悪役令嬢、冒険者になる 【完結】

あくの

文字の大きさ
上 下
113 / 212
第三章

客間が賑やかになってくる

しおりを挟む
 「アンデッド扱いでいいのかな」

アルが口を挟む。

「良いと思う」

エリクがさっくり答える。

「なら、聖水を殺傷能力の低い武器に浸して使うのはどうだろう」

「あ、決め手にはならないけど止めるにはいいな」

エディもダンジョンの時を思い出して口を挟む、聖水の話をエリクとウージェーヌに促されアルはダンジョンの話をする。

「ルカも呼ぶか」

ウージェーヌが言う。

「そうすっとグランサニューのおっちゃんたちが手薄になるか」

ウージェーヌが悩むがエリクがさっくりと言う。

「義兄とその従兄達に動いてもらいます」

「聖騎士の一族か」



 翌朝までに帰るといい、ウージェーヌとエリクは魔導師団の一人と王都に移動した。アルの耳に守護者が囁く。

『あいつら玄関とか家周りをがちがちに封印していったぞ。……もしかするとマリアンヌが危ない、クロードにマリアンヌとフロラン、それ以外のアレンやアランに接触した人間を部屋に呼ばせろ、あ、フロランに言って連れてこさせる。この部屋の大きさならなんとか聖なる結界をはれる。ロゼって女とロクサーヌもいるしな』

アルは大人しくしていたがクロードに告げる。

「守護者が警戒を始めた。もうすぐフロランが妹御や使用人を連れて来ると思う。……一晩籠城すると思うので守護者が結界をはる前に一応ウジェ殿に連絡しておいてくれ」

クロードは頷き、蝶手紙を送る用意をしていたら魔導師団の人が

「団長に通信しますので、これ使ってください。まだ実験段階なので手紙の方も送っておいて下さい」

 それは遠隔通信出来る魔石で手に持った人間の魔力で通信できる距離が変わるという。クロードは少し考えてマドレーヌに石を持たせる。

「凄いですね……、魔力量が」

「実戦に使えないから役に立ちませんけどね」

マドレーヌは淡々と答える。

『定期連絡です。団長、今はどちらに?』

『ベルティエの屋敷だ。聖騎士が揃ったら其方に伺う。一応ベルティエ家の方は安全そうではある』

『判りました。こちらは王の守護者が警戒しております。これから王の守護者がこの部屋に結界をはるので通信が不可能になります』

『わかった。グランジエ家当主と変わる』

クロードとアルがいくつか報告してる間にフロランが部屋にアルノーの家の者に接触したことある人と食料品がたっぷり入ったマジックホックスを持ってくる。一緒に入って来た使用人達はたっぷりの毛布やブランケットを用意していた。フロランはマリアンヌに対しては無言だったが、ロクサーヌとロゼを呼ぶ。

「申し訳ないがマリアンヌをお二人と繋いでおきたい」

「意味があるのね?私とロゼさんが選ばれているって事は」

フロランが頷く。

「ちょっと説明は後になりますが、お願いします」

そうしてマドレーヌのウエストはロゼとロクサーヌのウエストに猶予を持たせて縛られた。

「もしマリアンヌが暴走したらアル殿下はロゼ嬢をマドレーヌはロクサーヌ嬢を助けてやってください。それとエディさん」

エディが俺?という表情をする。

「マリアンヌに抱き着いてそのまま移動できないように座り込んでください。貴方がこの中で一番ウエイトありそうだから。俺とクロードはマリアンヌを抑え込む役割だ。じーちゃんは聖銀の弾を詰めた銃を持っておいて欲しい」

マドレーヌの祖父はしっかりと頷く。

「やばくなるのは0時から2時だな。朝、太陽が顔を出せばこっちの勝ち」

そんな話をしているところへエリク、ルカ、ウージェーヌが帰ってきて客間に戻ってきた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

彼女はいなかった。

豆狸
恋愛
「……興奮した辺境伯令嬢が勝手に落ちたのだ。あの場所に彼女はいなかった」

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシャリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒― 私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。 「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」 その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。 ※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

【完結】結婚前から愛人を囲う男の種などいりません!

つくも茄子
ファンタジー
伯爵令嬢のフアナは、結婚式の一ヶ月前に婚約者の恋人から「私達愛し合っているから婚約を破棄しろ」と怒鳴り込まれた。この赤毛の女性は誰?え?婚約者のジョアンの恋人?初耳です。ジョアンとは従兄妹同士の幼馴染。ジョアンの父親である侯爵はフアナの伯父でもあった。怒り心頭の伯父。されどフアナは夫に愛人がいても一向に構わない。というよりも、結婚一ヶ月前に破棄など常識に考えて無理である。無事に結婚は済ませたものの、夫は新妻を蔑ろにする。何か勘違いしているようですが、伯爵家の世継ぎは私から生まれた子供がなるんですよ?父親?別に書類上の夫である必要はありません。そんな、フアナに最高の「種」がやってきた。 他サイトにも公開中。

【完結24万pt感謝】子息の廃嫡? そんなことは家でやれ! 国には関係ないぞ!

宇水涼麻
ファンタジー
貴族達が会する場で、四人の青年が高らかに婚約解消を宣った。 そこに国王陛下が登場し、有無を言わさずそれを認めた。 慌てて否定した青年たちの親に、国王陛下は騒ぎを起こした責任として罰金を課した。その金額があまりに高額で、親たちは青年たちの廃嫡することで免れようとする。 貴族家として、これまで後継者として育ててきた者を廃嫡するのは大変な決断である。 しかし、国王陛下はそれを意味なしと袖にした。それは今回の集会に理由がある。 〰️ 〰️ 〰️ 中世ヨーロッパ風の婚約破棄物語です。 完結しました。いつもありがとうございます!

元婚約者が「俺の子を育てろ」と言って来たのでボコろうと思います。

音爽(ネソウ)
恋愛
結婚間近だった彼が使用人の娘と駆け落ちをしてしまった、私は傷心の日々を過ごしたがなんとか前を向くことに。しかし、裏切り行為から3年が経ったある日…… *体調を崩し絶不調につきリハビリ作品です。長い目でお読みいただければ幸いです。

なんたか変な人が…

あくの
恋愛
短編です。  夫の愛人と名乗る女性がやってきました。 この国の貴族男性は妻以外に愛人を持つのは良くあること。家庭は政治も絡む。だから、外に愛する人を、と。 我が伯爵家は私が当主で夫はただの配偶者なのですが何か話が変なのです…

処理中です...