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ルトガーの章

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 ルトガーはアキラとエドガーのクランハウスにいた。父親からもらったハンカチは友人渡して来て、今日は学校をさぼってクランハウスに来ていたのだ。
 くそ真面目な兄が授業をさぼってここに来たのは異常事態だとエドガーは焦っていた。アキラはのんびりと

「どうした?」

と庭先でエドガーに弓の指南をしつつルトガーを迎えた。

「…なんだろうね?」

と深いため息をつくルトガーにエドガーの目はまん丸になっている。

「兄さん、………なにがあったの?」

「ん?ニーアさんとマルクが結婚するって」

「あ、それでか」

アキラがなにか得心がいったらしい。

「ん?」

「うち指名でマルクさんから護衛任務が入っててね。東の端の森にいる隠遁者に会いに行くので道すがらの護衛を、って」

ルトガーはぼやっとした表情で返事をする。

「親に会いに行くって言ってたな」

「ふーん。でだ、来週の末から俺らここにいないぞ?」

アキラの言葉にルトガーが

「俺も一緒に行きたいなぁ」

と答えた。が、アキラは一刀両断で答える。

「んな今みたいに腑抜けた状態の奴を連れて行けるほど甘かねぇぞ」

ルトガーはうっとなった。そして何故自分が腑抜けているのかに焦点が合いはじめた。

 「え?ちょっと…、いや…、でも…」

そんな状態のルトガーを放置してアキラはエドガーの弓の鍛錬に戻っていた。



 「そういうことか」

とルトガーが一人合点し終わった所で、アキラが声をかける。

「俺ら昼飯行くけど、ルトガーはどうすんの?」

「どこいくの?」

「ベルタさんとこ」

エドガーが答える。

「じゃ、サンドイッチ買ってきて」

とルトガーは手持ちの銀貨を3枚渡す。

「3枚分買ってくる」

「やめて、腹にはいらない」

ルトガーが笑うとアキラとエドガーも笑う。

「ちょっと頭整理してる最中だから。適当に買ってきて。あ、甘いものもあると嬉しい」

「じゃ、本気で使いきって良い?」

とエドガーがいうのでルトガーは

「いいよ」

と答えた。



 二人が帰ってきたのは案外早かった。

「あれ?」

「みんなでここで食べようかと」

アキラはそういうと部屋の中にある一段高い場所に食べ物を広げた。アキラはそこにはだしで座る。二人には靴を脱ぐように指示し、なにか椅子の足がないようなものを二つ置いて

「そこに座ると少しは楽だぞ」

という。ルトガーは恐る恐る、エドガーは慣れたように、それに座る。それは座椅子というとアキラに名前を教えてもらう。ルトガーはアキラの真似をして左右の足を組み座る。エドガーもそうしている。
 たっぷりの食料とたっぷりの珈琲、そしてベルタ特製のとろっとしたフィリングのアップルパイが買ってこられていた。

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