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ルトガーの章
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「ちゃんとミューの顛末を話そうと思って」
ランディとダヴィドは居心地が悪そうだ。アキラはこのキラキラしい少女趣味でも平気そうだなとルトガーは思った。そしてアキラはこういう所に置いても違和感がないくらい華奢である、とも。
ベルタがいたずら心たっぷりに盛り付けたファンシーな銀の皿が3枚、鳥かごのような支柱に支えられてるものが出てくる。一人一人に出てきて皆目が丸くなっているがアキラの様子が明らかに見知ったものの様でその上で嬉し気であった。
紅茶もたっぷり一人一人にティーポットが着く。そして白い皿が追加され焼きたてのスコーンとジャム、生クリームとバターの中間のようなものが出てきた。
「なんだ、これ」
ランディの言葉に給仕をしていたベルタが答える。
「アフタヌーンティって言うの。お嬢様方の今の流行かな。一番下の段から食べて、真ん中の段終わってからスコーン食べて、最後に最上段のデザート食べてね。うちのは味もいいから安心してね」
四人で、黙々と食べている。皆無言で、ルトガーが一番最後でスコーンに手を伸ばした時にダヴィドが話始めた。
「ミューは、今はエルフの娼館にいる。儀式の後に歓迎のパーティをしてくれたんだけどそこで王族の一人にしなだれかかってトラブったらしくて。残念ながらその時の事は直接見てなかったんだ。というか、見てる人がいなかったんだ。だからエルフの王族の言葉を鵜呑みにするしかなくて…」
ダヴィドは紅茶とデザートの合間にそんな話をぽつりぽつりとしていた。
「実際問題、うちの家とミューの家は曾祖父でつながってるんだけど、うちは直系本家でミューの家は家ごとトラブルメーカーで、今回のミューの巡礼を最後に縁を切る事になってたんだけど」
ダヴィドはそこで一息ついた。
「ミューが外にいるとヤバイのもあるし…。あいつ、どうも婚約詐欺やらかしてたみたいで。あと、最初に抜けた3人に『失敗させろ』ってお金もらったみたいで、ね」
ダヴィドが頭を下げる。
「縁を切るって言っても身内が迷惑をおかけしました。申し訳ないです」
と謝る。ルトガーとアキラは目を合わせる。アキラは
「いいよ。そういう危険混みの料金取ってるんだし。お金でちゃんと報われてるから」
「冒険者だからそれでいいんだよ」
アキラがそういい、ルトガーも追随した。
「ま、四人になったけど今日は無事終わった祝賀会って事で」
「酒はでないのかな?」
ランディが言うが、アキラが止める。
「酒はやめとけ。こんな部屋で粗相したら…」
ランディもうっと言って止まった。
「明後日、ランディ・ドマニっていうB級冒険者がここを見に来る」
結局、ベルタにたっぷりサンドイッチと軽食を持たされて返されたので夕食はそれになった。ルトガーが好きなサバサンドもある。朝の早いエドガーは勢いよく、効率的にタンパク質と糖分を摂取し、立ち上がりかけた時に、ニーアにマグカップ一杯のトマト味のたっぷりの野菜スープを渡される。
「ちゃんと飲めよ?」
野菜を避けがちなエドガーにルトガーが言うとちょっと拗ねた口をしたものの、熱々すぎたので覚ましながら少しずつスープを飲んでいる。そんな中でアキラはランディの訪問を告げる。
「誰、それ?」
エドガーが聞いた。
「巡礼の中にいた冒険者。ま、気のいいやつだから会えたら会うといい」
「俺、明日も遅いんだけど」
「もうすぐ学年の最終テストか」
ルトガーは頷く。
「別名、進級テスト。これで一定以上の成績取らないと上級にいけない。今年やったことを繰り返して卒業。武器の修練だとそれでもいいんだけど…。上級だと応用技もあるから進級したいんだ」
そう言ってエドガーは残ったスープを飲み干した。
「じゃ、寝るね。美味しかった」
そういいおいてエドガーは部屋に戻った。
ランディとダヴィドは居心地が悪そうだ。アキラはこのキラキラしい少女趣味でも平気そうだなとルトガーは思った。そしてアキラはこういう所に置いても違和感がないくらい華奢である、とも。
ベルタがいたずら心たっぷりに盛り付けたファンシーな銀の皿が3枚、鳥かごのような支柱に支えられてるものが出てくる。一人一人に出てきて皆目が丸くなっているがアキラの様子が明らかに見知ったものの様でその上で嬉し気であった。
紅茶もたっぷり一人一人にティーポットが着く。そして白い皿が追加され焼きたてのスコーンとジャム、生クリームとバターの中間のようなものが出てきた。
「なんだ、これ」
ランディの言葉に給仕をしていたベルタが答える。
「アフタヌーンティって言うの。お嬢様方の今の流行かな。一番下の段から食べて、真ん中の段終わってからスコーン食べて、最後に最上段のデザート食べてね。うちのは味もいいから安心してね」
四人で、黙々と食べている。皆無言で、ルトガーが一番最後でスコーンに手を伸ばした時にダヴィドが話始めた。
「ミューは、今はエルフの娼館にいる。儀式の後に歓迎のパーティをしてくれたんだけどそこで王族の一人にしなだれかかってトラブったらしくて。残念ながらその時の事は直接見てなかったんだ。というか、見てる人がいなかったんだ。だからエルフの王族の言葉を鵜呑みにするしかなくて…」
ダヴィドは紅茶とデザートの合間にそんな話をぽつりぽつりとしていた。
「実際問題、うちの家とミューの家は曾祖父でつながってるんだけど、うちは直系本家でミューの家は家ごとトラブルメーカーで、今回のミューの巡礼を最後に縁を切る事になってたんだけど」
ダヴィドはそこで一息ついた。
「ミューが外にいるとヤバイのもあるし…。あいつ、どうも婚約詐欺やらかしてたみたいで。あと、最初に抜けた3人に『失敗させろ』ってお金もらったみたいで、ね」
ダヴィドが頭を下げる。
「縁を切るって言っても身内が迷惑をおかけしました。申し訳ないです」
と謝る。ルトガーとアキラは目を合わせる。アキラは
「いいよ。そういう危険混みの料金取ってるんだし。お金でちゃんと報われてるから」
「冒険者だからそれでいいんだよ」
アキラがそういい、ルトガーも追随した。
「ま、四人になったけど今日は無事終わった祝賀会って事で」
「酒はでないのかな?」
ランディが言うが、アキラが止める。
「酒はやめとけ。こんな部屋で粗相したら…」
ランディもうっと言って止まった。
「明後日、ランディ・ドマニっていうB級冒険者がここを見に来る」
結局、ベルタにたっぷりサンドイッチと軽食を持たされて返されたので夕食はそれになった。ルトガーが好きなサバサンドもある。朝の早いエドガーは勢いよく、効率的にタンパク質と糖分を摂取し、立ち上がりかけた時に、ニーアにマグカップ一杯のトマト味のたっぷりの野菜スープを渡される。
「ちゃんと飲めよ?」
野菜を避けがちなエドガーにルトガーが言うとちょっと拗ねた口をしたものの、熱々すぎたので覚ましながら少しずつスープを飲んでいる。そんな中でアキラはランディの訪問を告げる。
「誰、それ?」
エドガーが聞いた。
「巡礼の中にいた冒険者。ま、気のいいやつだから会えたら会うといい」
「俺、明日も遅いんだけど」
「もうすぐ学年の最終テストか」
ルトガーは頷く。
「別名、進級テスト。これで一定以上の成績取らないと上級にいけない。今年やったことを繰り返して卒業。武器の修練だとそれでもいいんだけど…。上級だと応用技もあるから進級したいんだ」
そう言ってエドガーは残ったスープを飲み干した。
「じゃ、寝るね。美味しかった」
そういいおいてエドガーは部屋に戻った。
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