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ダンジョン攻略の章
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「お客人だ!」
妖精の声が聞こえる。
「『なりたて』を連れてるね」
「あ!」
「あっ」
「あー」
複数の妖精の声とともにアキラの右肩の上に小さな小さなドラゴンが誕生した。
「キュー」
「…アキラの従魔になってるよ」
マリナが呟く。この4人は全員鑑定スキル持ちでアキラの肩にいるドラゴンを見る。名前はソウ、スキルや特徴的なものは何もない。ドラゴンレベル1としかステータスがなかった。
「しゃーねーから連れていくしかないな」
デヴィッドがドラゴンの鼻先をつつく。
「だい、じゅおぶ。うま、く話せて、る?」
「ああ」
声を出し始めたドラゴン、ソウにアキラは頷いた。そこにいる妖精集団のリーダーが発言した。
「ソウにはこの塔の知識を伝授しました。貴方達が黒い霧と無関係ならその子についていけば主のいる場所にたどり着けます。ただし主の部屋のある階層は僕らは入れなかったのでわかりません。ソウとぼくはつながっています。ソウはここで『成った』子なので。ソウがみた事は全部僕にわかります。主を助けてください」
「ダンジョンコアのことかな、主って」
オールに聞かれてリーダーは頷いた。
「蝙蝠の翼の生えた男女がやってきたときには手の中にコアが居て。…それからわからないけどコアになにかしたみたいで冒険者が来なくなったって。まぁもともとこの階層には冒険者来ないんだけど。僕はずっとこの階層を管理してたんだけどここはもともと敵の類はいないんだ。この塔から30階層に行けるんだ。ここは僕らみたいなのを育てる為の階層で、冒険者向けではないんだけど」
「この階層は妖精眼がないと突破できない?」
デヴィッドが尋ねると妖精のリーダーはにこっと笑う。
「そんなことないよ。観察眼がすぐれてて視力がそこそこ良ければものすごく簡単にここは突破できる。…君たちみたいに力技で走り抜けるのは無理だけど」
と楽しそうに笑っている。塔ばかり見ていた3人と抱えられていたマリナは気が付いていなかったが、足元の花を見ると一面の桃色の花の中でところどころ違う色の花が混ざっている。その花を追って歩いていくと半時もすればその塔の入口に着くようになっている。そこから素直に階段を降りると30階層に着くのだが、アキラ達が目指さなければいけないのは30階層と29階層のはざまにある『ダンジョンコアの階層』なのだ。
この階層は普段は冒険者に認知されないようになっている。いや、今も『冒険者』には認知されない。この4人の事をここの妖精たちは『救援者』と認識し、その救援者達に状況がわからないダンジョンコアを託すと決めたのだ。
妖精たちが決めたのはマリナの唄だった。マリナの唄はこの階層を満たし弱ったなりたてや妖精を癒したからであった。このダンジョンの異常はダンジョンコアの弱体化も含まれていると妖精たちは読んでいるようだった。
今まで外敵もなくほやほやしていたなりたてたちを食べるものがいるのだ。あの黒い靄はこのダンジョンが荒れてからでてくるようになったということなのでなんとしてもダンジョンコアをみつけよう、とアキラ達は妖精のリーダーに約束した。
「君の名は?」
オールが尋ねる。
「僕は『妖精を統べるもの』」
と名乗る。アキラは日本の高校の時授業でやった『オベロン』みたいな立場の子なんだなと考える。そのとたん小さな妖精の姿だった妖精のリーダーが変化した。
背の高い少しオールと似た、ふわっとカールした長い金とも銀ともつかない光る髪に青と緑が入り混じった瞳の美しい青年が立っていた。背中には今までような薄い透明な羽が玉虫色で薄く向こうが透けた幻想的な羽をもつ姿を取っていた。
「ありがとう、人の子よ。私に名をくれて」
妖精のリーダーは小さな妖精たちに
『王様だ』 『王様だ』 『王様だ』 『王様だ』 『王様だ』
と喜ばれていた。
「今から行くところには妖精は誰も入れなかった。ただこの子は君の従魔なので君と同じフィールドに立てるという性質を持っている。多分この子はついていけると思う。だめそうなら…入口からは入れないので、私が預かろう」
「ありがとな」
アキラが礼を言うと、妖精王はにっこりとつややかに笑った。
妖精の声が聞こえる。
「『なりたて』を連れてるね」
「あ!」
「あっ」
「あー」
複数の妖精の声とともにアキラの右肩の上に小さな小さなドラゴンが誕生した。
「キュー」
「…アキラの従魔になってるよ」
マリナが呟く。この4人は全員鑑定スキル持ちでアキラの肩にいるドラゴンを見る。名前はソウ、スキルや特徴的なものは何もない。ドラゴンレベル1としかステータスがなかった。
「しゃーねーから連れていくしかないな」
デヴィッドがドラゴンの鼻先をつつく。
「だい、じゅおぶ。うま、く話せて、る?」
「ああ」
声を出し始めたドラゴン、ソウにアキラは頷いた。そこにいる妖精集団のリーダーが発言した。
「ソウにはこの塔の知識を伝授しました。貴方達が黒い霧と無関係ならその子についていけば主のいる場所にたどり着けます。ただし主の部屋のある階層は僕らは入れなかったのでわかりません。ソウとぼくはつながっています。ソウはここで『成った』子なので。ソウがみた事は全部僕にわかります。主を助けてください」
「ダンジョンコアのことかな、主って」
オールに聞かれてリーダーは頷いた。
「蝙蝠の翼の生えた男女がやってきたときには手の中にコアが居て。…それからわからないけどコアになにかしたみたいで冒険者が来なくなったって。まぁもともとこの階層には冒険者来ないんだけど。僕はずっとこの階層を管理してたんだけどここはもともと敵の類はいないんだ。この塔から30階層に行けるんだ。ここは僕らみたいなのを育てる為の階層で、冒険者向けではないんだけど」
「この階層は妖精眼がないと突破できない?」
デヴィッドが尋ねると妖精のリーダーはにこっと笑う。
「そんなことないよ。観察眼がすぐれてて視力がそこそこ良ければものすごく簡単にここは突破できる。…君たちみたいに力技で走り抜けるのは無理だけど」
と楽しそうに笑っている。塔ばかり見ていた3人と抱えられていたマリナは気が付いていなかったが、足元の花を見ると一面の桃色の花の中でところどころ違う色の花が混ざっている。その花を追って歩いていくと半時もすればその塔の入口に着くようになっている。そこから素直に階段を降りると30階層に着くのだが、アキラ達が目指さなければいけないのは30階層と29階層のはざまにある『ダンジョンコアの階層』なのだ。
この階層は普段は冒険者に認知されないようになっている。いや、今も『冒険者』には認知されない。この4人の事をここの妖精たちは『救援者』と認識し、その救援者達に状況がわからないダンジョンコアを託すと決めたのだ。
妖精たちが決めたのはマリナの唄だった。マリナの唄はこの階層を満たし弱ったなりたてや妖精を癒したからであった。このダンジョンの異常はダンジョンコアの弱体化も含まれていると妖精たちは読んでいるようだった。
今まで外敵もなくほやほやしていたなりたてたちを食べるものがいるのだ。あの黒い靄はこのダンジョンが荒れてからでてくるようになったということなのでなんとしてもダンジョンコアをみつけよう、とアキラ達は妖精のリーダーに約束した。
「君の名は?」
オールが尋ねる。
「僕は『妖精を統べるもの』」
と名乗る。アキラは日本の高校の時授業でやった『オベロン』みたいな立場の子なんだなと考える。そのとたん小さな妖精の姿だった妖精のリーダーが変化した。
背の高い少しオールと似た、ふわっとカールした長い金とも銀ともつかない光る髪に青と緑が入り混じった瞳の美しい青年が立っていた。背中には今までような薄い透明な羽が玉虫色で薄く向こうが透けた幻想的な羽をもつ姿を取っていた。
「ありがとう、人の子よ。私に名をくれて」
妖精のリーダーは小さな妖精たちに
『王様だ』 『王様だ』 『王様だ』 『王様だ』 『王様だ』
と喜ばれていた。
「今から行くところには妖精は誰も入れなかった。ただこの子は君の従魔なので君と同じフィールドに立てるという性質を持っている。多分この子はついていけると思う。だめそうなら…入口からは入れないので、私が預かろう」
「ありがとな」
アキラが礼を言うと、妖精王はにっこりとつややかに笑った。
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