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第二章
ウージェーヌと公爵は出番がない
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家の中の青い炎が揺れると家自身が震える。そう、バスティエ公爵の領地の館で神官長が前バスティエ公爵の半死骸化を治しきった直後だった。ウージェーヌと公爵はわかっていなかったが前神官長とルカは判っていたようで二人が無言で家の方へ行ったので慌ててウージェーヌと公爵もついていった。
ルカと前神官長が家の外にずぶずぶと杭を刺していく。家が一回り、杭で囲まれた時に前神官長がいう。
「これで暫く結界の外には出れないからな?」
「暫く?」
グランサニュー公爵の問いに答えが帰る。
「俺とルカが死ぬか、中の死体を何とかするかだな」
前神官長は縁起でもない事を落ち着いて言う。
「ま、荒事になったら俺と振グランサニューのおっちゃんの担当ってことかな」
ウージェーヌは落ち着いている。公爵ははぁと溜息をつく。
「そうだよな、ウジェはそう言うやつだ」
ルカと前神官長は笑う。
「ウジェに緊張感求めても無駄ですよ」
ルカが言い前神官長も付け加える。
「グランジエの血には緊張感はないな」
「……知ってた」
グランサニュー公爵も少しほぐれたようだった。公爵は前神官長に申告する。
「アンデット退治の経験は俺ないぞ、ドニ」
「何事も初体験はあるものだよ」
妙に悟った顔で前神官長が発言し皆で笑う。
「ま、入るか」
「入らないと始まらんな」
ルカがにこっとしたあと扉をノックした。
「お邪魔しまーす」
ウージェーヌが小さな声でいうと前神官長が少し吹き出し、小さな声で呟く。
「ほう、ちゃんと死骸のぶりをしてくれてるな」
ぼぅっと光った前ベルティエ公爵の愛人の『死骸』は先ほどの位置ではなく奥のベッドに横たわっている。
「奥さーん、寝たふりしなくていいですよ」
ウージェーヌの声を無視するかのように横たわったままであったが、ルカと前神官長が同時に部屋中に聖水を撒きはじめ、二人が朗々と聖句を唱え始めた瞬間、ぐわっと口を開いて起き上がった。
「本人の死骸化かな?」
「本人?」
「この女性がネクロマンサーじゃないの?」
ウージェーヌが公爵に言う。結界の外で戦闘が始まった気配がする。
「ありゃ、結界の外にいたか」
「のようだな」
ウージェーヌとグランサニュー公爵は手持ちぶさたそうであった。この二人はこの女性が眷属とした死体対策で前神官長とルカに着いてきていたのだ。
「お、ベッドの上に行動範囲を限定したな」
公爵が珍しそうに見ている。床はほぼ全て聖水で濡れているし、力のある人間の聖句で死骸は動きが鈍い。
「よし」
死骸は人の言葉を話さなかった。話せないのか話さないのかはわからない。
「やっぱあの女と似てるな」
「正妃か?」
ウージェーヌが腑に落ちた表情になった。
「あ、正妃にも似てるのか。いや、うちの娘が遠くに行った原因の子。バスチエ男爵の娘。リディとか言ったかな。事件があった後、バスチエ男爵の家に見に行った。その時に誰かに似てるって悩んだんだけどね」
「領地に帰ったらさっそく調べるか」
グランサニュー公爵の表情が厳しくなった。
ルカと前神官長が家の外にずぶずぶと杭を刺していく。家が一回り、杭で囲まれた時に前神官長がいう。
「これで暫く結界の外には出れないからな?」
「暫く?」
グランサニュー公爵の問いに答えが帰る。
「俺とルカが死ぬか、中の死体を何とかするかだな」
前神官長は縁起でもない事を落ち着いて言う。
「ま、荒事になったら俺と振グランサニューのおっちゃんの担当ってことかな」
ウージェーヌは落ち着いている。公爵ははぁと溜息をつく。
「そうだよな、ウジェはそう言うやつだ」
ルカと前神官長は笑う。
「ウジェに緊張感求めても無駄ですよ」
ルカが言い前神官長も付け加える。
「グランジエの血には緊張感はないな」
「……知ってた」
グランサニュー公爵も少しほぐれたようだった。公爵は前神官長に申告する。
「アンデット退治の経験は俺ないぞ、ドニ」
「何事も初体験はあるものだよ」
妙に悟った顔で前神官長が発言し皆で笑う。
「ま、入るか」
「入らないと始まらんな」
ルカがにこっとしたあと扉をノックした。
「お邪魔しまーす」
ウージェーヌが小さな声でいうと前神官長が少し吹き出し、小さな声で呟く。
「ほう、ちゃんと死骸のぶりをしてくれてるな」
ぼぅっと光った前ベルティエ公爵の愛人の『死骸』は先ほどの位置ではなく奥のベッドに横たわっている。
「奥さーん、寝たふりしなくていいですよ」
ウージェーヌの声を無視するかのように横たわったままであったが、ルカと前神官長が同時に部屋中に聖水を撒きはじめ、二人が朗々と聖句を唱え始めた瞬間、ぐわっと口を開いて起き上がった。
「本人の死骸化かな?」
「本人?」
「この女性がネクロマンサーじゃないの?」
ウージェーヌが公爵に言う。結界の外で戦闘が始まった気配がする。
「ありゃ、結界の外にいたか」
「のようだな」
ウージェーヌとグランサニュー公爵は手持ちぶさたそうであった。この二人はこの女性が眷属とした死体対策で前神官長とルカに着いてきていたのだ。
「お、ベッドの上に行動範囲を限定したな」
公爵が珍しそうに見ている。床はほぼ全て聖水で濡れているし、力のある人間の聖句で死骸は動きが鈍い。
「よし」
死骸は人の言葉を話さなかった。話せないのか話さないのかはわからない。
「やっぱあの女と似てるな」
「正妃か?」
ウージェーヌが腑に落ちた表情になった。
「あ、正妃にも似てるのか。いや、うちの娘が遠くに行った原因の子。バスチエ男爵の娘。リディとか言ったかな。事件があった後、バスチエ男爵の家に見に行った。その時に誰かに似てるって悩んだんだけどね」
「領地に帰ったらさっそく調べるか」
グランサニュー公爵の表情が厳しくなった。
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