竜の探索者 最大手のクラン、所属条件はクラン主のお眼鏡に叶うかどうかのみ。人種も身分も関係ない。僕らはみんな冒険者

閑話 1

ユリアーナの話

　毎朝、早く起きておばあちゃんと一緒に畑仕事をする。雨でも休めない。朝ごはんを食べる前にさっと体を清める。私は日に3回くらいはクリアをかけられるだけ魔力がある。
　
　朝ごはんはシンプルなパンとスープ。神を讃える日、金の曜日には朝にベーコンと卵がつく。卵は両面しっかり焼くのが好き。しっかりした黒パンに乳酪を塗って少し炙ってから食べるのが好き。おじいちゃんと同じ食べ方だ。

　実家にいた頃はパンは白くてふわふわとしたパン、朝からこってりした肉も多かった。
　こちらでは牛乳は搾りたてだし何もかもフレッシュで、野菜もたくさん出てくる。おばあちゃんのご飯を食べながら、ママは野菜が嫌いだったのかな、と今更思う。それでもスタイルを維持するために野菜だけを食べてる週もあったから、大嫌いでは無いのかなとも思う。

　おばあちゃんママのママと居るからママの事を考えることが増えた。おばあちゃんはママの子供の頃の話とかしてくれるけど、ママの妹さんの話になると目と声が潤む。そこにはママに対する気持ちとは違う、通り一遍で無い愛情を感じる。

　こんな中で暮らしていたらママは辛かったんじゃ無いかな。私ですら違和感があるもの。おばあちゃんはジャンのことを「エリザの夫」って呼ぶ。何があったかは大体は聞いたけど…、本当の事なんて当事者の中にしか無いよね。

　以前は無条件でおばあちゃんとおじいちゃんが好きだったけど、今は少しだけ変わった。大人になったら私はここを出ていくだろう。少しだけエドガーが羨ましい。…女の子でも冒険者になれるのかな？



　でも、ママはなんであんなにエドガーを嫌ったんだろう？