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第五章
ロクサーヌたちの卒業式 4
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「マドレーヌに用事があったのよ」
ジョアンはしれっと口にする。
「殴るってのが用事?」
「あら、あれは殴ってもいいの。マリアンヌの幸せを全部全部奪っていくのだから」
目が座り始めた母親を見てフロランは溜息を一つついて精霊が心得てジョアンを眠らせた。『いくらオフクロでもおかしい』とフロランは思った。こういう思考を元々持っていたとしても、マリアンヌの能力、『魅了』が作用したとしても急激すぎるとフロランは考え精霊はそれに同意した。『なんか神殿は花の宴するみたいよ』精霊がフロランに告げる。花の宴というのは自覚のない治療対象を花見の宴ということで集めて一気に精霊治療するということで、対価は当人の魔力をぎりぎりまで、という事らしい。
「ふーん。……さてとこれもってかえらにゃならんのか」
意識のない母親を見てフロランは溜息をついた。
「さて、と」
ドニが金属製の装置の間に魔法陣を置き両方の装置に手を触れて魔力を通したらそこに木製のドアが現れる。
「これで公爵邸と行き来ができる。で、こっちだな」
東の辺境伯が呼ばれる。指先を銀色の道具で刺されると、血が滴り落ちそうになる。
「そのくぼみに指先をあてるんだ」
ウージェーヌに言われて東の辺境伯はその通りにする。
「よし、これで辺境伯の血縁しか使えないようになったぞ」
「ってことは奥方が浮気して別の男の子をなしたらその子供は通れないってことだな」
東の辺境伯が言い放つ。
「なんだよ、奥さんに怒られるぞ」
「うちの家にもお家騒動はあるってこと.ウジェんとこと一緒だな」
「……」
東と西の辺境伯は顔を合わせてふっと笑う。
「お互いいい年になっても女の事で悩むねぇ」
東の辺境伯の言葉にウジェは苦笑いしながら頷くしかなかった。
「そういえばなんでドニ前神官長が設置してるんですか?」
「公爵様や陛下にさせるわけにゃいかんからな」
ドニは笑いながら教えてくれる。末端でも王族なので王族と辺境の領主一族しか開けられないようにするためだと。
「末端だが王家の血は流れとるからな」
「……陛下も公爵様も来て設置しそうなのが怖い」
「するだろうな」
ドニが肯定する。
「あの二人に設置方法覚えさせたらろくなことにならん」
「でしょうね」
エリクもウージェーヌも肯定を頷きで表現する。
「大体陛下がおかしいんですよ。あの人一度見た魔法陣頭の中に完璧に描いて作動させるんですよ」
エリクがあきれたように言う。
「お前も似たようなもんじゃないか」
ウージェーヌがいい東の辺境伯が同意する。
「私は覚えるまで見るんだよ」
エリクが主張する。
「陛下は一瞥で覚えるんだよ。差はある。かなりある」
「とりあえず設置できたから実験な」
ドニが行ったり来たりするのでつられて東の辺境伯がついて入ったら、ドアの向こうで声が上がり笑いながらドニが戻ってきた。
「向こうの部屋で陛下が待ってて辺境伯つかまえて話し合っとる」
エリクがにぃっと笑う。人が悪いのが丸わかりの笑顔だがドニもウージェーヌもこの笑顔のエリクのほうに安心する。
「なんなら転移でつれていってやろうか?」
「ごめん被る」
ウージェーヌはきっぱりと言った。
「エリク、花の宴ってなんだ?」
「そうだなぁ。精霊の力自慢ついでに患者を癒すって感じ。なーんかジョアンさん、おかしいんだよないちいち反応が大げさっていうか」
ウージェーヌはしばらく考えていたが顔を上げる。
「もしかして……ジョアンというよりメイド長がダメなのかも」
ウージェーヌは自分の考えをぶつぶつ呟いている。そしてエリクを見た。
「メイド長、アレンと接触してしっかりと治療をうけてないかもしれんと」
「メイドの治療は連れて行ってた神官に任せてたけど……」
「メイド長はジョアンに着き従ってたからアレンとも接触はあったな、って」
「ちょっと待って。……記録を見ないとさすがにほかの神官の治療対象はわからん」
ウージェーヌはチェックリストに名前を載せた記憶があったのでチェックリストを見せてくれとエリクに言いエリクはそれに同意した。
ジョアンはしれっと口にする。
「殴るってのが用事?」
「あら、あれは殴ってもいいの。マリアンヌの幸せを全部全部奪っていくのだから」
目が座り始めた母親を見てフロランは溜息を一つついて精霊が心得てジョアンを眠らせた。『いくらオフクロでもおかしい』とフロランは思った。こういう思考を元々持っていたとしても、マリアンヌの能力、『魅了』が作用したとしても急激すぎるとフロランは考え精霊はそれに同意した。『なんか神殿は花の宴するみたいよ』精霊がフロランに告げる。花の宴というのは自覚のない治療対象を花見の宴ということで集めて一気に精霊治療するということで、対価は当人の魔力をぎりぎりまで、という事らしい。
「ふーん。……さてとこれもってかえらにゃならんのか」
意識のない母親を見てフロランは溜息をついた。
「さて、と」
ドニが金属製の装置の間に魔法陣を置き両方の装置に手を触れて魔力を通したらそこに木製のドアが現れる。
「これで公爵邸と行き来ができる。で、こっちだな」
東の辺境伯が呼ばれる。指先を銀色の道具で刺されると、血が滴り落ちそうになる。
「そのくぼみに指先をあてるんだ」
ウージェーヌに言われて東の辺境伯はその通りにする。
「よし、これで辺境伯の血縁しか使えないようになったぞ」
「ってことは奥方が浮気して別の男の子をなしたらその子供は通れないってことだな」
東の辺境伯が言い放つ。
「なんだよ、奥さんに怒られるぞ」
「うちの家にもお家騒動はあるってこと.ウジェんとこと一緒だな」
「……」
東と西の辺境伯は顔を合わせてふっと笑う。
「お互いいい年になっても女の事で悩むねぇ」
東の辺境伯の言葉にウジェは苦笑いしながら頷くしかなかった。
「そういえばなんでドニ前神官長が設置してるんですか?」
「公爵様や陛下にさせるわけにゃいかんからな」
ドニは笑いながら教えてくれる。末端でも王族なので王族と辺境の領主一族しか開けられないようにするためだと。
「末端だが王家の血は流れとるからな」
「……陛下も公爵様も来て設置しそうなのが怖い」
「するだろうな」
ドニが肯定する。
「あの二人に設置方法覚えさせたらろくなことにならん」
「でしょうね」
エリクもウージェーヌも肯定を頷きで表現する。
「大体陛下がおかしいんですよ。あの人一度見た魔法陣頭の中に完璧に描いて作動させるんですよ」
エリクがあきれたように言う。
「お前も似たようなもんじゃないか」
ウージェーヌがいい東の辺境伯が同意する。
「私は覚えるまで見るんだよ」
エリクが主張する。
「陛下は一瞥で覚えるんだよ。差はある。かなりある」
「とりあえず設置できたから実験な」
ドニが行ったり来たりするのでつられて東の辺境伯がついて入ったら、ドアの向こうで声が上がり笑いながらドニが戻ってきた。
「向こうの部屋で陛下が待ってて辺境伯つかまえて話し合っとる」
エリクがにぃっと笑う。人が悪いのが丸わかりの笑顔だがドニもウージェーヌもこの笑顔のエリクのほうに安心する。
「なんなら転移でつれていってやろうか?」
「ごめん被る」
ウージェーヌはきっぱりと言った。
「エリク、花の宴ってなんだ?」
「そうだなぁ。精霊の力自慢ついでに患者を癒すって感じ。なーんかジョアンさん、おかしいんだよないちいち反応が大げさっていうか」
ウージェーヌはしばらく考えていたが顔を上げる。
「もしかして……ジョアンというよりメイド長がダメなのかも」
ウージェーヌは自分の考えをぶつぶつ呟いている。そしてエリクを見た。
「メイド長、アレンと接触してしっかりと治療をうけてないかもしれんと」
「メイドの治療は連れて行ってた神官に任せてたけど……」
「メイド長はジョアンに着き従ってたからアレンとも接触はあったな、って」
「ちょっと待って。……記録を見ないとさすがにほかの神官の治療対象はわからん」
ウージェーヌはチェックリストに名前を載せた記憶があったのでチェックリストを見せてくれとエリクに言いエリクはそれに同意した。
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