168 / 585
ダンジョン攻略の章
39
しおりを挟む
上級ポーションが注がれるとそのたびに光が大きくなる。
「あ」
固唾をのんで見守っていた妖精王が声をだした時、ダンジョンコアのもやのボールが生まれたての妖精、闇の妖精の姿に変わった。オールもその声で目覚めた。
「おびえなくていい、僕だよ」
ダンジョンコアに妖精王は語りかける。
「マ、リナ」
闇の妖精、ダンジョンコアはそういうとマリナの胸にぴったりと張り付く。
「マリナ、ぁりがとぉ」
おぼつかない声をダンジョンコアが出す。
「成功したのかな?」
「吸血鬼の影響は抜いたけど…正直どこまで抜けてるかはわからん」
マリナの声が疲労をにじませる。
「ちなみにこのダンジョンに入ってから今までで三日、かかってる。知ってた?」
妖精王がおどけながら教えてくれる。
デヴィッドが暫く考えていた事を口にした。
「なぁ、この部屋に吸血鬼だけ動けなくできる罠とか陣をはれる?」
オールとマリナが同時に
「できる」
と答えた。
マリナが描く陣をオールは真剣に見つめている。マリナが描きあげた陣にオールがなにか付け加えている。そして陣の上に無造作に魔力無効の蔦で作った縄と落とした。
「陣の発動とともに対象を捕縛するようにした」
とオール。
「今、コアへの影響力が消えてたら確認にくるだろう?きっとこの部屋に直行すると思う」
デヴィッドが言う。妖精王が
「ならば29階でそいつらが来るまで休むのはどうかな。比較的安全だと思うし。われらが
警戒してるから本気で休んでもらって構わない」
「一応、警報の魔法もかけておくよ。」
29階のこの塔の裏にあたる所でオールが言う。今いるもの以外が入ってきたら反応する、という条件付けをして魔法を発動させた。この魔法は一度発動させると発動者が魔法を解くか侵入者があるか、でないと終わらない魔法らしい。
アキラは大きなシートをひとつと簡易ベッドを三つ出した。あとは適当にかけるものを出す。そして適当にご飯をアイテムボックスから出して
「食べる?」
と妖精王に尋ねる。
「いいのかい?」
「いいぞ。人の嗜むものに興味がるだろう?」
「ああ。この形態をとれたということは擬態ができるようになるっていうことで。今までコアがやっていた各階層のチェックも暫く私がすることになるだろうし」
闇の精霊=ダンジョンコアはアキラの従魔になったソウときゃっきゃと遊んでいる。このあたりに咲いているピンクの花の蜜を吸ったり他の精霊たちと遊んだりしている。
皆が食事をとって、横になる。どのくらい眠ったのか何かが弾ける感覚と塔に突っ込んでいく赤い髪の女が見えた。しばらくして妖精王が
「そろそろかな」
と呟くと名伏し難い呪詛にまみれた音波が塔から漏れてきた。妖精王が慌てて塔の周りを保護膜で覆った。
「この子達にこんなけがれたものを聞かせたくなくてね」
と妖精王は言った。
「あ」
固唾をのんで見守っていた妖精王が声をだした時、ダンジョンコアのもやのボールが生まれたての妖精、闇の妖精の姿に変わった。オールもその声で目覚めた。
「おびえなくていい、僕だよ」
ダンジョンコアに妖精王は語りかける。
「マ、リナ」
闇の妖精、ダンジョンコアはそういうとマリナの胸にぴったりと張り付く。
「マリナ、ぁりがとぉ」
おぼつかない声をダンジョンコアが出す。
「成功したのかな?」
「吸血鬼の影響は抜いたけど…正直どこまで抜けてるかはわからん」
マリナの声が疲労をにじませる。
「ちなみにこのダンジョンに入ってから今までで三日、かかってる。知ってた?」
妖精王がおどけながら教えてくれる。
デヴィッドが暫く考えていた事を口にした。
「なぁ、この部屋に吸血鬼だけ動けなくできる罠とか陣をはれる?」
オールとマリナが同時に
「できる」
と答えた。
マリナが描く陣をオールは真剣に見つめている。マリナが描きあげた陣にオールがなにか付け加えている。そして陣の上に無造作に魔力無効の蔦で作った縄と落とした。
「陣の発動とともに対象を捕縛するようにした」
とオール。
「今、コアへの影響力が消えてたら確認にくるだろう?きっとこの部屋に直行すると思う」
デヴィッドが言う。妖精王が
「ならば29階でそいつらが来るまで休むのはどうかな。比較的安全だと思うし。われらが
警戒してるから本気で休んでもらって構わない」
「一応、警報の魔法もかけておくよ。」
29階のこの塔の裏にあたる所でオールが言う。今いるもの以外が入ってきたら反応する、という条件付けをして魔法を発動させた。この魔法は一度発動させると発動者が魔法を解くか侵入者があるか、でないと終わらない魔法らしい。
アキラは大きなシートをひとつと簡易ベッドを三つ出した。あとは適当にかけるものを出す。そして適当にご飯をアイテムボックスから出して
「食べる?」
と妖精王に尋ねる。
「いいのかい?」
「いいぞ。人の嗜むものに興味がるだろう?」
「ああ。この形態をとれたということは擬態ができるようになるっていうことで。今までコアがやっていた各階層のチェックも暫く私がすることになるだろうし」
闇の精霊=ダンジョンコアはアキラの従魔になったソウときゃっきゃと遊んでいる。このあたりに咲いているピンクの花の蜜を吸ったり他の精霊たちと遊んだりしている。
皆が食事をとって、横になる。どのくらい眠ったのか何かが弾ける感覚と塔に突っ込んでいく赤い髪の女が見えた。しばらくして妖精王が
「そろそろかな」
と呟くと名伏し難い呪詛にまみれた音波が塔から漏れてきた。妖精王が慌てて塔の周りを保護膜で覆った。
「この子達にこんなけがれたものを聞かせたくなくてね」
と妖精王は言った。
0
お気に入りに追加
66
あなたにおすすめの小説
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!
召喚されたけど要らないと言われたので旅に出ます。探さないでください。
udonlevel2
ファンタジー
修学旅行中に異世界召喚された教師、中園アツシと中園の生徒の姫島カナエと他3名の生徒達。
他の三人には国が欲しがる力があったようだが、中園と姫島のスキルは文字化けして読めなかった。
その為、城を追い出されるように金貨一人50枚を渡され外の世界に放り出されてしまう。
教え子であるカナエを守りながら異世界を生き抜かねばならないが、まずは見た目をこの世界の物に替えて二人は慎重に話し合いをし、冒険者を雇うか、奴隷を買うか悩む。
まずはこの世界を知らねばならないとして、奴隷市場に行き、明日殺処分だった虎獣人のシュウと、妹のナノを購入。
シュウとナノを購入した二人は、国を出て別の国へと移動する事となる。
★他サイトにも連載中です(カクヨム・なろう・ピクシブ)
中国でコピーされていたので自衛です。
「天安門事件」
辺境の最強魔導師 ~魔術大学を13歳で首席卒業した私が辺境に6年引きこもっていたら最強になってた~
日の丸
ファンタジー
ウィーラ大陸にある大国アクセリア帝国は大陸の約4割の国土を持つ大国である。
アクセリア帝国の帝都アクセリアにある魔術大学セルストーレ・・・・そこは魔術師を目指す誰もが憧れそして目指す大学・・・・その大学に13歳で首席をとるほどの天才がいた。
その天才がセレストーレを卒業する時から物語が始まる。
病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?
悠
ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。
それは——男子は女子より立場が弱い
学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。
拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。
「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」
協力者の鹿波だけは知っている。
大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。
勝利200%ラブコメ!?
既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?
さようなら、私の初恋。あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる