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エドガーの章
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「この先君は働くしかない」
ブランカにラルフは言い渡した。元の家のリビングルーム、カタリナ、ユリアーナ、ジョンがいる前でだ。しかしブランカの答えは違った。
「私は貴方の娘でこの家の『お嬢様』です。労働をする気はありません」
ジョンがいう。
「君はこの家のお嬢様ではない」
ラルフは感情のこもらない目で宣言する。
「ブランカもユリアーナも家から出す。我が家の跡取りは執事たちの中から選ぶ。ルトガーが後を継ぎたいと言ったら、丁稚として1から入ってもらう。ブランカもユリアーナも商会で働きたいなら1事務員として働いてもらう。この家に住むことは許す」
ブランカははん、と言って反抗的な態度にです。
「それ以上の待遇はない。ブランカにかかる費用もださない。カタリナの子供が全て私の子ともではない事も知っている。カタリナが己の費用からブランカにどうしようと関係ない。あとな、カタリナの生活費は月に1度、自分の両親から受け取る事。私が直接渡す気はない。お前の両親に顔をみせてやれ」
カタリナがヒステリックにわめく。
「いやよ。あの人たちと会いたくない。外に出られないの知ってるくせに」
「自業自得だ」
ラルフはカタリナに冷たい目を向ける。
「私がジョンとの浮気を止めないのはお前が外で『綺麗な顔の男』の為に騒動を起こさせないためだ。ジョンには悪いがカタリナの世話は頼む」
ラルフの言葉にジョンは頷いた。
「カタリナ。お前の好きな綺麗な顔の男と一緒に暮らして、別に不自由しない程度の金は払う。それ以外に何が欲しい?お前が俺に対して望むのは財布であれ、というだけだろう?それに徹するが、今までのようにじゃぶじゃぶ使えない、それだけだ。そもそも外に行かない人間が毎週テーラーを呼びつけて最新流行のモードを必要とする訳はなんだ?」
「お父様、女性にはこころのうるおいとしての最新流行のモードが必要です」
「君にお父様と呼ばれるのも業腹だが………、うるおい?毎週のテーラーなんぞ散財だよ。これからはカタリナとユリアーナ合わせてシーズンごとに服は6枚まで。ブランカの分は私はしらん。ブランカの費えはカタリナ、君が都合つけるといい」
ブランカの言葉にラルフはそう返した。ここでユリアーナが口を開いた。
「私、おばあちゃんのところにいきたい。田舎で土いじりしたい」
ユリアーナはカタリナの父母の家が好きだった。母親が嫌う田舎の空気が好きで父親と毎月そこに通うのが楽しみだった。エドガー達が出て行ってから母親の乱行は昼夜かまわず、幼い、何をしているかわからない子供ではなかったのでユリアーナにはその空気が苦痛だった。母親はユリアーナを着飾らせる事に執心していた。そしていつも
『ハンサムなお婿さんみつけようね』
というので、それも気持ちよくはなかったのだ。ブランカはその『ハンサムなお婿さん』にルトガーをあてはめているようだった。が、この話し合いでブランカは従姉ではなく、姉であり、ジョンと母親の子供であると知らされて、ルトガーが『ハンサムなお婿さん』にならずに済んで良かった、とほっとしていた。
ユリアーナはエドガーの事も嫌いではなかった。ただ、エドガーに対してどうでればいいかわからなかった。あまり口数も多くないし、12になってすぐ、冒険者登録とかしてさっさと家の外に世界を作った弟に戸惑いがあった。それにカタリナがエドガーと他の兄弟が接触するのを嫌がっていて、接触できないようにしていた。エドガーを侮る使用人の空気も怖かったのだ。
ユリアーナはとにかく、怖いことが嫌いで、今の家の空気は怖かったし今行ってる学校も嫌だった。下級貴族とお金持ちの庶民が多い学校で生徒に変な選民意識があるのが苦手なのだ。そして思いついたのが祖父母のいる田舎の学校を出て祖父母と暮らすこと、だった。
結局、カタリナ、ジョン、ブランカの家の収入はカタリナの年金とジョンの給金ということで落ち着いた。ブランカの生活は本当の両親、ジョンとカタリナに任せることになった。
ユリアーナの引っ越しはできるだけすぐに、学校は即時退校し、田舎のカタリナの故郷の村の近くにある高等学校に転入の手続きを取る事になった。
ブランカにラルフは言い渡した。元の家のリビングルーム、カタリナ、ユリアーナ、ジョンがいる前でだ。しかしブランカの答えは違った。
「私は貴方の娘でこの家の『お嬢様』です。労働をする気はありません」
ジョンがいう。
「君はこの家のお嬢様ではない」
ラルフは感情のこもらない目で宣言する。
「ブランカもユリアーナも家から出す。我が家の跡取りは執事たちの中から選ぶ。ルトガーが後を継ぎたいと言ったら、丁稚として1から入ってもらう。ブランカもユリアーナも商会で働きたいなら1事務員として働いてもらう。この家に住むことは許す」
ブランカははん、と言って反抗的な態度にです。
「それ以上の待遇はない。ブランカにかかる費用もださない。カタリナの子供が全て私の子ともではない事も知っている。カタリナが己の費用からブランカにどうしようと関係ない。あとな、カタリナの生活費は月に1度、自分の両親から受け取る事。私が直接渡す気はない。お前の両親に顔をみせてやれ」
カタリナがヒステリックにわめく。
「いやよ。あの人たちと会いたくない。外に出られないの知ってるくせに」
「自業自得だ」
ラルフはカタリナに冷たい目を向ける。
「私がジョンとの浮気を止めないのはお前が外で『綺麗な顔の男』の為に騒動を起こさせないためだ。ジョンには悪いがカタリナの世話は頼む」
ラルフの言葉にジョンは頷いた。
「カタリナ。お前の好きな綺麗な顔の男と一緒に暮らして、別に不自由しない程度の金は払う。それ以外に何が欲しい?お前が俺に対して望むのは財布であれ、というだけだろう?それに徹するが、今までのようにじゃぶじゃぶ使えない、それだけだ。そもそも外に行かない人間が毎週テーラーを呼びつけて最新流行のモードを必要とする訳はなんだ?」
「お父様、女性にはこころのうるおいとしての最新流行のモードが必要です」
「君にお父様と呼ばれるのも業腹だが………、うるおい?毎週のテーラーなんぞ散財だよ。これからはカタリナとユリアーナ合わせてシーズンごとに服は6枚まで。ブランカの分は私はしらん。ブランカの費えはカタリナ、君が都合つけるといい」
ブランカの言葉にラルフはそう返した。ここでユリアーナが口を開いた。
「私、おばあちゃんのところにいきたい。田舎で土いじりしたい」
ユリアーナはカタリナの父母の家が好きだった。母親が嫌う田舎の空気が好きで父親と毎月そこに通うのが楽しみだった。エドガー達が出て行ってから母親の乱行は昼夜かまわず、幼い、何をしているかわからない子供ではなかったのでユリアーナにはその空気が苦痛だった。母親はユリアーナを着飾らせる事に執心していた。そしていつも
『ハンサムなお婿さんみつけようね』
というので、それも気持ちよくはなかったのだ。ブランカはその『ハンサムなお婿さん』にルトガーをあてはめているようだった。が、この話し合いでブランカは従姉ではなく、姉であり、ジョンと母親の子供であると知らされて、ルトガーが『ハンサムなお婿さん』にならずに済んで良かった、とほっとしていた。
ユリアーナはエドガーの事も嫌いではなかった。ただ、エドガーに対してどうでればいいかわからなかった。あまり口数も多くないし、12になってすぐ、冒険者登録とかしてさっさと家の外に世界を作った弟に戸惑いがあった。それにカタリナがエドガーと他の兄弟が接触するのを嫌がっていて、接触できないようにしていた。エドガーを侮る使用人の空気も怖かったのだ。
ユリアーナはとにかく、怖いことが嫌いで、今の家の空気は怖かったし今行ってる学校も嫌だった。下級貴族とお金持ちの庶民が多い学校で生徒に変な選民意識があるのが苦手なのだ。そして思いついたのが祖父母のいる田舎の学校を出て祖父母と暮らすこと、だった。
結局、カタリナ、ジョン、ブランカの家の収入はカタリナの年金とジョンの給金ということで落ち着いた。ブランカの生活は本当の両親、ジョンとカタリナに任せることになった。
ユリアーナの引っ越しはできるだけすぐに、学校は即時退校し、田舎のカタリナの故郷の村の近くにある高等学校に転入の手続きを取る事になった。
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