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閑話 1

カタリーナの話 3

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 エドガーが生まれた。乳母役にコレトーの奥さんをあてがう。同時期に子供を産んでいるし、ちょうど良い。ジスランという彼女の息子はとても元気そうな子供だった。ひよひよと泣いてる息子が頼りなく見えるくらい大声で泣く、機嫌の良い時はケタケタ笑う子供だった。
 エドガーはいつも難しい顔の子供で、ルドガーがあやすと少し表情が緩む。扱いにくい子だと思った。コレトーの奥さんには甘えるようでそれも気に入らなかった。

 二つになった頃には茶色い髪に茶色い目の平凡な子供がそこにいた。私とは似ていない、取り立てて容姿に優れたところのない子。どちらかと言うと夫に似てた。私より妹に優しくした夫に。
 彼は私以外には優しく公平な人だ。そう、私以外には。私は『夫』が妹を特別扱いした事を許せない。父母や好きな人だけならまだしも、私の『夫』なのに。私には優しくない夫とよく似たエドガーも許せない。私の子供のくせに夫に似てるなんて。

 ルトガーとブランカもユリアーナも皆、私の髪と目を受け継いでいる。髪質まで受け継いだのはブランカだけだった。子供の頃は少し目立った特徴的な耳の形も成長するにつれ「少し耳が大きいかな?上もとがってるな?」くらいに落ち着いた。
 正直、ジョンとの子供のブランカが一番可愛い。けど、ユリアーナが三人の子供の中で一番美しい。夫そっくりの顔なのに、バランスがとてもよく髪の色と皮膚の色、瞳の色に唇の色、全てが調和が取れている。ので、ユリアーナを飾るのはとても楽しかった。

 この頃にはエドガーは憎しみの対象でしかなかった。夫だけの子供だ、私の子供ではない。エドガーが育ってくるとそばに居るジスランが母親を取られると思うのかエドガーを虐めているのを見かけた。
「俺のかーちゃんに甘えるな」
と。エドガーが殴られているのを見ると気分が良くなることに気がついた。

 それからは一直線だった。ジスランがエドガーを殴るとお小遣いをあげた。服も最低限だけエドガーに与えて、残りはジスランに、渡した。親には
「エドガーがこんな色要らないと言ってくれた」と言えば良いと教えながら。だから最低限だけしかない服をエドガーが汚して帰ってくると折檻した。直接の折檻は頭が痺れるほど気持ちよかった。
 エドガーの気力を削ぐために夫に深刻ぶってエドガーが乱暴すぎると相談した。暫くはエドガーと夫の分断を招けていたが、いつしか夫は私の話を聞かなくなった。それ故に、些細な事で折檻は続けた。

 エドガーが家を出てもどうやってエドガーを傷つけようか考えていた。倒れていたジスランに毒を吹き込んだ時、あんな醜い顔役に抱かれて無様な気持ちが雲散霧消した。


 夫の子供エドガーが居なくなると思うとその場でたったまま、絶頂するかと思うくらいの快感が走った。
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