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第四章
簡単と言えば簡単だけどいつでもできる事でもない
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「軍事無防備だな」
エリクが呟くと着いてきていた聖騎士の一人が呆れたように言う。
「こんな広範囲に眠りの術をばらまく人間が相手なんて想定はしてないでしょ」
「ははは。そういうこともあるのにね」
「おかげで楽にできますよ」
着いてきていた騎士が軍人たちや冒険者たちを後ろ手に縛り、両手の親指同士も縛り上げる。縄抜け防止のためであった。
「兵士だけで12人ってなにがしたかったんだ?」
ウージェーヌが呆れている。冒険者の方は10人の小さなクランでこちらの国にも何度も来ている、辺境を回るグループの1つであった。
「じゃ、冒険者の方はテントでいいかな。逃げられても手配できるし」
ウージェーヌは少し呆れている。
「また何かやらかすつもりか?」
「んー?ちょっと怖い目にあってもらおうっかなって。この国の地理情報とか売ってそうだなって」
「売ってるだろうね。王都でやらかしたやつらだから。この国の王都の地下カジノでちょっとやらかしてマフィアから各辺境にお手紙が来たやつらだよ。侯爵も公爵も知ってると思う。この雪山抜けて隣国へ行ってたか」
「へぇ……。お金を積んだんなら転移術者に送ってもらったとか?」
ウージェーヌは首を横に振る。
「あのリーダーな、この領地の有力者の息子でな。……もしかしてあいつら、アルノー伯とつるんでたか?」
ウージェーヌが言う。
「ふん。なら軍隊もそっちか」
「ああ。多分ここで落ち合う予定だった?」
「じゃアルノー伯は?」
ウージェーヌは必死になにか考え始めた。動きが止まる。今はウージェーヌの体の中で働いているのは頭脳だった。エリクはウージェーヌが凍えないように保温の魔法をウージェーヌにかける。
「なぁ、廃神殿にいれるよりこの辺りに並べてくれないか」
エリクはウージェーヌを放置し、縛り上げた軍人たちと冒険者を前庭の端の方へ並べさせる。そして皆を庭の端に置くと前庭一杯に先ほど自分のストレージに収納した雪塊のドームを展開する。
「この辺りに小窓をあけて、って」
エリクは先行隊を並べた当たりに結界を薄くはる。結界は透明で小窓と繋がっている。そしてさらさらと札を書き、結界の上に貼る。ちょっと見には札だけが浮いているように見える。
「ふふん、真夜中のお楽しみ、だな。さてさて、獣と戦ってきたみんなの為に中を温めておこうかね」
そういってエリクはウージェーヌの手を引き騎士達も一緒にドームに入った。
エリクと騎士達は自分たちに割り当てられたエリアで多少くつろいでいる。エリクは貴族
エリアで濃い目の珈琲をいれ、樹液を固めた飴を添えてウージェーヌに渡す。
「帰ってきたか」
「おや、……なんでこんなところに?」
「ドームの中なのは判るか?」
ウージェーヌが周りを見渡して納得したようだった。
「まず、北の侯爵に聞かないと。アルノー伯に領地の話をどこまでしたか、とか。あとリーダーの奴というかこの領地でこの廃神殿の事教えてるかとか」
「多分教えてると思う。雪熊の教材に出来るだろうし」
エリクはそう返す。ウージェーヌは一瞬考えてから違う話をふる。
「それにつけてもアルノー伯、どこにいったんだろうな?」
「それだよな」
エリクはドニにドームが廃神殿の前庭にある事を告げる蝶手紙を送りつつウージェーヌに
答えた。
エリクが呟くと着いてきていた聖騎士の一人が呆れたように言う。
「こんな広範囲に眠りの術をばらまく人間が相手なんて想定はしてないでしょ」
「ははは。そういうこともあるのにね」
「おかげで楽にできますよ」
着いてきていた騎士が軍人たちや冒険者たちを後ろ手に縛り、両手の親指同士も縛り上げる。縄抜け防止のためであった。
「兵士だけで12人ってなにがしたかったんだ?」
ウージェーヌが呆れている。冒険者の方は10人の小さなクランでこちらの国にも何度も来ている、辺境を回るグループの1つであった。
「じゃ、冒険者の方はテントでいいかな。逃げられても手配できるし」
ウージェーヌは少し呆れている。
「また何かやらかすつもりか?」
「んー?ちょっと怖い目にあってもらおうっかなって。この国の地理情報とか売ってそうだなって」
「売ってるだろうね。王都でやらかしたやつらだから。この国の王都の地下カジノでちょっとやらかしてマフィアから各辺境にお手紙が来たやつらだよ。侯爵も公爵も知ってると思う。この雪山抜けて隣国へ行ってたか」
「へぇ……。お金を積んだんなら転移術者に送ってもらったとか?」
ウージェーヌは首を横に振る。
「あのリーダーな、この領地の有力者の息子でな。……もしかしてあいつら、アルノー伯とつるんでたか?」
ウージェーヌが言う。
「ふん。なら軍隊もそっちか」
「ああ。多分ここで落ち合う予定だった?」
「じゃアルノー伯は?」
ウージェーヌは必死になにか考え始めた。動きが止まる。今はウージェーヌの体の中で働いているのは頭脳だった。エリクはウージェーヌが凍えないように保温の魔法をウージェーヌにかける。
「なぁ、廃神殿にいれるよりこの辺りに並べてくれないか」
エリクはウージェーヌを放置し、縛り上げた軍人たちと冒険者を前庭の端の方へ並べさせる。そして皆を庭の端に置くと前庭一杯に先ほど自分のストレージに収納した雪塊のドームを展開する。
「この辺りに小窓をあけて、って」
エリクは先行隊を並べた当たりに結界を薄くはる。結界は透明で小窓と繋がっている。そしてさらさらと札を書き、結界の上に貼る。ちょっと見には札だけが浮いているように見える。
「ふふん、真夜中のお楽しみ、だな。さてさて、獣と戦ってきたみんなの為に中を温めておこうかね」
そういってエリクはウージェーヌの手を引き騎士達も一緒にドームに入った。
エリクと騎士達は自分たちに割り当てられたエリアで多少くつろいでいる。エリクは貴族
エリアで濃い目の珈琲をいれ、樹液を固めた飴を添えてウージェーヌに渡す。
「帰ってきたか」
「おや、……なんでこんなところに?」
「ドームの中なのは判るか?」
ウージェーヌが周りを見渡して納得したようだった。
「まず、北の侯爵に聞かないと。アルノー伯に領地の話をどこまでしたか、とか。あとリーダーの奴というかこの領地でこの廃神殿の事教えてるかとか」
「多分教えてると思う。雪熊の教材に出来るだろうし」
エリクはそう返す。ウージェーヌは一瞬考えてから違う話をふる。
「それにつけてもアルノー伯、どこにいったんだろうな?」
「それだよな」
エリクはドニにドームが廃神殿の前庭にある事を告げる蝶手紙を送りつつウージェーヌに
答えた。
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