悪役令嬢、冒険者になる 【完結】

あくの

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第三章

母子、兄妹 再会

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 「このエッセンシャルウォーターって香油を作る時に出る物なんですって」

エマの侍女がジョアンの侍女に説明する。

 二人は己の侍女の腕を堪能する。

「あら、パーティに出たいくらい綺麗に仕上がったわね」

エマが鏡を見ておどけるように告げる。






 マリアンヌは徐々に起きていられる時間が増えてきた。マドレーヌは時々王都へ行ってマリアンヌの好きそうなお菓子を買ってくる。そんな中、陛下がウージェーヌに直接蝶々の手紙を届けてきた。守護者の尽力で精霊が陛下の手紙を守って届ける事になったのだ。

「ふーん、マドレーヌちょっと」

「なんですか?お父様」

「なんか冒険者ギルド本部に近いダンジョンへの直通通路を開くとかなんとか話が来てるぞ」

「……お父様あてにですよね?」

マドレーヌが不思議そうに尋ねる。

「マドレーヌが欲しかったものじゃない?」

「ええ、凄く欲しいものですが……」

「この国だけ特別ということらしい。国の王太子が交渉にあたったからと」

「え、アルは身分を明かしてた?」

ウージェーヌは肩を竦める。

「どんな交渉を舌かは俺には判らん」

「二人で隅っこでごそごそ話してた感じ」

「ま、交渉相手のあの少年、ギルドにかなり顔がきくようだったな」

「対価は?」

「知らん。いつの間にか陛下とこの国のギルド長が話付けてた」

それは真実だった。このアルノー伯爵家が中心の騒動が始まってからの陛下の動向をウージェーヌ達は知らなかったからだ。

「ま、暇なので何かしたかったんだろう、陛下も」

マドレーヌとよく似た顔でウージェーヌがにやりと笑った。




「母上」

「よく帰ってきましたね」

セイラ妃はアルの頬を優しくなでている。妹のレアは何も言わずアルの横でアルにべったり抱き着いている。

「もうどこにもいかない?」

レアが泣きそうな顔になっている。三人で他家の客間でお茶を飲んでいる事があるにはなにか奇妙に感じられた。

「どうかな。……偶には冒険に出たいかも」

「そう言うんじゃなくて」

レアはまるで駄々っ子だ。

「全容はまだまだ解明されてませんから母上もレアもお気を付けください」

「ええ。陛下と守護者様がかなり警戒しているわ。……今回も側妃宮から直接魔法師団長に送っていただいたの」

アルはミーカの顔を思い浮かべて頭を横に振った。

「どうしたの?」

レアが訊ねる。

「いや、ちょっと……、副師団長にお会いしました」

セイラ妃とレアの反応はまるで違った。

「あら、無邪気で可愛らしい方なのよ、あの方」

セイラ妃は優しい顔をするがレアは

「げっ」

と言った。
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