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第四章
冒険者だまりは意外と……
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「ジャムの話はどこまで本当だろうな?」
アルとフロランは宛がわれた客間で装備の手入れをしている。武器はギルドから来た職人が預かり手入れをしてくれているが各人の防具までは手が回らない。二人は皮の胸当てと手甲に油をたっぷり塗りこむ。
「あー、辺境のベリーも少量使われてるけど、大半は神官と神殿で契約している精霊が作ってるんだって」
フロランが精霊に訊いた事を教えてくれる。
「北の侯爵自身がどこまで信用できるか判らないから神官長も適当なこと行ってるんだろうなぁ」
アルがちょっと眉間に皺を寄せる。アルは今、ルカを魔法の師匠としていてこの侯爵領にもルカも来ている。ルカに出されている課題は寝てる間も含めて部屋に結界を貼り続けろということだった。
『こういう結界魔法を使えるようになっておくのが御身の為です」
お手軽に転移してアルの顔を見に来る陛下も当たり前のように出来るというし、エリク曰く陛下ほどじゃないけどアルも聖魔法とは相性がよさそうなので結界をずっとはれるようになったら、ルカに教えるのと一緒に物理バリア、障壁魔法とそれを使った攻撃方法を教えてくれると言われているので楽しみにしていた。その時はウージェーヌも一緒に居たのだがウージェーヌは障壁はつくれるんだけど攻撃には使えないという。
『グランジエの呪いが発動するんだよ』
と説明してくれた。『攻撃』に魔力を使うと、大抵あらぬ方向へ飛んで行ったり威力が強すぎたりしょぼすぎたり……。フロランはフロラン自身の魔力を使うと攻撃魔法はやはり使えない。今はもっぱらフロランの魔力を貰って精霊が色んな魔法を使ってくれるのだ。
なのでフロランの魔法は精霊の魔法なので攻撃魔法でもグランジエの呪いには影響されないと。ここまでフロランが説明した時に精霊に抗議されたようだ。
『暴走したり方向外れたりしても精霊が補佐してまともに発動させてるだけだよ』
精霊の抗議はフロランは頷いて同意したが他の人に説明しなかった。が、アルには精霊の言いたかったことが伝わった。魔力の流れの詰まりを解消してからアルは守護者以外のある程度の大きさの精霊や悪霊の意思を読めるようになっていた。ただ明確な言葉では判らない。守護者は『その状態に慣れたらちゃんと聴けるようになる。多分セイラ妃の母方の血筋だな』と言っている。エマの守護者の樹の修復が終わってからグランジエ領を出たのだがその後にグランサニュー公爵からペンダントを押し付けられた。
『北の樹は育ってないのか、繋がれない』
と公爵とアルには守護者から伝えられていた。
「守護者の作った護符だそうだ」
と渡されたそれは王太子の印であるがグランサニュー公爵と陛下は伏せている。陛下はアル以外を王太子にする気は全くないのだ。
「しかし、マドレーヌは外で寒くないのかな?」
フロランはくすっと笑う。
「冒険者だまりを見に行きましょう」
フロランに連れられていった『冒険者溜まり』はレンガで作られて一段高くなっている場所だった。レンガのいくつかは魔石が仕込まれていて魔力を流すと発熱するので床というか足元が温かい。女性用と男性用の大き目のテントとパーティ毎、夫婦毎の小さなテントが林立する場所と別れていた。真ん中には魔石ストーブがおかれている。
「こっちの方が良かったな」
アルが笑いながら言う。冒険者生活が未だに身についているのだ。
「それは俺もそう思いますね」
フロランはそう言うと、女性用テントを守っている女性騎士に声をかけてからストーブの側のテーブルに陣取る。
「中の温泉をお借りして帰ってきたところ」
マドレーヌはそう言いながらフロランの横に座る。アルの元にふわり、と石鹸の匂いが届いた。
アルとフロランは宛がわれた客間で装備の手入れをしている。武器はギルドから来た職人が預かり手入れをしてくれているが各人の防具までは手が回らない。二人は皮の胸当てと手甲に油をたっぷり塗りこむ。
「あー、辺境のベリーも少量使われてるけど、大半は神官と神殿で契約している精霊が作ってるんだって」
フロランが精霊に訊いた事を教えてくれる。
「北の侯爵自身がどこまで信用できるか判らないから神官長も適当なこと行ってるんだろうなぁ」
アルがちょっと眉間に皺を寄せる。アルは今、ルカを魔法の師匠としていてこの侯爵領にもルカも来ている。ルカに出されている課題は寝てる間も含めて部屋に結界を貼り続けろということだった。
『こういう結界魔法を使えるようになっておくのが御身の為です」
お手軽に転移してアルの顔を見に来る陛下も当たり前のように出来るというし、エリク曰く陛下ほどじゃないけどアルも聖魔法とは相性がよさそうなので結界をずっとはれるようになったら、ルカに教えるのと一緒に物理バリア、障壁魔法とそれを使った攻撃方法を教えてくれると言われているので楽しみにしていた。その時はウージェーヌも一緒に居たのだがウージェーヌは障壁はつくれるんだけど攻撃には使えないという。
『グランジエの呪いが発動するんだよ』
と説明してくれた。『攻撃』に魔力を使うと、大抵あらぬ方向へ飛んで行ったり威力が強すぎたりしょぼすぎたり……。フロランはフロラン自身の魔力を使うと攻撃魔法はやはり使えない。今はもっぱらフロランの魔力を貰って精霊が色んな魔法を使ってくれるのだ。
なのでフロランの魔法は精霊の魔法なので攻撃魔法でもグランジエの呪いには影響されないと。ここまでフロランが説明した時に精霊に抗議されたようだ。
『暴走したり方向外れたりしても精霊が補佐してまともに発動させてるだけだよ』
精霊の抗議はフロランは頷いて同意したが他の人に説明しなかった。が、アルには精霊の言いたかったことが伝わった。魔力の流れの詰まりを解消してからアルは守護者以外のある程度の大きさの精霊や悪霊の意思を読めるようになっていた。ただ明確な言葉では判らない。守護者は『その状態に慣れたらちゃんと聴けるようになる。多分セイラ妃の母方の血筋だな』と言っている。エマの守護者の樹の修復が終わってからグランジエ領を出たのだがその後にグランサニュー公爵からペンダントを押し付けられた。
『北の樹は育ってないのか、繋がれない』
と公爵とアルには守護者から伝えられていた。
「守護者の作った護符だそうだ」
と渡されたそれは王太子の印であるがグランサニュー公爵と陛下は伏せている。陛下はアル以外を王太子にする気は全くないのだ。
「しかし、マドレーヌは外で寒くないのかな?」
フロランはくすっと笑う。
「冒険者だまりを見に行きましょう」
フロランに連れられていった『冒険者溜まり』はレンガで作られて一段高くなっている場所だった。レンガのいくつかは魔石が仕込まれていて魔力を流すと発熱するので床というか足元が温かい。女性用と男性用の大き目のテントとパーティ毎、夫婦毎の小さなテントが林立する場所と別れていた。真ん中には魔石ストーブがおかれている。
「こっちの方が良かったな」
アルが笑いながら言う。冒険者生活が未だに身についているのだ。
「それは俺もそう思いますね」
フロランはそう言うと、女性用テントを守っている女性騎士に声をかけてからストーブの側のテーブルに陣取る。
「中の温泉をお借りして帰ってきたところ」
マドレーヌはそう言いながらフロランの横に座る。アルの元にふわり、と石鹸の匂いが届いた。
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