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第三章
靄の魔物の元へ
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湿らせた唇を赤い舌先がペロリと舐めた。
「いかなきゃ、あの人が困ってる」
がばっとマリアンヌが起き上がる。フロランが無表情で眠りの術をかける。正確にいうとフロランを加護している妖精がフロランの魔力で無属性の眠りをかけた。
「ルカ、頼んだよ。フロランも頼むぞ」
ウージェーヌはそういって立ち上がる。まだ少しふらつくようだった。
「仕方ないな」
エリクが身体強化の術を部屋の中の全員にかけた。
「ネイサン、皆を頼む」
アルが立ち上がる。ネイサンはしっかりと頷いた。
「俺も手伝うよ」
エディも立ち上がった。
「普通の人間代表としてな」
「手はあったほうがいいからな。手伝ってくれ」
エリクがそう言った。
「今から行けば夜明け頃に着くだろう」
ウージェーヌの言葉にエリクは頷いた。
ジェラールはウージェーヌに訊ねる。
「フロランには婚約者はいないのか?」
「んー、いるような、いないような」
ジェラールは残念そうだ。
「うちの親戚にいい子がいるんだよ」
ウージェーヌははっきり断る。
「そう言うのは無理だな。フロランの受けてる加護は『花婿の加護』だから」
ジェラールが不思議そうな顔になる。
「精霊に身を捧げてる、ってこと。結婚なんてもってのほかってことさ」
エリクが説明をする。
「道理でスムーズに無理を聞いてくれると思った」
「フロランが?」
ジェラールの言葉にエリクが首を横に振る。
「いや、精霊が。もっと煩雑なんだよ。『ミルクをくれたら』とか条件が付く事も多いし
ね」
「ほー、精霊も色々あるんだな」
アルとエディ、二人ともこの不思議な父親世代の人間といると自分が役に立つ自身がないと思っている。父親達も別に彼らが役に立つことを予定はしていないがアルを連れて行くのは守護者の樹にアルの魔力を注いで貰う事はエリクは考えていた。守護者の助力があれば戦いは楽になる、そのためだった。フロランを連れて来た方が楽だったがそうすると屋敷が手薄になる。エリクは戦いの中心は自分になると覚悟していた。
「エリクはその、戦闘は」
ジェラールに訊かれてエリクは笑う。
「俺は神殿の兵の訓練も受けてるからね。神殿で朝の鍛錬も毎朝やってるよ」
「なんでまた」
「そりゃ自分の身は自分で守るためだよ。ジェラールはもう少し鍛えた方がいいぞ」
「酒が腹の肉になるぞ」
ウージェーヌの細身の体をジェラールは恨めし気に見る。
「ロクサーヌ嬢と毎朝走りこむといい。マドレーヌと二人、寮にいた時期にやってたらしいぞ」
そんな軽口を叩きながら庭の一番いいところにある守護者の樹にたどり着いた。
「いかなきゃ、あの人が困ってる」
がばっとマリアンヌが起き上がる。フロランが無表情で眠りの術をかける。正確にいうとフロランを加護している妖精がフロランの魔力で無属性の眠りをかけた。
「ルカ、頼んだよ。フロランも頼むぞ」
ウージェーヌはそういって立ち上がる。まだ少しふらつくようだった。
「仕方ないな」
エリクが身体強化の術を部屋の中の全員にかけた。
「ネイサン、皆を頼む」
アルが立ち上がる。ネイサンはしっかりと頷いた。
「俺も手伝うよ」
エディも立ち上がった。
「普通の人間代表としてな」
「手はあったほうがいいからな。手伝ってくれ」
エリクがそう言った。
「今から行けば夜明け頃に着くだろう」
ウージェーヌの言葉にエリクは頷いた。
ジェラールはウージェーヌに訊ねる。
「フロランには婚約者はいないのか?」
「んー、いるような、いないような」
ジェラールは残念そうだ。
「うちの親戚にいい子がいるんだよ」
ウージェーヌははっきり断る。
「そう言うのは無理だな。フロランの受けてる加護は『花婿の加護』だから」
ジェラールが不思議そうな顔になる。
「精霊に身を捧げてる、ってこと。結婚なんてもってのほかってことさ」
エリクが説明をする。
「道理でスムーズに無理を聞いてくれると思った」
「フロランが?」
ジェラールの言葉にエリクが首を横に振る。
「いや、精霊が。もっと煩雑なんだよ。『ミルクをくれたら』とか条件が付く事も多いし
ね」
「ほー、精霊も色々あるんだな」
アルとエディ、二人ともこの不思議な父親世代の人間といると自分が役に立つ自身がないと思っている。父親達も別に彼らが役に立つことを予定はしていないがアルを連れて行くのは守護者の樹にアルの魔力を注いで貰う事はエリクは考えていた。守護者の助力があれば戦いは楽になる、そのためだった。フロランを連れて来た方が楽だったがそうすると屋敷が手薄になる。エリクは戦いの中心は自分になると覚悟していた。
「エリクはその、戦闘は」
ジェラールに訊かれてエリクは笑う。
「俺は神殿の兵の訓練も受けてるからね。神殿で朝の鍛錬も毎朝やってるよ」
「なんでまた」
「そりゃ自分の身は自分で守るためだよ。ジェラールはもう少し鍛えた方がいいぞ」
「酒が腹の肉になるぞ」
ウージェーヌの細身の体をジェラールは恨めし気に見る。
「ロクサーヌ嬢と毎朝走りこむといい。マドレーヌと二人、寮にいた時期にやってたらしいぞ」
そんな軽口を叩きながら庭の一番いいところにある守護者の樹にたどり着いた。
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