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ダンジョン攻略の章

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 「さて、最上級のポーション草捜しに行かないと」

ヨアヒムはヴァイキーとエヴァに旅支度をさせる。

「あてはあるのか?」

アキラに聞かれ

「エドガーとルトガーが初期にポーション草取ってた草原に行く。上級ポーション草があるってことは最上級もある可能性がある」

ヨアヒムがいう。

「で、魔剣の探知スキルを利用するつもりだ」

「お前、ヒト使い、荒いんだよ」

久々に魔剣がブーブー言っている。このところはエヴァやヴァイキーと会話していたのでそこそこ普段は静かにしていられたようだ。

「立ってるものは親でも使う。ましてや君は親ではない。ので俺に使われるんだよ」

「…エリクさー一滴味見させろ」

「一滴ならな。報酬も出したんだから文句言うなよ?」

ヨアヒムもそこそこ魔剣あしらいには慣れているらしい。

「…ユリアーナも一緒に行ってみる?エドガーと俺が面倒みるし」

「いいの?」

「動きやすい恰好でね」

「農作業の時の恰好で行く」

ユリアーナは返事をして着替えにいった。



御者台にはユリアーナとマルク、中にはエヴァ、ヴァイキーとエドガー、ルトガーが乗っている。みな無理にはしゃべろうとせずにまったりとしているので馬車の中は拠点の居間にいるようだった。

 目的の草原につくと、ルトガーたちウルリッヒ兄弟はエディル草、傷薬の材料の草をユリアーナに教える。今日は一日エディル草を取って、5つ枚一組にすることをユリアーナに教える。エドガーはエディル草をすりつぶし調合してあるオイルと合わせ自前の傷薬を作っている。マルクはのんびり珈琲をいれるために豆をひき始めた。



 魔剣はサーチを開始する。

「ここから3kM圏内にはない」

魔剣の指示に従い、3本の最上級ポーション草が手に入った頃にはとっぷりと陽も暮れていた。

「元の所に戻るには直線で1時間くらい速歩でかかるな」

「エヴァ、背中にこい」

ヴァイキーはエヴァを背中に背負う。エヴァは何も言わなかったが二人に付き合って既に足が棒になっているのにヨアヒムもヴァイキーも気が付いていた。エヴァが弱音を吐く事はまずないのでヴァイキーは強引にエヴァを抱え上げた。

「ヴァイキー、腹減ってんだよ」

魔剣が絶妙なタイミングでフォローを入れる。エヴァは照れながら答える。

「…仕方ない。ヴァイキーありがとう」

「急ぐから口閉じとけ。舌噛むぞ」

ヴァイキーの背中のでエヴァは真っ赤になっているがヨアヒムは何も言わずに速度をあげた。



 「腹減った…」

ヨアヒムがキャンプ地についたとたん言った。

「帰宅一番それかい。まずは水分とれ。…エヴァは大丈夫か?顔色が青い。横になって」

マルクがてきぱきとシートを引いて枕を作りエヴァを横にならせる。

「…ごめんね。さすがにこういう馬車に酔った感じにヒール使うのもどうかと思って」

ルトガーがエヴァに氷魔法で冷たく甘くした紅茶を渡す。

「お昼ちゃんと食べました?」

三人は三者三葉に首を横に振った。

「お腹すきすぎると気持ち悪くなりますよ。子供の時よくユリアーナがそうなってたから」

「えへへ」

ユリアーナは笑ってごまかす。冷たい紅茶をエヴァは飲み干して少し人心地着いたようだった。

「さて、長時間食べてないあんたらにはこれだな」

トマトとチーズの匂いが辺りに立ち込める。

「トマトのリゾット。これは旨いぞ。これ食べたらあとの腹具合で何出すか決める」

マルクはトマトのリゾットを各々の器に盛り渡す。エドガーとユリアーナが期待に満ちた目で見ているのでマルクは苦笑しながら二人にもリゾットをよそった。

「あー、これに肉気あったらもっと嬉しい」

「これにソーセージ入れたら食べるのか?」

マルクに聞かれヨアヒムもヴァイキーもエヴァもエドガーも頷いた。

「わかった」

大きな黒い鍋一杯にリゾットはあったのでマルクはそこにソーセージを輪切りにして入れる。

「ついでに長いままのソーセージもそこに入れといて。後で酒と一緒にあったかいソーセージ、肴にする」

ヨアヒムの要求にマルクは笑いながらソーセージを新たに追加した。
 
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