53 / 585
ルトガーの章
閑話 アキラ、欲望の充足
しおりを挟む
「え?!この匂い!」
マルクが夕飯を作っている。弓の鍛錬中のエドガーを放置して台所のマルクの元にアキラは走って行った。
「マルク、この匂い!!」
「ちぃっと強かったか?」
「いや、すごくいい匂いだ。どこで手に入れたの?」
「手持ちのスパイス使っただけだぞ?…ターメリックにコリアンダー、んでクミンとチリ」
その日の夕食は白身魚のスパイシーバター焼きだった。
「いつも手持ちのやつで適当に作るから毎回味が違うんだよな」
マルクとエドガーは黒パンに柔らかい野菜と共に挟んで食べている、ブラッドは黒パンの上に魚を置きその上にたっぷり野菜を乗せてドレッシングをかけ、ナイフとフォークで食べている。アキラは野菜、パン、魚の順に黙々と食べている。何か考えているようで上の空だった。
夕食後、アキラとエドガーで片付けを終えて、マルクとブラッドに合流する。マルクは酒を飲んでいるがブラッドは飲んでいない。ブラッドはドワーフなのだが酒が苦手だった。本当に、いろんな意味でドワーフの外れものであった。
アキラはマルクの馬車に乗って隣の街まで来て
いた。まずは東の国の食糧を扱う店に来ていた。
「米が欲しい」
アキラの要望に答えながら店主が銘柄を選んでくれる。それを15kgの袋で2個購入し、マルクのアイテムボックスに入れる。
「おまけだ」
とアキラに醤油の壺をくれる。
「いいのか?」
「おいしく食べてくれそうだからな」
店主はにんまりと笑う。
「気に入ったらまた買いに来てくれたらいい、初回のサービスだよ」
と店主は言う。アキラはぺこりと頭を下げた。
次はスパイス専門店だった。マルクが買うものを考えてる間にアキラも店員と相談してる。
「そう、ローレルとオールスパイスと」
などと話してるのが聞こえる。
その日の夕食、スパイシーでかつ蠱惑的な香りが台所から漂ってる。トマトを潰し、ブイヨンを入れている。スパイシーな香りが嫌がおうにも食欲を直接的に刺激する。
「できた!黒牛のカレー」
皆の胃袋を刺激しまくった香りの正体はカレーだった。アキラは自分のためにはご飯を炊いていて、ほかのみんなのためにはパンを用意していた。
「それはなんだ?」
アキラがご飯でカレーを食べていたらブラッドとマルクが興味を持っている。
「米を炊いたものだ。東の国では主食だな」
マルクがしばらく考えていた。
「もしかしてこれと麺を合わせた料理あるか?」
「ある。和風ならうどん、洋風ならパスタにかける奴もいる」
「あー、おれ、これの薄めたの?にたっぷり浸かったヌードル、食べた記憶がある。よく行く居酒屋の『マカナイ』とか言ってた、多分」
「それどこ?」
「冒険者ギルドから割と近いかな?魚料理の旨い居酒屋だな。料理人は東の方の国のじーさんだ」
「今度、というか近いうちに連れてってよ」
「いいけど、お前飲まないだろ?だから、昼間の仕込みの時になるぞ?営業中は飲まないやつは居酒屋では浮くからな」
こんな話をしている間にルトガーとエドガー、ブラッドは無言で食べている。
「二杯目もいいか?今度は米で」
ブラッドの言葉にアキラは頷いた。
「たっぷり作ってあるから大丈夫」
エドガーが声を上げる。
「やった!俺はパンでもう一杯食べる」
アキラは、やっぱカレーは良いよな。日本にいた頃に色々カレーの研究してたから、こっちでも作れたし。今度はもう少し辛めにしよう、そんなことを考えていた。
マルクが夕飯を作っている。弓の鍛錬中のエドガーを放置して台所のマルクの元にアキラは走って行った。
「マルク、この匂い!!」
「ちぃっと強かったか?」
「いや、すごくいい匂いだ。どこで手に入れたの?」
「手持ちのスパイス使っただけだぞ?…ターメリックにコリアンダー、んでクミンとチリ」
その日の夕食は白身魚のスパイシーバター焼きだった。
「いつも手持ちのやつで適当に作るから毎回味が違うんだよな」
マルクとエドガーは黒パンに柔らかい野菜と共に挟んで食べている、ブラッドは黒パンの上に魚を置きその上にたっぷり野菜を乗せてドレッシングをかけ、ナイフとフォークで食べている。アキラは野菜、パン、魚の順に黙々と食べている。何か考えているようで上の空だった。
夕食後、アキラとエドガーで片付けを終えて、マルクとブラッドに合流する。マルクは酒を飲んでいるがブラッドは飲んでいない。ブラッドはドワーフなのだが酒が苦手だった。本当に、いろんな意味でドワーフの外れものであった。
アキラはマルクの馬車に乗って隣の街まで来て
いた。まずは東の国の食糧を扱う店に来ていた。
「米が欲しい」
アキラの要望に答えながら店主が銘柄を選んでくれる。それを15kgの袋で2個購入し、マルクのアイテムボックスに入れる。
「おまけだ」
とアキラに醤油の壺をくれる。
「いいのか?」
「おいしく食べてくれそうだからな」
店主はにんまりと笑う。
「気に入ったらまた買いに来てくれたらいい、初回のサービスだよ」
と店主は言う。アキラはぺこりと頭を下げた。
次はスパイス専門店だった。マルクが買うものを考えてる間にアキラも店員と相談してる。
「そう、ローレルとオールスパイスと」
などと話してるのが聞こえる。
その日の夕食、スパイシーでかつ蠱惑的な香りが台所から漂ってる。トマトを潰し、ブイヨンを入れている。スパイシーな香りが嫌がおうにも食欲を直接的に刺激する。
「できた!黒牛のカレー」
皆の胃袋を刺激しまくった香りの正体はカレーだった。アキラは自分のためにはご飯を炊いていて、ほかのみんなのためにはパンを用意していた。
「それはなんだ?」
アキラがご飯でカレーを食べていたらブラッドとマルクが興味を持っている。
「米を炊いたものだ。東の国では主食だな」
マルクがしばらく考えていた。
「もしかしてこれと麺を合わせた料理あるか?」
「ある。和風ならうどん、洋風ならパスタにかける奴もいる」
「あー、おれ、これの薄めたの?にたっぷり浸かったヌードル、食べた記憶がある。よく行く居酒屋の『マカナイ』とか言ってた、多分」
「それどこ?」
「冒険者ギルドから割と近いかな?魚料理の旨い居酒屋だな。料理人は東の方の国のじーさんだ」
「今度、というか近いうちに連れてってよ」
「いいけど、お前飲まないだろ?だから、昼間の仕込みの時になるぞ?営業中は飲まないやつは居酒屋では浮くからな」
こんな話をしている間にルトガーとエドガー、ブラッドは無言で食べている。
「二杯目もいいか?今度は米で」
ブラッドの言葉にアキラは頷いた。
「たっぷり作ってあるから大丈夫」
エドガーが声を上げる。
「やった!俺はパンでもう一杯食べる」
アキラは、やっぱカレーは良いよな。日本にいた頃に色々カレーの研究してたから、こっちでも作れたし。今度はもう少し辛めにしよう、そんなことを考えていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
64
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる