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ダンジョン攻略の章

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 「エドガー達の母親の腹の中の子が育ち切るかどうかは彼女の魔力次第だな」

オールが吸精鬼は魔力と精力が多くないとお腹の中で育たない。1/4の吸精鬼でも変わらないから命がかかる。魔力が低ければ早めに体内に吸収されるので大丈夫なんだけど…、と難しい顔になっている。

「良くはわからないけど…吸精鬼の子を妊娠した女性はその後、性欲が強くなるからそういう決まった相手がいる場合はいいんだけど…」

オールは眉間に皺を寄せている。

「ルトガーの母親だから魔力が高い可能性あるしなぁ」

「なぁ、なんであの吸精鬼の子供って決めてるんだ?」

アキラが疑問を口にする。ニーアが固まった、

「…あいつ、お腹の大きい女性は相手にしないんだ。だからニーアの母親は餌食にならなかった。というか…ニーアの父親がまがりなりとも出産まで一緒にいて子供が自分を父親と認識できるまで顔を出したのはニーアのケースだけだ」

ニーアは固まったままびっくりしている。

「本国のお子さんたちも顔を合わせたことはほとんどないらしい。妻とのいざこざで家を出て、なぜか妻が家に居座り、ヒースは家に帰らなくなったんだ。そこに何があったかは我々にはわからん。ただ、その家の当主がそろそろ引退時期なんでとりあえずヒースが必要なんだよ。当主になるにしろ、息子に譲るにしろ、生死不明所在不明のままだと手続きが進まない」

ブラッドが呟く。

「困ったもんだ、…無責任なやつじゃなかったんだがな」

「ブラッドは知り合いなの?」

オールが驚いた顔でブラッドに尋ねる。

「古い知り合いだな。幼馴染って言ってもいいかもしれん。生まれてから十年ほどは一緒にそだったしな。あいつがエルフの中で変わり者なのは最初の十年をドワーフ集落で過ごしたからかもな」

ブラッドはちょっと口ごもりながら教えてくれた。

「あいつの両親、お貴族様でな。あいつの父親とうちの母親が仕事の依頼主と依頼先で。その当時跡取り争いで殺されかねなかったから我が一族が預かる事になったらしい」

オールまでが

「知らなかった…」

と呟く。

「そら話してないからな。ニーアがヒースの娘だとは気が付かなかったしな。エルフ内の政治は色々首を突っ込みたくなかったから話を聞いてないし」

オールは溜息をついた。

「まあ、な…。俺も長兄からの依頼じゃなかったらこの件受けてないし」

アキラが尋ねる。

「デヴィッドは何番目?」

「デヴィッドは3番目。俺が8番目。9人兄弟、7男2女。姉の夫はは親戚のフェイスにべた甘で、ね…。『女の子は特別なんだよ。女の子はみんなお姫様だから』って言ってる人だ。おかげで姉と夫の仲も微妙で…」

とオールはうんざりした口調で答える。

「本当に面倒くさいんですよ。姉と夫も政略結婚で本当は子供つくらないといけないんですが姉の夫の態度で姉が硬化しちゃって。もう200年くらい別居状態。…しっちゃかめっちゃかですよ、ほんと」

オールの愚痴は暫く続いていた。ブラッドは

「そうか、そうか」

とつきあっており、他のメンバーに『もう行っていいぞ』と手で合図をした。


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