悪役令嬢、冒険者になる 【完結】

あくの

文字の大きさ
上 下
87 / 212
第二章

出発するよ

しおりを挟む
 翌日はアルはエドに手伝ってもらってこの国の死霊関連の魔術の事を調べた。

「あと1週間はこの国にいる」

アルが宣言する。

「本屋に本の取り寄せ頼んだからな。それが届くまでだ」

「はーい」

マドレーヌは今日もロゼと出かけるらしい。

「モイラにプレゼント買いに行くの」

エドは早々に宿を引き払ってリュカとモイラの家に入った。下宿、という形らしい。

「リュカはエドを気に入ってモイラと一緒になって欲しいってさ」

エドの引っ越しを手伝ったエディが言う。エディとアルは引っ越しの手伝いにいったようだった。マドレーヌは

「そう」

とだけ呟いている。マドレーヌは自分が抱えてる感情はなんだろうと思っていた。恋愛感情というものではなさそうで、言い方は良くないがお気に入りの玩具を年下の子供にあげた時の感情が経験した中で一番近いな、と思った。
 次の国行くまでの間、ロゼは神殿でアルにくっついていた「悪意」のような靄は今回のダンジョンコアとは関係なさそうだと返事をもらった。ただ、アルが死霊使いについて調べているのを見て神殿に死霊使いや死体使いも調べて置いたらいいのではと進言しておいた。神殿は彼らを下に見ていて『取るに足りない存在』と思った居るようだった。ロゼは一応その話を兄達にしておいた。グランが自分の方でも調査しておくと請け負ってくれた。またこの兄弟は御ルド利用の連絡システムの事は知っていたのでロゼはエディに着いて行っても他国に着いてすぐと国を出る前には連絡しろ、と約束させられていた。



 出立の日、エドはモイラ、リュカと共に見送りに来た。

「エドはどうするの?」

「この国の大学に行くよ。学生をやりながら冒険者も週末にして、モイラを守れるようにする」

モイラはうれしそうに照れ笑いする。マドレーヌはエドに別れを告げる。

「あの国からお世話になったわ。ありがとう」

じっとマドレーヌの紫ががった青い目で見つめられてエドは少しどぎまぎする。いくらモイラを好いていてもマドレーヌの美貌はその程度の破壊力はあった。モイラはちょっと妬けたけれど自分が見つめられてもドキドキするものんなと考え直す。

「ロゼ姉、言っちゃうんだ」

「エディを口説くからね」

「帰ってくる?」

モイラが目に涙を貯めている。

「わからん。確実な薬草はできないな」

ロゼは正直に返す。

「でも、手紙は書くよ。それは約束する」

「わかった。私も書くから。グランさんに一緒にだしてもらうね」

ロゼは頷いた。

「ちゃんと神殿の仕事もするんだよ」

ロゼはモイラの頭を撫でた。


 アル、エディ、マドレーヌ、ロゼの4人は次の国へと東の国の商会のネットワークを利用して旅立った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元婚約者が「俺の子を育てろ」と言って来たのでボコろうと思います。

音爽(ネソウ)
恋愛
結婚間近だった彼が使用人の娘と駆け落ちをしてしまった、私は傷心の日々を過ごしたがなんとか前を向くことに。しかし、裏切り行為から3年が経ったある日…… *体調を崩し絶不調につきリハビリ作品です。長い目でお読みいただければ幸いです。

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

姉から奪うことしかできない妹は、ザマァされました

饕餮
ファンタジー
わたくしは、オフィリア。ジョンパルト伯爵家の長女です。 わたくしには双子の妹がいるのですが、使用人を含めた全員が妹を溺愛するあまり、我儘に育ちました。 しかもわたくしと色違いのものを両親から与えられているにもかかわらず、なぜかわたくしのものを欲しがるのです。 末っ子故に甘やかされ、泣いて喚いて駄々をこね、暴れるという貴族女性としてはあるまじき行為をずっとしてきたからなのか、手に入らないものはないと考えているようです。 そんなあざといどころかあさましい性根を持つ妹ですから、いつの間にか両親も兄も、使用人たちですらも絆されてしまい、たとえ嘘であったとしても妹の言葉を鵜呑みにするようになってしまいました。 それから数年が経ち、学園に入学できる年齢になりました。が、そこで兄と妹は―― n番煎じのよくある妹が姉からものを奪うことしかしない系の話です。 全15話。 ※カクヨムでも公開しています

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

野生児少女の生存日記

花見酒
ファンタジー
とある村に住んでいた少女、とある鑑定式にて自身の適性が無属性だった事で危険な森に置き去りにされ、その森で生き延びた少女の物語

(完結)「君を愛することはない」と言われて……

青空一夏
恋愛
ずっと憧れていた方に嫁げることになった私は、夫となった男性から「君を愛することはない」と言われてしまった。それでも、彼に尽くして温かい家庭をつくるように心がければ、きっと愛してくださるはずだろうと思っていたのよ。ところが、彼には好きな方がいて忘れることができないようだったわ。私は彼を諦めて実家に帰ったほうが良いのかしら? この物語は憧れていた男性の妻になったけれど冷たくされたお嬢様を守る戦闘侍女たちの活躍と、お嬢様の恋を描いた作品です。 主人公はお嬢様と3人の侍女かも。ヒーローの存在感増すようにがんばります! という感じで、それぞれの視点もあります。 以前書いたもののリメイク版です。多分、かなりストーリーが変わっていくと思うので、新しい作品としてお読みください。 ※カクヨム。なろうにも時差投稿します。 ※作者独自の世界です。

新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!

月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。 そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。 新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ―――― 自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。 天啓です! と、アルムは―――― 表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜

福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。 彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。 だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。 「お義姉さま!」           . . 「姉などと呼ばないでください、メリルさん」 しかし、今はまだ辛抱のとき。 セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。 ──これは、20年前の断罪劇の続き。 喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。 ※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。 旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』 ※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。 ※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。

処理中です...