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アキラの章
02
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そこにいたのはエルフの少女だった。スレンダーな体に不思議な金と緑の混じった虹彩が印象に残る。
「師匠」
オールがそう呟いた。
「二ヶ月ぶりくらいか?」
オールの師匠、緑の親指 グリーナーが答える。
「そのくらいですか」
「ブラッドは…息災のようだな。よし」
というと『オレンジ』がアキラとオールの袋いっぱいになる。アキラは何も言わず二人分の袋をアイテムボックスに入れる。
「で、君は稀人なの?」
オールの問いにアキラは肯定の返事を返した。
「それもあたってる」
アキラはグリーナーに
「ここの果実って」
と聞くとグリーナーも説明してくれる。
「オールが生まれるより前に一度稀人を拾ってな、彼女、サチコは買い物帰りらしくて。夫が果物が好きだからって色々な種類の果物をもっていたのさ」
オールが教えてくれる。
「師匠の固有魔法で、植物の一部があれば全ての植物を生成させられるんだ。なので緑の親指って呼ばれてる」
少女はちょっと籠ってるのも飽きたから弟子についていくと言い出した。アキラはついてくることに同意したので、オールは今の状況を説明した。
「ふーん。お前の親戚って言っても姉の夫の姪か。あの家系の女はなぁ…。あんまり女性が生まれないから生まれたらちやほやしてだめにしちゃうからな。俺はアマゾネスの女王を訪ねて行った、事にしよう。よし」
そういうとグリーナーはその場から掻き消えた。
「すっごい魔力の圧だった」
アキラの感想にオールも頷く。
「あの人といると圧倒される。…己の魔術の研鑽の足りなさとか」
それからはオールの口からは己が師匠を称える言葉しかでなかった。二人にアマゾネスの娘達が合流した時には静かになっていたが。アマゾネスの娘たちは嬉しそうな顔で己が収穫物を大事そうに持っていた。
皆で帰った時にはフェイスも静かになっていて、オールとアキラを見ても何も言わなかった。そのまま二人は頭目の部屋に連れていかれる。
「正直に話しました。あの娘の刺青には嘘をついたら火が付いたように熱く感じる仕掛けがかかっていたようです」
熱く、どころではなかったのだろうとアキラもオールも考えていた。アマゾネスの女王、頭目の口からは正確な情報がもたらされていた。彼女曰くフェイスの告白からわかったことを話しただけだ、と。
「って、もしかして師匠が刺青の効果、付け加えたとか言いませんよね?」
「さあな」
グリーナーはしれっとした顔であった。
「彼女には捕縛の腕輪の代わりに、『鎮静の薔薇』を腕に這わせてもらいました」
これは目には見えない薔薇で、片腕に巻きつくように生えていて、呪文を知る者がその呪文を唱えると薔薇を這わされたものはたちまち眠ってしまう呪文だ。また、もう一つの呪文を唱えると呪文を唱えたもの以外対象者の周りにいるもの全てが眠る、そういう風にも使えるものだった。これもこの世界で使えるのはグリーナーとオール以外にいるかどうか、だった。
「女王さんはつかえるの?」
小声でアキラがオールに聞く。
「アマゾネスの女王は代々使える。あとはこの国の国王。それと緑魔術に適性があれば使えるんだが…、今のところ師匠がこれを教えるレベルに達する緑魔術の使い手はいない」
オールがアキラに教える。
「師匠」
オールがそう呟いた。
「二ヶ月ぶりくらいか?」
オールの師匠、緑の親指 グリーナーが答える。
「そのくらいですか」
「ブラッドは…息災のようだな。よし」
というと『オレンジ』がアキラとオールの袋いっぱいになる。アキラは何も言わず二人分の袋をアイテムボックスに入れる。
「で、君は稀人なの?」
オールの問いにアキラは肯定の返事を返した。
「それもあたってる」
アキラはグリーナーに
「ここの果実って」
と聞くとグリーナーも説明してくれる。
「オールが生まれるより前に一度稀人を拾ってな、彼女、サチコは買い物帰りらしくて。夫が果物が好きだからって色々な種類の果物をもっていたのさ」
オールが教えてくれる。
「師匠の固有魔法で、植物の一部があれば全ての植物を生成させられるんだ。なので緑の親指って呼ばれてる」
少女はちょっと籠ってるのも飽きたから弟子についていくと言い出した。アキラはついてくることに同意したので、オールは今の状況を説明した。
「ふーん。お前の親戚って言っても姉の夫の姪か。あの家系の女はなぁ…。あんまり女性が生まれないから生まれたらちやほやしてだめにしちゃうからな。俺はアマゾネスの女王を訪ねて行った、事にしよう。よし」
そういうとグリーナーはその場から掻き消えた。
「すっごい魔力の圧だった」
アキラの感想にオールも頷く。
「あの人といると圧倒される。…己の魔術の研鑽の足りなさとか」
それからはオールの口からは己が師匠を称える言葉しかでなかった。二人にアマゾネスの娘達が合流した時には静かになっていたが。アマゾネスの娘たちは嬉しそうな顔で己が収穫物を大事そうに持っていた。
皆で帰った時にはフェイスも静かになっていて、オールとアキラを見ても何も言わなかった。そのまま二人は頭目の部屋に連れていかれる。
「正直に話しました。あの娘の刺青には嘘をついたら火が付いたように熱く感じる仕掛けがかかっていたようです」
熱く、どころではなかったのだろうとアキラもオールも考えていた。アマゾネスの女王、頭目の口からは正確な情報がもたらされていた。彼女曰くフェイスの告白からわかったことを話しただけだ、と。
「って、もしかして師匠が刺青の効果、付け加えたとか言いませんよね?」
「さあな」
グリーナーはしれっとした顔であった。
「彼女には捕縛の腕輪の代わりに、『鎮静の薔薇』を腕に這わせてもらいました」
これは目には見えない薔薇で、片腕に巻きつくように生えていて、呪文を知る者がその呪文を唱えると薔薇を這わされたものはたちまち眠ってしまう呪文だ。また、もう一つの呪文を唱えると呪文を唱えたもの以外対象者の周りにいるもの全てが眠る、そういう風にも使えるものだった。これもこの世界で使えるのはグリーナーとオール以外にいるかどうか、だった。
「女王さんはつかえるの?」
小声でアキラがオールに聞く。
「アマゾネスの女王は代々使える。あとはこの国の国王。それと緑魔術に適性があれば使えるんだが…、今のところ師匠がこれを教えるレベルに達する緑魔術の使い手はいない」
オールがアキラに教える。
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