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第五章
公爵邸での日々 5
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レアは久しぶりにグランサニュー公爵領にいた。そこにはアルとフロラン、ロクサーヌ、ネイサン、マドレーヌがいて県の訓練をしていた。
「飽きないんですかねぇ」
レアがエマに尋ねると絵馬がにっこりと笑う。
「飽きないんでしょうねぇ。うちの人と執事も混ざってわ」
「あたしにはわっかんない」
レアは姿変えの魔法で女学生『ジョージィ』という触れ込みでグランサニュー公爵邸に来たのだが一発でフロランに見抜かれ、アルに『レア、それはなんの遊び?』と聞かれて姿変えのブローチを外した。レアは王都に帰った後に魔法師団の開発部に姿変えのブローチが見破られたと報告する。魔法師団は騒然となったが見破られた相手がフロランだと告げると事情を知っている人間は表情を緩めた。レアは開発部の長に王宮から即妃宮に送られて即妃宮の入口でメモを渡された。メモにはフロランはいわゆる『精霊憑き』なので見破られても仕方ない事を説明してあった。
「レアちゃん、言葉遣い……」
「いいの。今は女学生ジョージィだから」
ジョージィとしての寮の部屋はレアの特別室の部屋の真下にある。ジョージィとして下の部屋に入り、クローゼットの中の秘密の階段を通って上階のレアの部屋に至るという仕掛けになっている。左右の子爵家の女生徒というのは戦闘メイドでレアを守る為に配置されているしジョージィとしての友達は事情を知っている令嬢達もいた。
こういう仕掛けは陛下が自ら考えていた。ほかの子供たちも成人前には公の仕事に出さず、王女、王子として公開されているのは正妃が公表したネイサンだけであった。
それもあってネイサンが王太子では、と目されていた時期もあったがここ最近はベルティエ公爵家に婿に行く事が周知されて、ネイサンの周りも多少静かになった。
ロクサーヌの妹も成人までは顔を出さないことになっていて自分と同じ赤い石の細長いブローチを付けた地味な女学生を食堂で見かけていたのでレアはロクサーヌの妹はあの子なのだろうと目星をつけている。
「だめです。正体がわかっているって事は」
「でもあの人たち、気にしないと思うな」
レアとエマは公爵邸の庭で延々と訓練をする男たち(少女も二人いるが)を見ていた。
「ネイサン、意外と使える?」
「使えると思いますよ。ネイサンちゃんはこの数年がおかしかっただけだと思うわ」
エマの脳裏には真面目に布に針を刺すネイサンが浮かんでいた。
「あの子、今までみたいな嫌な臭いしなくなったのはベルティエ家にいるから?」
エマはにっこり笑う。レアはアルの立太子、もしくは成人まで魔力は封じられている。レア自身はそれを知らない。しかし雰囲気や感覚で悪しきものを把握し避ける事を自然とできているようである。
「そうね。食事も肉ばかりお菓子ばかりじゃなくなったから」
「あぁ、だから正妃とか聖女もあんなにおいだったんだ」
レアはそれに納豆したようだった。
「どんな匂いだったの?」
「焦げ臭いくせに甘ったるい感じの臭い。腐敗した肉の臭いにも近かった」
「……レアちゃんはなんで腐った肉のにおい知ってるの?」
真相は簡単なことだった。家政科の授業の一環にある調理実習で用意された肉に腐敗したものがあったから、と。教師はそれを皆に回し『こういうにおいになった肉は食べてはいけません』と教えてくれたという。
「あらぁ」
「平民の子はそれを知ってる子もいたけど私たちの班でミリーとセシリア以外はいなかったわ」
ミリーとセシリアというのはレアについている戦闘メイドの二人の名前だった。
「レアも一緒にやるかい?」
アルから声がかかる。レアはアルにあかんべーと舌を出した。アルが面食らった顔になる。レアはそんなアルの様子を見て少し満足だった。
「飽きないんですかねぇ」
レアがエマに尋ねると絵馬がにっこりと笑う。
「飽きないんでしょうねぇ。うちの人と執事も混ざってわ」
「あたしにはわっかんない」
レアは姿変えの魔法で女学生『ジョージィ』という触れ込みでグランサニュー公爵邸に来たのだが一発でフロランに見抜かれ、アルに『レア、それはなんの遊び?』と聞かれて姿変えのブローチを外した。レアは王都に帰った後に魔法師団の開発部に姿変えのブローチが見破られたと報告する。魔法師団は騒然となったが見破られた相手がフロランだと告げると事情を知っている人間は表情を緩めた。レアは開発部の長に王宮から即妃宮に送られて即妃宮の入口でメモを渡された。メモにはフロランはいわゆる『精霊憑き』なので見破られても仕方ない事を説明してあった。
「レアちゃん、言葉遣い……」
「いいの。今は女学生ジョージィだから」
ジョージィとしての寮の部屋はレアの特別室の部屋の真下にある。ジョージィとして下の部屋に入り、クローゼットの中の秘密の階段を通って上階のレアの部屋に至るという仕掛けになっている。左右の子爵家の女生徒というのは戦闘メイドでレアを守る為に配置されているしジョージィとしての友達は事情を知っている令嬢達もいた。
こういう仕掛けは陛下が自ら考えていた。ほかの子供たちも成人前には公の仕事に出さず、王女、王子として公開されているのは正妃が公表したネイサンだけであった。
それもあってネイサンが王太子では、と目されていた時期もあったがここ最近はベルティエ公爵家に婿に行く事が周知されて、ネイサンの周りも多少静かになった。
ロクサーヌの妹も成人までは顔を出さないことになっていて自分と同じ赤い石の細長いブローチを付けた地味な女学生を食堂で見かけていたのでレアはロクサーヌの妹はあの子なのだろうと目星をつけている。
「だめです。正体がわかっているって事は」
「でもあの人たち、気にしないと思うな」
レアとエマは公爵邸の庭で延々と訓練をする男たち(少女も二人いるが)を見ていた。
「ネイサン、意外と使える?」
「使えると思いますよ。ネイサンちゃんはこの数年がおかしかっただけだと思うわ」
エマの脳裏には真面目に布に針を刺すネイサンが浮かんでいた。
「あの子、今までみたいな嫌な臭いしなくなったのはベルティエ家にいるから?」
エマはにっこり笑う。レアはアルの立太子、もしくは成人まで魔力は封じられている。レア自身はそれを知らない。しかし雰囲気や感覚で悪しきものを把握し避ける事を自然とできているようである。
「そうね。食事も肉ばかりお菓子ばかりじゃなくなったから」
「あぁ、だから正妃とか聖女もあんなにおいだったんだ」
レアはそれに納豆したようだった。
「どんな匂いだったの?」
「焦げ臭いくせに甘ったるい感じの臭い。腐敗した肉の臭いにも近かった」
「……レアちゃんはなんで腐った肉のにおい知ってるの?」
真相は簡単なことだった。家政科の授業の一環にある調理実習で用意された肉に腐敗したものがあったから、と。教師はそれを皆に回し『こういうにおいになった肉は食べてはいけません』と教えてくれたという。
「あらぁ」
「平民の子はそれを知ってる子もいたけど私たちの班でミリーとセシリア以外はいなかったわ」
ミリーとセシリアというのはレアについている戦闘メイドの二人の名前だった。
「レアも一緒にやるかい?」
アルから声がかかる。レアはアルにあかんべーと舌を出した。アルが面食らった顔になる。レアはそんなアルの様子を見て少し満足だった。
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