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ルトガーの章
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どやどやと巡礼団が帰ってきた。一様に皆、すっきりした顔つきになっている。なぜかミューがいない。案内役の青年エルフがアキラ達に通達する。
「ミューさんはこちらで働くことになりました。外の親戚ともあまり上手く行ってないようなので、こちらで新生活を、とのご希望でした」
というだけ言って、質問もなにも受け付けなかった。
フェイスの上長の神官の案内でエルフの森の中に入る直前に地下に向かう階段に向かう。その階段を降り切った所に広間があり、その奥に扉があった。アキラはその神官に住んでる街を聞かれる。アキラが街の名を告げると
「ここから徒歩だと2週間くらいですね。そこにほど近い、魔の森のギリギリ外くらいに出ます。もう扉をでたらその場所になるので、最初に戦闘能力がある人から出て警戒お願いします」
アキラはランディとルトガーを最後尾につかせる。自分が一番最初に、次にマルク、そして非戦闘員という形で外に出るようにした。外に出ると、エルフの森の入口にいた案内人が馬車と馬を守って立っていた。馬はよく世話をされていたのかつやつやとし、元気そうであった。
「おかえりなさいませ。良き旅だったようですね」
そう言ってマルクに手綱を渡す。
「お世話ありがとうございます」
マルクの言葉に案内人はにっこりほほ笑んだ。
「この子達が大事に世話をされてきてるのがよくわかりました。おとなしいいい子だちでした」
全員が扉から出てきたら案内人がお辞儀をしたあと、その扉に入って行った。
案内人が帰ったあと、点呼をとる。ミュー以外の人員は全員いた。ブランカは少しぼぉっとしている感じだった。ジョンは難しい顔をしている。ジョンがマルクに近づいてくる。
「マルク、近いうちに母と話したいのだが。いつなら都合がつく?」
マルクは少し考えている。
「ブランカも一緒に話を聞いた方がいい話かな?」
「そうだな。ブランカが当事者でもあるから」
マルクは
「なら、ベルタの店にブランカが休みの日でいいかな?」
「いい。今本邸改修中だからブランカと俺で街中の旦那様の持ち家に住んでるんだ。そこならカタリナもいないからそこに来てもらってもいい」
ルトガーがそれを聞いてジョンに尋ねる?
「今、母さんはどこへ?」
「実家に行ってもらってる」
ルトガーは少し驚いた。ジョンの言う事ならあの母親は他人の言葉を理解するのか、と。
「ユリアーナには会った?」
ルトガーの言葉にジョンは頷いた。
「お元気そうでした。この秋の収穫がうまくいったら、皆に芋を送りたいって」
ルトガーは少し嬉しそうだった。
「ユリアーナが元気そうでよかった。じーちゃんとばーちゃんも元気そうだった?」
「お年の割には」
ジョンはあまりルトガーの祖父母を好いてなかった。自分の叔父叔母なのだが、この二人が自分の父親の血縁かと思って、げんなりしていた。母親を拉致し、軟禁したあの男が死ぬと自分たちはまた元の小屋に戻った。男は早逝したので母の苦労も短くて済んだようだった。長じて楽天的で自由人な母親の性格を理解するに至り、あの軟禁生活はこの人にはとてもつらいものだったのだろう、とジョンは思っている。
そしてカタリナの歪みの大本もこのカタリナの両親、ルトガーの祖父母だとジョンは思っている。この二人が自分の妻にかけた愛情の1/100でもカタリナに向けて居たらカタリナももっと普通の人間でいられたのではないか、そう思っていた。
ジョンにとってルトガーの祖父母は二重にも三重にも唾棄すべき存在であった。が、ルトガーにそれを悟られるほど情緒が幼くもなかったし、ルトガーには普通の祖父母のようだったので何も言うつもりはなかった。
マルクは多少、ジョンの心情を推し量れたので、だまっていた。
「こっから半日もあるけば街に着く。街に着いたら、冒険者ギルドで解散になる。ギルドの書類にサインして解散な」
アキラの言葉に皆頷いた。護衛をしながらルトガーに漏れ聞こえてくるのは、エルフの王都の素晴らしさもだが、早く家のごはんが食べたいという当たり前の声であった。エルフとの混じりといってもいたって普通の人間ばかりだな、とルトガーは思った。
「ミューさんはこちらで働くことになりました。外の親戚ともあまり上手く行ってないようなので、こちらで新生活を、とのご希望でした」
というだけ言って、質問もなにも受け付けなかった。
フェイスの上長の神官の案内でエルフの森の中に入る直前に地下に向かう階段に向かう。その階段を降り切った所に広間があり、その奥に扉があった。アキラはその神官に住んでる街を聞かれる。アキラが街の名を告げると
「ここから徒歩だと2週間くらいですね。そこにほど近い、魔の森のギリギリ外くらいに出ます。もう扉をでたらその場所になるので、最初に戦闘能力がある人から出て警戒お願いします」
アキラはランディとルトガーを最後尾につかせる。自分が一番最初に、次にマルク、そして非戦闘員という形で外に出るようにした。外に出ると、エルフの森の入口にいた案内人が馬車と馬を守って立っていた。馬はよく世話をされていたのかつやつやとし、元気そうであった。
「おかえりなさいませ。良き旅だったようですね」
そう言ってマルクに手綱を渡す。
「お世話ありがとうございます」
マルクの言葉に案内人はにっこりほほ笑んだ。
「この子達が大事に世話をされてきてるのがよくわかりました。おとなしいいい子だちでした」
全員が扉から出てきたら案内人がお辞儀をしたあと、その扉に入って行った。
案内人が帰ったあと、点呼をとる。ミュー以外の人員は全員いた。ブランカは少しぼぉっとしている感じだった。ジョンは難しい顔をしている。ジョンがマルクに近づいてくる。
「マルク、近いうちに母と話したいのだが。いつなら都合がつく?」
マルクは少し考えている。
「ブランカも一緒に話を聞いた方がいい話かな?」
「そうだな。ブランカが当事者でもあるから」
マルクは
「なら、ベルタの店にブランカが休みの日でいいかな?」
「いい。今本邸改修中だからブランカと俺で街中の旦那様の持ち家に住んでるんだ。そこならカタリナもいないからそこに来てもらってもいい」
ルトガーがそれを聞いてジョンに尋ねる?
「今、母さんはどこへ?」
「実家に行ってもらってる」
ルトガーは少し驚いた。ジョンの言う事ならあの母親は他人の言葉を理解するのか、と。
「ユリアーナには会った?」
ルトガーの言葉にジョンは頷いた。
「お元気そうでした。この秋の収穫がうまくいったら、皆に芋を送りたいって」
ルトガーは少し嬉しそうだった。
「ユリアーナが元気そうでよかった。じーちゃんとばーちゃんも元気そうだった?」
「お年の割には」
ジョンはあまりルトガーの祖父母を好いてなかった。自分の叔父叔母なのだが、この二人が自分の父親の血縁かと思って、げんなりしていた。母親を拉致し、軟禁したあの男が死ぬと自分たちはまた元の小屋に戻った。男は早逝したので母の苦労も短くて済んだようだった。長じて楽天的で自由人な母親の性格を理解するに至り、あの軟禁生活はこの人にはとてもつらいものだったのだろう、とジョンは思っている。
そしてカタリナの歪みの大本もこのカタリナの両親、ルトガーの祖父母だとジョンは思っている。この二人が自分の妻にかけた愛情の1/100でもカタリナに向けて居たらカタリナももっと普通の人間でいられたのではないか、そう思っていた。
ジョンにとってルトガーの祖父母は二重にも三重にも唾棄すべき存在であった。が、ルトガーにそれを悟られるほど情緒が幼くもなかったし、ルトガーには普通の祖父母のようだったので何も言うつもりはなかった。
マルクは多少、ジョンの心情を推し量れたので、だまっていた。
「こっから半日もあるけば街に着く。街に着いたら、冒険者ギルドで解散になる。ギルドの書類にサインして解散な」
アキラの言葉に皆頷いた。護衛をしながらルトガーに漏れ聞こえてくるのは、エルフの王都の素晴らしさもだが、早く家のごはんが食べたいという当たり前の声であった。エルフとの混じりといってもいたって普通の人間ばかりだな、とルトガーは思った。
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