悪役令嬢、冒険者になる 【完結】

あくの

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第二章

ダンジョン掃除 7

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 アル達はかなり苦労して先に進み、ボス部屋の前でロゼたちと落ち合った。

「入る前に水分とってなんかちょっと喰っとけ。殆どすぐにボス部屋入るぞ。ヒーラーたち、魔術師たちは最初の強化をかけおえたら隅に座って休んどけ。中盤まで出番ないしな。中盤までは俺達はポーション対応だ。ポーションない奴は運搬人に言え」

アルとエディはまだ保温の魔法がかかっている熱い紅茶と宿で焼いてもらった一口大のみっしりとした焼き菓子を口にほりこむ。これははちみつで味をつけてあるのでかなり甘い。
甘さを熱い紅茶で流した。

「おもしろいもん喰ってるね」

「ああ、たべる?」

エディはロゼの掌にそのクッキーを乗せた。ロゼはぱくりとキューブ型の重めのいクッキーを食べる。

「へぇ、しっかりしてるね。味も悪くない」

マドレーヌが姉マリアンヌからレシピを取り寄せて宿で作ってもらった行動食である。正
直マドレーヌは獲物はさばき、串を打って焼く、くらいは出来るのだが調理の腕はお察
しというところであった。

「同行者が実家で作ってる携行食らしい。その子の実家が辺境で魔獣退治を良くするからこういう日持ちがするのをつくってるんだと。……口の中の水分持っていかれるけどな」

エディが笑いロゼも笑った。そしてエディの手にあった紅茶をロゼは受け取り喉を潤した。

「そろそろかな、最初のうちはヒーラーは魔力回復してもらわんとな」

エディがアルに言い、アルも頷いた。



「行くぞ」

リーダーから声がかかる。ぞろぞろとボス部屋に入り壁際に張り付く。逆の壁際には人より頭一つ分大きな獣と目を瞑っている一つ目の巨人、そして大きな石が壁にはめ込まれて血に近い色まで赤くなっている。

「やばいな」

ロゼが呟く。アルとエディが判らないので訊ねる視線を送る。

「ああ、……後ろのがダンジョンコアでね。あれが完全に血の色になったらモンスター津波発生、かな」

「やばくねぇか、あの色」

冒険者の中から声が上がる。

「そう。今回のにモイラを連れてきたのはこのためなのよ。あの狼と巨人の気がこっちに完全に向いたらモイラとリーダーはダンジョンコアにかかりきりになるからね。あたしたちでやらないと」

そう言ってロゼはリーダーの元に行った。

 巨人は感知範囲が狭い。なので最初は感知範囲外からボウガンを使う数人が弱体の弾を打ち込み、巨人と獣をヒーラーが休んでいる場所とは違う場所で戦う。
 そしてモイラとリュカがダンジョンコアを鎮めている間に、巨人と獣を同時に倒さなければいけない。どちらかが生き残ると両方復活するからだ。

「多少のタイムラグはあってもいいがな」

とリーダーがいう。

「最期は巨人は胸にある弱点が露呈するからそこねらって、獣は首な」

「最初から弱点狙って一気にいけばいいのでは?」

アルの質問にロゼが答える。

「ある程度あいつらを弱らせないとダンジョンコアを鎮められなくなるからね。あいつらは一応コアと連動してるみたいなんだ。一気に落しちゃうとコアがあのままでね。コアの色が薄くなってくるからそしたらあいつらをやっていい、ってことらしい。ギルドが見つけたやり方なんだけどね。……モイラの聖女としての力が圧倒的なら一気もできるけど、あの子は普通の聖女の力だから無理や無茶は出来ない」

「そういう仕掛けがあるなら教えておいて欲しいな」

他の冒険者から不満の声があがる。

「すまん、俺が説明してなかった」

リュカは謝った。
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