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第二章
渾身の一撃
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女将は薄くて耳の部分がぷくぷく膨らんだ丸い物、赤くて黄色くて海産物がたっぷり乗った物とたっぷりの柑橘物のスライスをはちみつで浸けたもの、その酸味の強い果汁、そして炭酸水を持ってきた。果汁にスライスと蜜を入れ、氷魔法で出した氷をグラスに入れ、そこに炭酸を注ぐ。
「さらっと混ぜてから飲んでね」
それはさわやかで甘くて冷たかった。女将が持ってきた食べ物、女将はピッツアと呼んでいた、は慣れ親しんだものの組み合わせにたっぷりと魚介のうまみが組み合わさって大変に美味しいものだった。二人は無言で食べて飲んで少し落ち着いた気持ちになった。
「ロゼはどうする?ここで降りる?……この後は大陸が変わるから帰りづらくなるし」
「んー。嫁いだ姉がディアーヌ王国だっけ、そこにいるから姉の所に身を寄せてもいいし、エディの言う通り冒険者自治区でいい男見つけるかもしれないし」
ロゼが強がる。
「でも、エディが良いんでしょ」
マドレーヌの言葉にロゼは笑い、マドレーヌのおでこを弾いた。
「初恋も未だなのにいっぱしの事言うんじゃありません」
そしてロゼは自分が弾いたマドレーヌの額を優しくなでる。
「あんたくらい綺麗ならエディも私を見たかな、モイラくらい可愛ければとかよく考えるんだよ」
マドレーヌはいつも強気のロゼの意外な一面に驚く。しかし思わず口にした言葉にロゼはにんまりと猫の様に笑った。
「エディ、全く私にそんな風な興味、持った事無いと思う。そういう視線は感じたことない」
マドレーヌは男性のそういう欲望のこもった視線には慣れていた。今までアル、エド、エディといてそういう『欲望』を感じたことはなかった。ただし異性からのほのかな憧れの視線にはとんとうとかった。同性からの憧れの視線はいつものこと、という対応になっていた。
「そうね。マドレーヌが好みならなにかしら表に出るわね、エディなら」
ロゼはそこにあったスライスしたレモンを口にする。蜜に浸かったレモンは甘くて酸っぱかった。
「だから、エディなの?」
マドレーヌが訊ねロゼは少し首を傾げて目を伏せる。長いまつ毛がロゼの頬に影を作る。
「そう、なのよね。エディの嘘の付けないところが好きなんだと思う。それと魅了の声なんかもってるから、国にいるとなにかと不自由でね。神殿にも締め付けられるし。モイラもリュカも神殿に誓った体だからあの地を離れられないのよね。あの土地の聖女って事になってるから」
「そういうのがあるんだ。うちの国ならあの位置だと辺境認定で専任の貴族が置かれるの。うちと東の辺境は国全体の瘴気のコントロールの為の場所で瘴気だまりが出来ててね。そこが原因の魔獣退治をしてるわ。北と南は敵の侵攻もあるから大変。ダンジョンがあるのは南かな。モンスター津波対策なんかもしてると思う」
ロゼはマドレーヌの気を紛らわそうとする気持ちは受け取った。そしてこの娘は魔獣退治
にしか興味を持ってこなかったのだなと改めて思った。
「エドとモイラに皆からって結婚祝い送っといた」
マドレーヌとロゼが店に戻ってきて開口一番に言ったのはそれだった。
「何送ったんだ?」
エディが聞いてきてロゼが答える。
「敷物。子の国の名産だからね」
「そっか」
ロゼはにこっと笑うとエディのお腹に渾身のパンチを打ち込んだ。さすがのエディでもうずくまる。
「さっきの侮辱へのお返し。……改めてよろしくね」
ロゼとエディの犬も食わない喧嘩は収まった。4人は冒険者自治区を目指す。帰国までまた一歩、進んだ。
「さらっと混ぜてから飲んでね」
それはさわやかで甘くて冷たかった。女将が持ってきた食べ物、女将はピッツアと呼んでいた、は慣れ親しんだものの組み合わせにたっぷりと魚介のうまみが組み合わさって大変に美味しいものだった。二人は無言で食べて飲んで少し落ち着いた気持ちになった。
「ロゼはどうする?ここで降りる?……この後は大陸が変わるから帰りづらくなるし」
「んー。嫁いだ姉がディアーヌ王国だっけ、そこにいるから姉の所に身を寄せてもいいし、エディの言う通り冒険者自治区でいい男見つけるかもしれないし」
ロゼが強がる。
「でも、エディが良いんでしょ」
マドレーヌの言葉にロゼは笑い、マドレーヌのおでこを弾いた。
「初恋も未だなのにいっぱしの事言うんじゃありません」
そしてロゼは自分が弾いたマドレーヌの額を優しくなでる。
「あんたくらい綺麗ならエディも私を見たかな、モイラくらい可愛ければとかよく考えるんだよ」
マドレーヌはいつも強気のロゼの意外な一面に驚く。しかし思わず口にした言葉にロゼはにんまりと猫の様に笑った。
「エディ、全く私にそんな風な興味、持った事無いと思う。そういう視線は感じたことない」
マドレーヌは男性のそういう欲望のこもった視線には慣れていた。今までアル、エド、エディといてそういう『欲望』を感じたことはなかった。ただし異性からのほのかな憧れの視線にはとんとうとかった。同性からの憧れの視線はいつものこと、という対応になっていた。
「そうね。マドレーヌが好みならなにかしら表に出るわね、エディなら」
ロゼはそこにあったスライスしたレモンを口にする。蜜に浸かったレモンは甘くて酸っぱかった。
「だから、エディなの?」
マドレーヌが訊ねロゼは少し首を傾げて目を伏せる。長いまつ毛がロゼの頬に影を作る。
「そう、なのよね。エディの嘘の付けないところが好きなんだと思う。それと魅了の声なんかもってるから、国にいるとなにかと不自由でね。神殿にも締め付けられるし。モイラもリュカも神殿に誓った体だからあの地を離れられないのよね。あの土地の聖女って事になってるから」
「そういうのがあるんだ。うちの国ならあの位置だと辺境認定で専任の貴族が置かれるの。うちと東の辺境は国全体の瘴気のコントロールの為の場所で瘴気だまりが出来ててね。そこが原因の魔獣退治をしてるわ。北と南は敵の侵攻もあるから大変。ダンジョンがあるのは南かな。モンスター津波対策なんかもしてると思う」
ロゼはマドレーヌの気を紛らわそうとする気持ちは受け取った。そしてこの娘は魔獣退治
にしか興味を持ってこなかったのだなと改めて思った。
「エドとモイラに皆からって結婚祝い送っといた」
マドレーヌとロゼが店に戻ってきて開口一番に言ったのはそれだった。
「何送ったんだ?」
エディが聞いてきてロゼが答える。
「敷物。子の国の名産だからね」
「そっか」
ロゼはにこっと笑うとエディのお腹に渾身のパンチを打ち込んだ。さすがのエディでもうずくまる。
「さっきの侮辱へのお返し。……改めてよろしくね」
ロゼとエディの犬も食わない喧嘩は収まった。4人は冒険者自治区を目指す。帰国までまた一歩、進んだ。
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