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第五章
グランジエ家の病巣
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「今日はフロラン兄様、村に行くって。お姉様、食堂に行けそう?」
マリアンヌの表層の意識はマドレーヌでさえこんな風に気遣って切れるのにフロランだけ私に冷たい、といつものお姫様思考を浮かべている。その心の奥で、やっぱりフロランの言った通りだ、依存心が強い自分は碌な事にならなかったと思っていた。そしてマリアンヌ自身が認識している自分の意識は表面の意識だけなので以前よりもフロランに苦手意識を抱いてしまっている。
「なら食堂に行こうかな。マドレーヌ手伝ってくれる?」
「いいよ」
マドレーヌは言われるままマリアンヌに服を着せ、髪をとき、小間使いのようだった。
「私が」
部屋にいるメイドが変わろうとしたらマリアンヌが涙を浮かべて首を横に振る。
「ごめんなさい。まだ、家族以外い触れられるのは……」
メイドは深く溜息をついた。このメイド、マドレーヌ達の祖父に指示を受けマリアンヌとマドレーヌの様子を逐一報告している。帰ってきてからの二人の様子を見てこれはいけないと思っているようだった。
夕食後、家族で居間に集まった。
「フロランと殿下は?」
マドレーヌたちの祖父が訊ねる。ジョアンが答える。
「村の食堂がギルドかに行くって」
「そうか」
祖父はおもむろに話始めた。
「マドレーヌ、小間仕いになりたいならグランサニュー公爵家か王宮に勤めなさい」
そう言いながら祖父の目はマリアンヌをじっと見ている。
「姉妹間でそういうヒエラルキーがあるのは儂の家ではみとめんよ。マドレーヌとフロランは幼児のころからほおっておかれて……。ウージェーヌもジョアンもお前も」
祖父の目はここで妻を見る。
「嫡男と長女だけが大事だろ?マドレーヌとフロランはどうでもいいのだろう?もし飛ばされたのがマリアンヌだったらマドレーヌの時みたいに悠長に構えてなかったよな?」
祖母が口を挟む。
「それはマドレーヌなら対処が」
「マリアンヌが自分で対処できないように囲い込んで甘やかしてるんだよ、お前らは」
祖父は淡々と怒っていた。
「おじいさまは私が可愛くないんだ」
マリアンヌがうるうるとした眼で唇を震わせる。
「黙れ、性悪」
祖父がはっきりと言い放つ。
「自分の妹を自分の小間使いにして満足してるような女にこの家にいて欲しくない。が、一応けが人だ。追い出しはせんが儂は関わらん。そうだな、世話をするのはお前とジョアンとクロードとウジェ、使用人は使わせん。四人だけでやれ。……マドレーヌは暫くグランサニュー公爵家か王宮か、どっちかに預かってもらうがお前らには教えん」
「父さん、俺は」
「ああ、お前はフロランもマドレーヌも大事にした。が、ジョアンたちを黙認した事で同罪だ」
マドレーヌが抗議の声をあげる。
「私は家にいたい。帰ってきたところなのに」
祖父はマドレーヌに諭すように言葉を発した。
「マドレーヌ、こいつらに機会を与えてやってくれ。自分が何をしていたかわからせてやってくれ、たのむ。このままだと、クロードは嫁が貰えんし、マリアンヌは……歪んだままだ。わかってるだろう?」
マドレーヌは黙るしかなかった。
「フロランがまっすぐいフロランのままで居られるのは精霊様のお陰だ。そのフロランが心を尽くしたからマドレーヌはマドレーヌでいられた。この二人の為にお前らは何をしてきた?何をしたか胸をはれるのか?」
マリアンヌの表層の意識はマドレーヌでさえこんな風に気遣って切れるのにフロランだけ私に冷たい、といつものお姫様思考を浮かべている。その心の奥で、やっぱりフロランの言った通りだ、依存心が強い自分は碌な事にならなかったと思っていた。そしてマリアンヌ自身が認識している自分の意識は表面の意識だけなので以前よりもフロランに苦手意識を抱いてしまっている。
「なら食堂に行こうかな。マドレーヌ手伝ってくれる?」
「いいよ」
マドレーヌは言われるままマリアンヌに服を着せ、髪をとき、小間使いのようだった。
「私が」
部屋にいるメイドが変わろうとしたらマリアンヌが涙を浮かべて首を横に振る。
「ごめんなさい。まだ、家族以外い触れられるのは……」
メイドは深く溜息をついた。このメイド、マドレーヌ達の祖父に指示を受けマリアンヌとマドレーヌの様子を逐一報告している。帰ってきてからの二人の様子を見てこれはいけないと思っているようだった。
夕食後、家族で居間に集まった。
「フロランと殿下は?」
マドレーヌたちの祖父が訊ねる。ジョアンが答える。
「村の食堂がギルドかに行くって」
「そうか」
祖父はおもむろに話始めた。
「マドレーヌ、小間仕いになりたいならグランサニュー公爵家か王宮に勤めなさい」
そう言いながら祖父の目はマリアンヌをじっと見ている。
「姉妹間でそういうヒエラルキーがあるのは儂の家ではみとめんよ。マドレーヌとフロランは幼児のころからほおっておかれて……。ウージェーヌもジョアンもお前も」
祖父の目はここで妻を見る。
「嫡男と長女だけが大事だろ?マドレーヌとフロランはどうでもいいのだろう?もし飛ばされたのがマリアンヌだったらマドレーヌの時みたいに悠長に構えてなかったよな?」
祖母が口を挟む。
「それはマドレーヌなら対処が」
「マリアンヌが自分で対処できないように囲い込んで甘やかしてるんだよ、お前らは」
祖父は淡々と怒っていた。
「おじいさまは私が可愛くないんだ」
マリアンヌがうるうるとした眼で唇を震わせる。
「黙れ、性悪」
祖父がはっきりと言い放つ。
「自分の妹を自分の小間使いにして満足してるような女にこの家にいて欲しくない。が、一応けが人だ。追い出しはせんが儂は関わらん。そうだな、世話をするのはお前とジョアンとクロードとウジェ、使用人は使わせん。四人だけでやれ。……マドレーヌは暫くグランサニュー公爵家か王宮か、どっちかに預かってもらうがお前らには教えん」
「父さん、俺は」
「ああ、お前はフロランもマドレーヌも大事にした。が、ジョアンたちを黙認した事で同罪だ」
マドレーヌが抗議の声をあげる。
「私は家にいたい。帰ってきたところなのに」
祖父はマドレーヌに諭すように言葉を発した。
「マドレーヌ、こいつらに機会を与えてやってくれ。自分が何をしていたかわからせてやってくれ、たのむ。このままだと、クロードは嫁が貰えんし、マリアンヌは……歪んだままだ。わかってるだろう?」
マドレーヌは黙るしかなかった。
「フロランがまっすぐいフロランのままで居られるのは精霊様のお陰だ。そのフロランが心を尽くしたからマドレーヌはマドレーヌでいられた。この二人の為にお前らは何をしてきた?何をしたか胸をはれるのか?」
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