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ダンジョン攻略の章

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 「まだアイテムボックスには100本ばかり残ってるからな」

妖精王もソウも含めて皆、その部屋に入った。その真ん中には闇がボール状になって残っている。妖精王の眼から涙が滴った。

「我が主…」

「ダンジョンコアなの、これ?」

アキラの言葉に妖精王は頷いた。そのボールは真っ黒で先ほどの『闇』を凝縮したような色と状態だった。

「大丈夫。大丈夫よ」

マリナはそういいながらダンジョンコアを抱き上げる。先ほどから力を込めていた聖水をすこしずつダンジョンコアの上に振りかける。手のひらの温度でダンジョンコアにその聖水をしみこませるかのようにダンジョンコアの周りを温めているようだ。

 マリナが力を込めた聖水が全て無くなるころにダンジョンコアの周りがゆるみ黒い霧が手の大きな男性が中指と人差し指でつくる輪っかぐらいの大きさで浮き上がってる。

「『なりたて』に近い状態です」

妖精王が言う。

「んー、吸血鬼の影響は抜けてないね。…浄化はするけどもしこのコアが破壊されたらどうなる?」

「わかりません…が、私がこの姿になっているのでコアの核さえあれば何とかなると思います」

無機質な瞳で妖精王はダンジョンコアを見つめる。

「…私はこの子を浄化しなければいけない。魔力が足りるかもわからない。MPポーションは…あんまりないな」

「俺が持ってる。最上級は25本、上級50本、通常のものが78本ある。最上級のものはどんな状態からでも魔力を回復するので、外に出したことはないヨアヒム秘蔵のものだ」

アキラが安心させるようにマリナに告げる。

「…ヨアヒムあいつ何作ってるんだ」

デヴィッドが感心しつつ呆れている。

「あと、オール、こういう魔法陣描けるか?」

注がれるMPポーションを陣の真ん中にいるマリナに魔力として届けるという陣を描けとアキラはオールに要求する。

「任せて」

オールは暫く考え込んでからアキラに布を出してもらいそこに何かを描き始めた。

「有体にいって、オールは天才なんだよ、俺が拳で冒険者としてなりあがったのは魔術では一番になれないからだ。オールがいる限りな」

小さな声でデヴィッドはアキラに告げる。オールは何も聞こえてないらしく一心不乱に布に陣を書き連ねる。小一時間たったころ、オールが顔を上げる。

「マリナ、ちょっと座って」

と陣の真ん中にマリナを呼ぶ。

「さっきから癒し唄歌って少し魔力減ってるね?」

マリナはダンジョンコアに柔らかい歌を注ぎ続けていたのだ。

「普通のMPポーション注いでみるよ」

陣の上に描かれた円の中にぽたぽたとポーションを注ぐ。真ん中のマリナが少し光った。

「よし、成功」

アキラは少しでも楽なようにとソファをアイテムボックスから引きずりだした。

「なんでそんなもの持ってるの?」

マリナが丸い目で尋ねた。

「あ、以前助けた家具屋から貰った」

と端的な説明がアキラから帰ってきてマリナは少し笑う。

「で。陣の中央のがここで、この上に座って。で、円から下に染み出したら魔力は足りてるから。その様子もみといてね。俺はちょっと疲れたから寝たいんだが…簡易ベッドとか入ってるよね、アイテムボックス」

アキラが笑いながら簡易ベッドを出してきた。

「残念ながら持ってたな」

 マリナが眠り唄を歌いオールとダンジョンコアが眠る。アキラとデヴィッドと妖精王は耐えた。

「浄化行きます。出来たら上級ポーション、2回お願い」

そういいながらマリナがエメラルド吸血鬼を浄化したような光がマリナの手から手の中の『なりたて』のダンジョンコアに注がれた。
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