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第二章
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アランの尋問も終わり、グランサニュー公爵と神官長、前神官長は神殿に帰った。ウージェーヌとジェラールはベルティエ公爵家にいる。
「この状態でお前の妹がここまで来たらもう一度、使用人の洗い直しだったな」
「今の所、ウジェが来てから外に出た使用人は私兵含めt誰もいない」
ジェラールは誇らしげに言った。
「蝶々の手紙だっけ、あれもあるじゃん?ネイサンが母親に送ったりもありえるだろ?」
ジェラールははっとした顔になった。
「対策してなさそうだったからエリクに結界はってもらったよ。結界っていうか……外に出した連絡、蝶々の手紙とかそのあたりな、を全部エリクの所に届くようにしてもらってる。なんか前神官長と楽しそうに魔法陣描いてたわ」
ジェラールは頭を抱えている。
「あのな、ジェラール、こういう謀り事は俺らに任せてお前は堂々と公正明大な公爵様でいてくれ。エリクの無邪気さの裏を知ってるのは俺とジェラールと……多分、前神官長もだな」
「エリクは頭良いからな」
ジェラールは疲れた顔で返した。
エリクからの連絡で正妃、ジェラールの妹と繋がっていたメイドが判り、自白の香を使い屋敷内の正妃の手先を洗いだした。そしてその時にフロランも同席していて、屋敷の中の黒い靄がみえる人間を全てリストアップしてもらったのだが、メイドの自白とほぼ重なっていた。そしてアランを見てフロランははっきりと言った。
「気を抜いたら真っ黒な煙にしかみえん。ネイサン王子の紐づいてる何かはアランが近づいたら活性化するしロクサーヌ嬢が近づいたら元気がなくなってる」
アランは早々に神殿に預けられることになった。また神殿の中の浄化も進んでいるようだった。前神官長は『顧問』として神殿に復帰したらしい。
正妃と聖女、正妃の母親は黒魔術の不正利用、違法な集会などで拘束され正妃の離宮隔離が決まった。離宮は守護者と7大精霊、火、水、風、土、雷、氷と無属性、の大精霊の結界で護られ中で何をしても外には漏れないようにされた。鉄の柵で囲まれ、つる薔薇が一晩でその柵を覆った。
大精霊の為に東西南北に神殿のトネリコを挿し木し、グランサニュー公爵夫人は半年間、王都の屋敷から側妃宮に通い、挿し木の成長を促進させた。表向きは第四側妃、第五側妃の家庭教師という事で通っていたので貴族の一部にしか離宮の真の意味は漏れてなかった。雷と氷の大精霊は各自籠を与えている家があり、そこに住んでいるので側妃宮に大精霊の為の樹を植えなくても良いという事だった。
「陛下、……これからが本番ですよ」
グランサニュー公爵夫人と二人のお茶会を守護者の樹の横で開いていた。
「今、貴族の中で黒魔術に影響されている人が多いのは貴女がアグネスを放置していたからです。それはわかってますね?」
陛下は頷いた。大抵グランサニュー公爵夫人とのお茶会は陛下が説教されて終わるのだ。陛下は政治手腕はかなりのものだが人間関係には疎く、貴族間の調整が苦手であった。そのあたり、第二側妃と第三側妃が頑張っているのだ。今回の事は正妃と聖女の暴走で貴族法を犯していたので隔離と表向きは処理されている。
「フロランを使うなら貴方の小姓ってことで雇ってしまうのはどうかしら」
「ウジェから断られたよ。『ずっと王宮に詰めさせるのは無理。もうすでに不満たらたらで俺も突き上げられてる』って」
ウージェーヌは陛下相手にもいつもと同じ調子だった。
「せめて、宰相が前ベルティエ公爵程度にたぬきだったら良いんだけど」
「それは思わなくはないが……」
「エリクが神官じゃ無ければね」
陛下は不思議そうな顔をする。
「エリクを取り立てたらミシェルの家にバランスが偏る」
「そういうのはちゃんと読めるのに……。これから本丸のバスチエ男爵家を責める事になるわね」
陛下の瞳がすっと遠いところを見る目になった。
「いや、アルノー伯爵から、かもしれない。というか……バスチエ男爵家は関係ないかもしれない。あそこは婿、元婿か、が関係してるかも」
陛下はエマにぼそぼそ喋っている。これは陛下が考えている事をまとめる時の癖であった。今回はグランサニュー公爵夫人を相手に考えをまとめようとしているが、普段はセイラ妃だったりミシェル妃だったり相手は変わる。
陛下の考えがまとまるまでグランサニュー公爵夫人はじっと待っていた。
「この状態でお前の妹がここまで来たらもう一度、使用人の洗い直しだったな」
「今の所、ウジェが来てから外に出た使用人は私兵含めt誰もいない」
ジェラールは誇らしげに言った。
「蝶々の手紙だっけ、あれもあるじゃん?ネイサンが母親に送ったりもありえるだろ?」
ジェラールははっとした顔になった。
「対策してなさそうだったからエリクに結界はってもらったよ。結界っていうか……外に出した連絡、蝶々の手紙とかそのあたりな、を全部エリクの所に届くようにしてもらってる。なんか前神官長と楽しそうに魔法陣描いてたわ」
ジェラールは頭を抱えている。
「あのな、ジェラール、こういう謀り事は俺らに任せてお前は堂々と公正明大な公爵様でいてくれ。エリクの無邪気さの裏を知ってるのは俺とジェラールと……多分、前神官長もだな」
「エリクは頭良いからな」
ジェラールは疲れた顔で返した。
エリクからの連絡で正妃、ジェラールの妹と繋がっていたメイドが判り、自白の香を使い屋敷内の正妃の手先を洗いだした。そしてその時にフロランも同席していて、屋敷の中の黒い靄がみえる人間を全てリストアップしてもらったのだが、メイドの自白とほぼ重なっていた。そしてアランを見てフロランははっきりと言った。
「気を抜いたら真っ黒な煙にしかみえん。ネイサン王子の紐づいてる何かはアランが近づいたら活性化するしロクサーヌ嬢が近づいたら元気がなくなってる」
アランは早々に神殿に預けられることになった。また神殿の中の浄化も進んでいるようだった。前神官長は『顧問』として神殿に復帰したらしい。
正妃と聖女、正妃の母親は黒魔術の不正利用、違法な集会などで拘束され正妃の離宮隔離が決まった。離宮は守護者と7大精霊、火、水、風、土、雷、氷と無属性、の大精霊の結界で護られ中で何をしても外には漏れないようにされた。鉄の柵で囲まれ、つる薔薇が一晩でその柵を覆った。
大精霊の為に東西南北に神殿のトネリコを挿し木し、グランサニュー公爵夫人は半年間、王都の屋敷から側妃宮に通い、挿し木の成長を促進させた。表向きは第四側妃、第五側妃の家庭教師という事で通っていたので貴族の一部にしか離宮の真の意味は漏れてなかった。雷と氷の大精霊は各自籠を与えている家があり、そこに住んでいるので側妃宮に大精霊の為の樹を植えなくても良いという事だった。
「陛下、……これからが本番ですよ」
グランサニュー公爵夫人と二人のお茶会を守護者の樹の横で開いていた。
「今、貴族の中で黒魔術に影響されている人が多いのは貴女がアグネスを放置していたからです。それはわかってますね?」
陛下は頷いた。大抵グランサニュー公爵夫人とのお茶会は陛下が説教されて終わるのだ。陛下は政治手腕はかなりのものだが人間関係には疎く、貴族間の調整が苦手であった。そのあたり、第二側妃と第三側妃が頑張っているのだ。今回の事は正妃と聖女の暴走で貴族法を犯していたので隔離と表向きは処理されている。
「フロランを使うなら貴方の小姓ってことで雇ってしまうのはどうかしら」
「ウジェから断られたよ。『ずっと王宮に詰めさせるのは無理。もうすでに不満たらたらで俺も突き上げられてる』って」
ウージェーヌは陛下相手にもいつもと同じ調子だった。
「せめて、宰相が前ベルティエ公爵程度にたぬきだったら良いんだけど」
「それは思わなくはないが……」
「エリクが神官じゃ無ければね」
陛下は不思議そうな顔をする。
「エリクを取り立てたらミシェルの家にバランスが偏る」
「そういうのはちゃんと読めるのに……。これから本丸のバスチエ男爵家を責める事になるわね」
陛下の瞳がすっと遠いところを見る目になった。
「いや、アルノー伯爵から、かもしれない。というか……バスチエ男爵家は関係ないかもしれない。あそこは婿、元婿か、が関係してるかも」
陛下はエマにぼそぼそ喋っている。これは陛下が考えている事をまとめる時の癖であった。今回はグランサニュー公爵夫人を相手に考えをまとめようとしているが、普段はセイラ妃だったりミシェル妃だったり相手は変わる。
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