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アキラの章
22
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「ごめん、警戒させたね。僕らは西の侯爵の領地にある学園の冒険クラブのメンバーなんだ。一応みんな在学中でC級になった冒険者なんだ。僕はエリクと呼ばれている」
ランディがぶっきらぼうに尋ねる。
「西の侯爵の領地内の『学園』って西方と南方の貴族の行く、公爵が設立した貴族学園の事?」
「よく知ってるね」
亜麻色の髪のエリクは肩をすくめる。
「いつもならあのダンジョン、出入り自由で学生が小遣いとか学費稼いでる場所なんだけど、これから暫く入れないっていうから」
「ああ、邪魔だから来るな」
ランディは警戒しまくりながら言う。どう見ても学生にふさわしくない金のかかった装備に物見遊山気分のメンバーを見て自分たちの調査の邪魔になると判断したのだ。
「これから暫くギルドの依頼であのダンジョンで仕事なんだ。仕事が終わるまで『冒険』は遠慮してくれ」
エリクはかっとなった。
「君だって学生二人連れてるじゃないか」
ルトガーとエドガーが声を揃えて言う。
「冒険者でーす」
「俺は私立の高校を出てる」
「俺は士官学校の分校を出てる」
また二人の声が揃う。
「学生のクラブ活動じゃないんです、仕事なんです」
この反論にエリクはかっとなったようだった。
「西部最大のウルリッヒ商会支部の支部長の息子の俺をこけにするのか」
ランディがぼそっという。
「肩書がなげぇよ」
思わずルトガーとエドガーが爆笑する。
「…決闘だ」
エリクが低くつぶやくがランディは取り合わない。
「俺達の仕事に君とのじゃれあいは入ってない」
ランディはあくまで大人の立場で諭す。ランディ自身は背の高いいかつさのある雰囲気なので威圧感が高い。
「っ…」
エリクは真っ赤な顔で自分の仲間の方へ帰っていった。暫くしてあちらのパーティにいた
女生徒が寄ってくる。
「あのぉ。一緒に入らせてもらえません?」
容姿の良い、淡いピンク色がかったようなストロベリーブロンドに菫色の瞳の少女なのだが夕闇の中では彼女の武器の髪色も瞳の色も効果はなかった。そしてルトガーとエドガーは自分たちの姉妹、ブランカとユリアーナを見慣れていたのでこの程度の美少女にかわいいと判断付ける事はなかったし、ランディはこういう下から見上げて舌足らずで話すようなタイプは大嫌いだったのだ。
「無理」
「邪魔」
「仕事の邪魔だ」
三人はそう答えてその少女を無視し、夕飯を終わらせさっさと寝支度に入った。少女はしばらく突っ立っていたが、いきなり泣き出し仲間の元へ走って帰った。
向こうの集団が寝入った頃に、音もたてずにランディ達三人は撤収し、そのまま寝ずにダンジョンへ向かった。そしてギルド職員と落ち合い、入口の封鎖と状況を話すと早朝のうちにダンジョンへ入り、最初のセーフエリアに昼前に到達した。
「ここで睡眠時間の追加をしておこう」
三人はここで仮眠を取っていた。
「やっぱりここにいたっ」
すごい声で三人の冒険者、エリクと昨夜の少女と少年がもう一人セーフティエリアに入っ
てきた。
「あんたたちだけダンジョンに入れるなんてずるいだろう」
「冒険者同士なんだから融通利かせてよ」
一斉にしゃべりだす。ルトガーが
「これは遊びじゃないって言ってます。僕らはギルドの依頼で動いている。依頼の邪魔をしたということで冒険者ギルドに報告させてもらう」
「そんなことしたらうちの商会から君たちの街に荷物が行かないようにしてやる」
「ウルリッヒ商会は君の商会じゃない」
ルトガーはきっぱりと言い渡す。
ランディがぶっきらぼうに尋ねる。
「西の侯爵の領地内の『学園』って西方と南方の貴族の行く、公爵が設立した貴族学園の事?」
「よく知ってるね」
亜麻色の髪のエリクは肩をすくめる。
「いつもならあのダンジョン、出入り自由で学生が小遣いとか学費稼いでる場所なんだけど、これから暫く入れないっていうから」
「ああ、邪魔だから来るな」
ランディは警戒しまくりながら言う。どう見ても学生にふさわしくない金のかかった装備に物見遊山気分のメンバーを見て自分たちの調査の邪魔になると判断したのだ。
「これから暫くギルドの依頼であのダンジョンで仕事なんだ。仕事が終わるまで『冒険』は遠慮してくれ」
エリクはかっとなった。
「君だって学生二人連れてるじゃないか」
ルトガーとエドガーが声を揃えて言う。
「冒険者でーす」
「俺は私立の高校を出てる」
「俺は士官学校の分校を出てる」
また二人の声が揃う。
「学生のクラブ活動じゃないんです、仕事なんです」
この反論にエリクはかっとなったようだった。
「西部最大のウルリッヒ商会支部の支部長の息子の俺をこけにするのか」
ランディがぼそっという。
「肩書がなげぇよ」
思わずルトガーとエドガーが爆笑する。
「…決闘だ」
エリクが低くつぶやくがランディは取り合わない。
「俺達の仕事に君とのじゃれあいは入ってない」
ランディはあくまで大人の立場で諭す。ランディ自身は背の高いいかつさのある雰囲気なので威圧感が高い。
「っ…」
エリクは真っ赤な顔で自分の仲間の方へ帰っていった。暫くしてあちらのパーティにいた
女生徒が寄ってくる。
「あのぉ。一緒に入らせてもらえません?」
容姿の良い、淡いピンク色がかったようなストロベリーブロンドに菫色の瞳の少女なのだが夕闇の中では彼女の武器の髪色も瞳の色も効果はなかった。そしてルトガーとエドガーは自分たちの姉妹、ブランカとユリアーナを見慣れていたのでこの程度の美少女にかわいいと判断付ける事はなかったし、ランディはこういう下から見上げて舌足らずで話すようなタイプは大嫌いだったのだ。
「無理」
「邪魔」
「仕事の邪魔だ」
三人はそう答えてその少女を無視し、夕飯を終わらせさっさと寝支度に入った。少女はしばらく突っ立っていたが、いきなり泣き出し仲間の元へ走って帰った。
向こうの集団が寝入った頃に、音もたてずにランディ達三人は撤収し、そのまま寝ずにダンジョンへ向かった。そしてギルド職員と落ち合い、入口の封鎖と状況を話すと早朝のうちにダンジョンへ入り、最初のセーフエリアに昼前に到達した。
「ここで睡眠時間の追加をしておこう」
三人はここで仮眠を取っていた。
「やっぱりここにいたっ」
すごい声で三人の冒険者、エリクと昨夜の少女と少年がもう一人セーフティエリアに入っ
てきた。
「あんたたちだけダンジョンに入れるなんてずるいだろう」
「冒険者同士なんだから融通利かせてよ」
一斉にしゃべりだす。ルトガーが
「これは遊びじゃないって言ってます。僕らはギルドの依頼で動いている。依頼の邪魔をしたということで冒険者ギルドに報告させてもらう」
「そんなことしたらうちの商会から君たちの街に荷物が行かないようにしてやる」
「ウルリッヒ商会は君の商会じゃない」
ルトガーはきっぱりと言い渡す。
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