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第五章
マドレーヌの解呪
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「おじい様、……用意が出来ました」
マドレーヌは諦めたように部屋で荷物をまとめて来たようだった。
「なら教会に行くぞ」
「ギルドじゃなくて?」
「ああ。まずドニ様の所に行く」
祖父と孫は連れ立って玄関に向かった。
「マドレーヌを連れて行くんですか?」
玄関にはクロードがいた。
「行く」
二人の祖父はそう言い有無を言わさなかった。マドレーヌはぺこっと頭を下げて祖父と馬車に乗り込んだ。神殿で降りた時、祖父がマドレーヌを神官に渡し少し待てと言われた。ギルドに用事がある、と行って少しマドレーヌと離れた。その時に神殿の巫女に『あの……、教会で治療した方がいいですよ』と遠慮がちに言われたが、マドレーヌは体調もいいし理由がわからないと思った。
「祖父をまっているので祖父と相談します」
「そう、ですか……」
マドレーヌはじっと少女を見返した。少女は顔を伏せて足早にどこかへ行ってしまった。マドレーヌは彼女が初等部の頃に姉を虐めたうちの一人で自分にも絡んできた相手だとは気が付いていない。相手はマドレーヌがマドレーヌであると気が付いていたしあわよくば過去の事を告白して許してもらおうと思っていたの全くの無反応で肩透かしを喰らった気分でこの場を離れたのだ。
「待たせたね。グランサニュー公爵の所にいるドニ様に合うぞ」
そう言って一度王都の教会に飛んでからグランサニュー公爵領に飛ぶ。教会からは公爵家の馬車で移動して今は公爵家の守護者の樹の根本だった。かなり夜も遅い。マドレーヌは少し眠くなりうつらうつらしてしまった。
マドレーヌは夢を見た。まっすぐな銀の髪の男がこちらを見てニコニコしてる。近寄ってきてじっと瞳の奥を見ている。なにか言っているがマドレーヌには判らない。美しい顔の男だがどこかアルや陛下と似てるなと思った。
「……ドニは必要なかったようだ」
公爵が祖父に言った。
「守護者さまが解呪したと」
「お代に少し魔力をもらったよ、と。マドレーヌ、怠くないか?」
公爵に聞かれてマドレーヌは少し考える。口にせずとも答えはでたようだ。マドレーヌのお腹が音を立てて鳴ったからだ。
「じゃあ、夜食にしようか」
公爵は執事に命じてマドレーヌを館に連れて行った。マドレーヌの祖父は鞄から一本のワイン瓶を出した。
「森に近いブドウ畑のブドウで醸されたやつだ。ワイン、と言う事になってるが……、ま、酒だ」
公爵がワイングラスにその酒を注ぐ。美しい金色のワインだが夜なので色はわからない。結構なみなみに注いでいたのに一瞬でグラスは空になっていた。
「守護者様が旨いと。多めにできた時はよろしく、だとさ」
「……さすがあんたの先祖だな。ちゃっかりしてる」
マドレーヌの祖父が苦笑している。
「晩酌に付き合ってくれ。すぐにつまみも届くさ」
二人は守護者の樹の側にあるテーブルを挟んだ椅子に腰かける。公爵がポケットに入れている掌大のマジックバッグにワイングラスを入れているのだ。本当にすぐに館からつまみと酒が届けられる。
「東から来た料理だな」
甘辛く味つけらた甘酢に野菜や揚げた魚が漬けられている。
「料理人が少し漬けが浅いかも、と」
給仕役の少年がそう告げる。
「いや、わるくない。これはほんのり柑橘の味もするな」
「酢にまぜたかな」
二人は和やかにテーブルを挟んでいる。誰も何も言わないがテーブルの上の三つ目のグラスと皿は誰も見てない間に空になっている。事情を知っている使用人は平気そうだし事情が分からない使用人は『お給金がいいし、いじわるとかないし』と耐えているので公爵邸の使用人の離職率は低い。
「しばらくマドレーヌをあずかってくれんかの」
マドレーヌは諦めたように部屋で荷物をまとめて来たようだった。
「なら教会に行くぞ」
「ギルドじゃなくて?」
「ああ。まずドニ様の所に行く」
祖父と孫は連れ立って玄関に向かった。
「マドレーヌを連れて行くんですか?」
玄関にはクロードがいた。
「行く」
二人の祖父はそう言い有無を言わさなかった。マドレーヌはぺこっと頭を下げて祖父と馬車に乗り込んだ。神殿で降りた時、祖父がマドレーヌを神官に渡し少し待てと言われた。ギルドに用事がある、と行って少しマドレーヌと離れた。その時に神殿の巫女に『あの……、教会で治療した方がいいですよ』と遠慮がちに言われたが、マドレーヌは体調もいいし理由がわからないと思った。
「祖父をまっているので祖父と相談します」
「そう、ですか……」
マドレーヌはじっと少女を見返した。少女は顔を伏せて足早にどこかへ行ってしまった。マドレーヌは彼女が初等部の頃に姉を虐めたうちの一人で自分にも絡んできた相手だとは気が付いていない。相手はマドレーヌがマドレーヌであると気が付いていたしあわよくば過去の事を告白して許してもらおうと思っていたの全くの無反応で肩透かしを喰らった気分でこの場を離れたのだ。
「待たせたね。グランサニュー公爵の所にいるドニ様に合うぞ」
そう言って一度王都の教会に飛んでからグランサニュー公爵領に飛ぶ。教会からは公爵家の馬車で移動して今は公爵家の守護者の樹の根本だった。かなり夜も遅い。マドレーヌは少し眠くなりうつらうつらしてしまった。
マドレーヌは夢を見た。まっすぐな銀の髪の男がこちらを見てニコニコしてる。近寄ってきてじっと瞳の奥を見ている。なにか言っているがマドレーヌには判らない。美しい顔の男だがどこかアルや陛下と似てるなと思った。
「……ドニは必要なかったようだ」
公爵が祖父に言った。
「守護者さまが解呪したと」
「お代に少し魔力をもらったよ、と。マドレーヌ、怠くないか?」
公爵に聞かれてマドレーヌは少し考える。口にせずとも答えはでたようだ。マドレーヌのお腹が音を立てて鳴ったからだ。
「じゃあ、夜食にしようか」
公爵は執事に命じてマドレーヌを館に連れて行った。マドレーヌの祖父は鞄から一本のワイン瓶を出した。
「森に近いブドウ畑のブドウで醸されたやつだ。ワイン、と言う事になってるが……、ま、酒だ」
公爵がワイングラスにその酒を注ぐ。美しい金色のワインだが夜なので色はわからない。結構なみなみに注いでいたのに一瞬でグラスは空になっていた。
「守護者様が旨いと。多めにできた時はよろしく、だとさ」
「……さすがあんたの先祖だな。ちゃっかりしてる」
マドレーヌの祖父が苦笑している。
「晩酌に付き合ってくれ。すぐにつまみも届くさ」
二人は守護者の樹の側にあるテーブルを挟んだ椅子に腰かける。公爵がポケットに入れている掌大のマジックバッグにワイングラスを入れているのだ。本当にすぐに館からつまみと酒が届けられる。
「東から来た料理だな」
甘辛く味つけらた甘酢に野菜や揚げた魚が漬けられている。
「料理人が少し漬けが浅いかも、と」
給仕役の少年がそう告げる。
「いや、わるくない。これはほんのり柑橘の味もするな」
「酢にまぜたかな」
二人は和やかにテーブルを挟んでいる。誰も何も言わないがテーブルの上の三つ目のグラスと皿は誰も見てない間に空になっている。事情を知っている使用人は平気そうだし事情が分からない使用人は『お給金がいいし、いじわるとかないし』と耐えているので公爵邸の使用人の離職率は低い。
「しばらくマドレーヌをあずかってくれんかの」
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