの酒飲んでくれるの嬉しいわ」

宗介がご機嫌で言う。

「これなら果物の香りが良いから少しなら飲める。さすがに割らないとだめだけどな」

ニーアも横で頷いている。

「私はこれに氷入れたのが好きだな」

剥いてあるリンゴをつまみながら白ワインを飲んでいるマリナが言う。

「あんたは強い酒好きだからな」

ブラッドの言葉にマリナは

「宗介が時々飲んでる透明の北の蒸留酒はさすがに強かったよ」

「あらぁ、喉の焼ける感じがいいんだよ」

という。


 ユリアーナとエヴァは二人で畑仕事をしている。

「そろそろお芋は収穫かな」

「かなり大きくなったね」

二人は楽しそうである。そのままハーブガーデンを見て回る。

「あ、これ収穫しないと。…私たちがやっちゃったらだめか」

「エドガーに言わないと。それで頼まれたら手伝おう」

「兄さん、収穫時期見定めるのはまだ無理なんだろうなぁ」

と二人は話しながらエドガーがいる工房へ向かった。
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