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第四章
まだ、足りないピースがある?
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「さて、と」
冒険者溜まりの床は温かい。朝から床に直に座って酒を飲んでいるグループがいる。
「活気あるね」
ウージェーヌがいう。この2~3年はクロードとフロランが北の手伝いにきていたのだ。
「神殿ががこの床を設置してくれてな。……あの時もメリッサは神殿関係者を自宅に入れるなって五月蠅かったな」
「……気が付かなかったのかい。おっちゃん」
北の侯爵は情けない顔で頷く。少し離れた救護用のテントで公爵がエマの額にキスしてるのがみえる。横にいたロゼがエドをかがませてエドの毛のない頭をなでてから額にキスをしていた。
「ああいうキスもしなくなってたな、今思えば」
「ああいうキス以外のキスって?」
アルが子供のような質問をする。
「……殿下、閨教育は受けて?」
「ないよ。当時、正妃様が聖女様が俺の閨教育をするって頑張ってて、それで閨教育がずれ込んでて」
ウージェーヌと北の侯爵が顔を合わせる。
「閨教育って……10才には始めるはずじゃ?」
「うん?10才の頃に一度寝室に聖女様が来た事があってそれからそういう教育の為の女性が呼ばれては大けがしたり、来なかったり、馬がどうしても王宮に入る道を通らなかったり……みたいなのを5年繰り返したらしい。先日陛下に聞いたぞ」
公爵がのしのしと歩きながらこちらへ向かってきて教えてくれる。救護テントを見るとエマが優しい顔で怪我をしたらしき少年にポトフが入ったカップをスプーンを与えている。
「あ、初級組の怪我人だな」
「そろそろ出発かな」
エリクが一人の騎士とこちらにやってきた。
「お、ヒース君じゃないか」
北の侯爵がうれしそうだ。
「伯母上の事はお任せを。……どうも、メリッサ夫人の甥で聖騎士のヒースと申します。うちの伯母が妙な事をしでかして申し訳ありませんでした」
ウージェーヌと公爵も挨拶をする。
「屋敷内の清掃を神官に任せたんだ。で、メリッサ夫人の気をそらしてかつ、アルノー伯と連絡を取りにくくする役目を担ってもらう。ま、彼が保険だね」
エリクの言葉にヒースが頷いてにっこり笑う。
「父が伯母に会いたがってて、その先触れとして参った、っていうことで」
公爵が訊ねる。
「メリッサ夫人とは仲がいいのかな?」
ヒースという青年は溜息を一つつく。
「うちの父親、酷いシスコンで。……母上より伯母上を優先するんで、ちょっと色々と……」
北の侯爵が言葉を引き取る。
「中央の文官の家庭でな、妻の家は。なんというか……まぁ、跡取りのスキャンダルを防ぐって言う名目で我が家に行儀見習いを兼ねて俺の母親の話し相手、で来てもらったんだ。で母親がメリッサをえらく気に入って、恋人もなにもいない武骨な俺の妻になってもらった、っていうわけだ」
エリクが人差し指を顎にあてて考えている。
「もしかして、夫人は正妃の母親と仲が良かったとか?」
「あり得るか……。ウージェーヌの母親なら知ってるか?」
「うちの母親は少し上の世代ですね。エマ様の方が母と年が近いし。俺は遅い子供だったんで」
グランジエの先代は結婚は普通の年代だったが子供が長い間出来ず、養子も取らずに家を潰すのかと噂されていたが、30代の半ばに連続して男子3人、女子一人が生まれたのだ。
「俺達の母親世代で誰か詳しく聴ける人……いないな。いや今すぐは無理か」
「エリク、誰が浮かんだ?」
公爵がエリクに問う。
「うちの母親の伝手をたどるかなと」
冒険者溜まりの床は温かい。朝から床に直に座って酒を飲んでいるグループがいる。
「活気あるね」
ウージェーヌがいう。この2~3年はクロードとフロランが北の手伝いにきていたのだ。
「神殿ががこの床を設置してくれてな。……あの時もメリッサは神殿関係者を自宅に入れるなって五月蠅かったな」
「……気が付かなかったのかい。おっちゃん」
北の侯爵は情けない顔で頷く。少し離れた救護用のテントで公爵がエマの額にキスしてるのがみえる。横にいたロゼがエドをかがませてエドの毛のない頭をなでてから額にキスをしていた。
「ああいうキスもしなくなってたな、今思えば」
「ああいうキス以外のキスって?」
アルが子供のような質問をする。
「……殿下、閨教育は受けて?」
「ないよ。当時、正妃様が聖女様が俺の閨教育をするって頑張ってて、それで閨教育がずれ込んでて」
ウージェーヌと北の侯爵が顔を合わせる。
「閨教育って……10才には始めるはずじゃ?」
「うん?10才の頃に一度寝室に聖女様が来た事があってそれからそういう教育の為の女性が呼ばれては大けがしたり、来なかったり、馬がどうしても王宮に入る道を通らなかったり……みたいなのを5年繰り返したらしい。先日陛下に聞いたぞ」
公爵がのしのしと歩きながらこちらへ向かってきて教えてくれる。救護テントを見るとエマが優しい顔で怪我をしたらしき少年にポトフが入ったカップをスプーンを与えている。
「あ、初級組の怪我人だな」
「そろそろ出発かな」
エリクが一人の騎士とこちらにやってきた。
「お、ヒース君じゃないか」
北の侯爵がうれしそうだ。
「伯母上の事はお任せを。……どうも、メリッサ夫人の甥で聖騎士のヒースと申します。うちの伯母が妙な事をしでかして申し訳ありませんでした」
ウージェーヌと公爵も挨拶をする。
「屋敷内の清掃を神官に任せたんだ。で、メリッサ夫人の気をそらしてかつ、アルノー伯と連絡を取りにくくする役目を担ってもらう。ま、彼が保険だね」
エリクの言葉にヒースが頷いてにっこり笑う。
「父が伯母に会いたがってて、その先触れとして参った、っていうことで」
公爵が訊ねる。
「メリッサ夫人とは仲がいいのかな?」
ヒースという青年は溜息を一つつく。
「うちの父親、酷いシスコンで。……母上より伯母上を優先するんで、ちょっと色々と……」
北の侯爵が言葉を引き取る。
「中央の文官の家庭でな、妻の家は。なんというか……まぁ、跡取りのスキャンダルを防ぐって言う名目で我が家に行儀見習いを兼ねて俺の母親の話し相手、で来てもらったんだ。で母親がメリッサをえらく気に入って、恋人もなにもいない武骨な俺の妻になってもらった、っていうわけだ」
エリクが人差し指を顎にあてて考えている。
「もしかして、夫人は正妃の母親と仲が良かったとか?」
「あり得るか……。ウージェーヌの母親なら知ってるか?」
「うちの母親は少し上の世代ですね。エマ様の方が母と年が近いし。俺は遅い子供だったんで」
グランジエの先代は結婚は普通の年代だったが子供が長い間出来ず、養子も取らずに家を潰すのかと噂されていたが、30代の半ばに連続して男子3人、女子一人が生まれたのだ。
「俺達の母親世代で誰か詳しく聴ける人……いないな。いや今すぐは無理か」
「エリク、誰が浮かんだ?」
公爵がエリクに問う。
「うちの母親の伝手をたどるかなと」
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