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第五章
夜食の時間
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パソコン修理中につき短いです。
**************
「守護者様、遠慮しないで魔力もっていくからね」
エマが優しく暖かいミルクを渡してくれる。蜂の蜜でほんのり甘くされたミルクをお腹に入れる。
「あったかくて美味しい」
「うちの辺りもこの季節は冷えるからね。……あの人たちにホットワイン持って行ってね」
後ろを通った使用人にエマは声をかける。使用人は頷く。
「さて、……結構お腹空いてる?」
エマの問いにマドレーヌは素直に頷く。
「じゃ、夕食の残りで悪いけど、シチューとパン」
エマが手早く用意してくれる。エマはジョアンほど家事が得意ではないけど基本的な事は出来るらしい。
「マドレーヌちゃんはどうなの?」
「……得意とは言い難いですね。野営とかできるんですけど」
「野営ができるのね。料理も?」
「ええ、そういう料理なら。家で作るようなものはあまり……。姉や母は得意なんですけど」
エマはほほ笑む。
「別にそれでいいと思うわ。家の事がしたいならここにいる間教えるけど?」
マドレーヌは少し考えたが
「基本的な事を教えてください。何もせずにぶらぶらしてるのもなんだか落ち着かないし」
「そう」
エマはいたずらっぽく笑う。
「じゃ、そうね。……私刺繍を習いに行ってるのでマドレーヌちゃんも一緒に、ね」
マドレーヌは藪蛇だと思ったが、基本的な事は出来るようになっておくに越したことはないと思いなおした。
マドレーヌがエマに着いて王都の神殿に転移し、馬車に乗って着いたのはグランサニュー公爵の王都の館であった。
「先生が来てくださるの。ロクサーヌちゃんとネイサンちゃんも来るわ」
そして現れた『先生』はアルノー男爵夫人だった。
「おばさま」
「久しぶりです。本当にうちの息子たちがとんでもない事をしてごめんなさい」
マドレーヌはおもいっきり首を横に振る。
「ここではアルノー男爵夫人が先生よ。胸を張って」
「ええ。そうですね」
エマのとりなしにマドレーヌはほっと息を吐いた。この人は『家』に翻弄されただけだ、と理解しているし、この女性自身には好意を抱いていた。
**************
「守護者様、遠慮しないで魔力もっていくからね」
エマが優しく暖かいミルクを渡してくれる。蜂の蜜でほんのり甘くされたミルクをお腹に入れる。
「あったかくて美味しい」
「うちの辺りもこの季節は冷えるからね。……あの人たちにホットワイン持って行ってね」
後ろを通った使用人にエマは声をかける。使用人は頷く。
「さて、……結構お腹空いてる?」
エマの問いにマドレーヌは素直に頷く。
「じゃ、夕食の残りで悪いけど、シチューとパン」
エマが手早く用意してくれる。エマはジョアンほど家事が得意ではないけど基本的な事は出来るらしい。
「マドレーヌちゃんはどうなの?」
「……得意とは言い難いですね。野営とかできるんですけど」
「野営ができるのね。料理も?」
「ええ、そういう料理なら。家で作るようなものはあまり……。姉や母は得意なんですけど」
エマはほほ笑む。
「別にそれでいいと思うわ。家の事がしたいならここにいる間教えるけど?」
マドレーヌは少し考えたが
「基本的な事を教えてください。何もせずにぶらぶらしてるのもなんだか落ち着かないし」
「そう」
エマはいたずらっぽく笑う。
「じゃ、そうね。……私刺繍を習いに行ってるのでマドレーヌちゃんも一緒に、ね」
マドレーヌは藪蛇だと思ったが、基本的な事は出来るようになっておくに越したことはないと思いなおした。
マドレーヌがエマに着いて王都の神殿に転移し、馬車に乗って着いたのはグランサニュー公爵の王都の館であった。
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「久しぶりです。本当にうちの息子たちがとんでもない事をしてごめんなさい」
マドレーヌはおもいっきり首を横に振る。
「ここではアルノー男爵夫人が先生よ。胸を張って」
「ええ。そうですね」
エマのとりなしにマドレーヌはほっと息を吐いた。この人は『家』に翻弄されただけだ、と理解しているし、この女性自身には好意を抱いていた。
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