69 / 212
第二章
ダンジョン掃除 7
しおりを挟む
アル達はかなり苦労して先に進み、ボス部屋の前でロゼたちと落ち合った。
「入る前に水分とってなんかちょっと喰っとけ。殆どすぐにボス部屋入るぞ。ヒーラーたち、魔術師たちは最初の強化をかけおえたら隅に座って休んどけ。中盤まで出番ないしな。中盤までは俺達はポーション対応だ。ポーションない奴は運搬人に言え」
アルとエディはまだ保温の魔法がかかっている熱い紅茶と宿で焼いてもらった一口大のみっしりとした焼き菓子を口にほりこむ。これははちみつで味をつけてあるのでかなり甘い。
甘さを熱い紅茶で流した。
「おもしろいもん喰ってるね」
「ああ、たべる?」
エディはロゼの掌にそのクッキーを乗せた。ロゼはぱくりとキューブ型の重めのいクッキーを食べる。
「へぇ、しっかりしてるね。味も悪くない」
マドレーヌが姉マリアンヌからレシピを取り寄せて宿で作ってもらった行動食である。正
直マドレーヌは獲物はさばき、串を打って焼く、くらいは出来るのだが調理の腕はお察
しというところであった。
「同行者が実家で作ってる携行食らしい。その子の実家が辺境で魔獣退治を良くするからこういう日持ちがするのをつくってるんだと。……口の中の水分持っていかれるけどな」
エディが笑いロゼも笑った。そしてエディの手にあった紅茶をロゼは受け取り喉を潤した。
「そろそろかな、最初のうちはヒーラーは魔力回復してもらわんとな」
エディがアルに言い、アルも頷いた。
「行くぞ」
リーダーから声がかかる。ぞろぞろとボス部屋に入り壁際に張り付く。逆の壁際には人より頭一つ分大きな獣と目を瞑っている一つ目の巨人、そして大きな石が壁にはめ込まれて血に近い色まで赤くなっている。
「やばいな」
ロゼが呟く。アルとエディが判らないので訊ねる視線を送る。
「ああ、……後ろのがダンジョンコアでね。あれが完全に血の色になったらモンスター津波発生、かな」
「やばくねぇか、あの色」
冒険者の中から声が上がる。
「そう。今回のにモイラを連れてきたのはこのためなのよ。あの狼と巨人の気がこっちに完全に向いたらモイラとリーダーはダンジョンコアにかかりきりになるからね。あたしたちでやらないと」
そう言ってロゼはリーダーの元に行った。
巨人は感知範囲が狭い。なので最初は感知範囲外からボウガンを使う数人が弱体の弾を打ち込み、巨人と獣をヒーラーが休んでいる場所とは違う場所で戦う。
そしてモイラとリュカがダンジョンコアを鎮めている間に、巨人と獣を同時に倒さなければいけない。どちらかが生き残ると両方復活するからだ。
「多少のタイムラグはあってもいいがな」
とリーダーがいう。
「最期は巨人は胸にある弱点が露呈するからそこねらって、獣は首な」
「最初から弱点狙って一気にいけばいいのでは?」
アルの質問にロゼが答える。
「ある程度あいつらを弱らせないとダンジョンコアを鎮められなくなるからね。あいつらは一応コアと連動してるみたいなんだ。一気に落しちゃうとコアがあのままでね。コアの色が薄くなってくるからそしたらあいつらをやっていい、ってことらしい。ギルドが見つけたやり方なんだけどね。……モイラの聖女としての力が圧倒的なら一気もできるけど、あの子は普通の聖女の力だから無理や無茶は出来ない」
「そういう仕掛けがあるなら教えておいて欲しいな」
他の冒険者から不満の声があがる。
「すまん、俺が説明してなかった」
リュカは謝った。
「入る前に水分とってなんかちょっと喰っとけ。殆どすぐにボス部屋入るぞ。ヒーラーたち、魔術師たちは最初の強化をかけおえたら隅に座って休んどけ。中盤まで出番ないしな。中盤までは俺達はポーション対応だ。ポーションない奴は運搬人に言え」
アルとエディはまだ保温の魔法がかかっている熱い紅茶と宿で焼いてもらった一口大のみっしりとした焼き菓子を口にほりこむ。これははちみつで味をつけてあるのでかなり甘い。
甘さを熱い紅茶で流した。
「おもしろいもん喰ってるね」
「ああ、たべる?」
エディはロゼの掌にそのクッキーを乗せた。ロゼはぱくりとキューブ型の重めのいクッキーを食べる。
「へぇ、しっかりしてるね。味も悪くない」
マドレーヌが姉マリアンヌからレシピを取り寄せて宿で作ってもらった行動食である。正
直マドレーヌは獲物はさばき、串を打って焼く、くらいは出来るのだが調理の腕はお察
しというところであった。
「同行者が実家で作ってる携行食らしい。その子の実家が辺境で魔獣退治を良くするからこういう日持ちがするのをつくってるんだと。……口の中の水分持っていかれるけどな」
エディが笑いロゼも笑った。そしてエディの手にあった紅茶をロゼは受け取り喉を潤した。
「そろそろかな、最初のうちはヒーラーは魔力回復してもらわんとな」
エディがアルに言い、アルも頷いた。
「行くぞ」
リーダーから声がかかる。ぞろぞろとボス部屋に入り壁際に張り付く。逆の壁際には人より頭一つ分大きな獣と目を瞑っている一つ目の巨人、そして大きな石が壁にはめ込まれて血に近い色まで赤くなっている。
「やばいな」
ロゼが呟く。アルとエディが判らないので訊ねる視線を送る。
「ああ、……後ろのがダンジョンコアでね。あれが完全に血の色になったらモンスター津波発生、かな」
「やばくねぇか、あの色」
冒険者の中から声が上がる。
「そう。今回のにモイラを連れてきたのはこのためなのよ。あの狼と巨人の気がこっちに完全に向いたらモイラとリーダーはダンジョンコアにかかりきりになるからね。あたしたちでやらないと」
そう言ってロゼはリーダーの元に行った。
巨人は感知範囲が狭い。なので最初は感知範囲外からボウガンを使う数人が弱体の弾を打ち込み、巨人と獣をヒーラーが休んでいる場所とは違う場所で戦う。
そしてモイラとリュカがダンジョンコアを鎮めている間に、巨人と獣を同時に倒さなければいけない。どちらかが生き残ると両方復活するからだ。
「多少のタイムラグはあってもいいがな」
とリーダーがいう。
「最期は巨人は胸にある弱点が露呈するからそこねらって、獣は首な」
「最初から弱点狙って一気にいけばいいのでは?」
アルの質問にロゼが答える。
「ある程度あいつらを弱らせないとダンジョンコアを鎮められなくなるからね。あいつらは一応コアと連動してるみたいなんだ。一気に落しちゃうとコアがあのままでね。コアの色が薄くなってくるからそしたらあいつらをやっていい、ってことらしい。ギルドが見つけたやり方なんだけどね。……モイラの聖女としての力が圧倒的なら一気もできるけど、あの子は普通の聖女の力だから無理や無茶は出来ない」
「そういう仕掛けがあるなら教えておいて欲しいな」
他の冒険者から不満の声があがる。
「すまん、俺が説明してなかった」
リュカは謝った。
7
お気に入りに追加
74
あなたにおすすめの小説

元婚約者が「俺の子を育てろ」と言って来たのでボコろうと思います。
音爽(ネソウ)
恋愛
結婚間近だった彼が使用人の娘と駆け落ちをしてしまった、私は傷心の日々を過ごしたがなんとか前を向くことに。しかし、裏切り行為から3年が経ったある日……
*体調を崩し絶不調につきリハビリ作品です。長い目でお読みいただければ幸いです。

新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!
月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。
そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。
新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ――――
自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。
天啓です! と、アルムは――――
表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。

姉から奪うことしかできない妹は、ザマァされました
饕餮
ファンタジー
わたくしは、オフィリア。ジョンパルト伯爵家の長女です。
わたくしには双子の妹がいるのですが、使用人を含めた全員が妹を溺愛するあまり、我儘に育ちました。
しかもわたくしと色違いのものを両親から与えられているにもかかわらず、なぜかわたくしのものを欲しがるのです。
末っ子故に甘やかされ、泣いて喚いて駄々をこね、暴れるという貴族女性としてはあるまじき行為をずっとしてきたからなのか、手に入らないものはないと考えているようです。
そんなあざといどころかあさましい性根を持つ妹ですから、いつの間にか両親も兄も、使用人たちですらも絆されてしまい、たとえ嘘であったとしても妹の言葉を鵜呑みにするようになってしまいました。
それから数年が経ち、学園に入学できる年齢になりました。が、そこで兄と妹は――
n番煎じのよくある妹が姉からものを奪うことしかしない系の話です。
全15話。
※カクヨムでも公開しています
拝啓、愛しの侯爵様~行き遅れ令嬢ですが、運命の人は案外近くにいたようです~
藤原ライラ
ファンタジー
心を奪われた手紙の先には、運命の人が待っていた――
子爵令嬢のキャロラインは、両親を早くに亡くし、年の離れた弟の面倒を見ているうちにすっかり婚期を逃しつつあった。夜会でも誰からも相手にされない彼女は、新しい出会いを求めて文通を始めることに。届いた美しい字で洗練された内容の手紙に、相手はきっとうんと年上の素敵なおじ様のはずだとキャロラインは予想する。
彼とのやり取りにときめく毎日だがそれに難癖をつける者がいた。幼馴染で侯爵家の嫡男、クリストファーである。
「理想の相手なんかに巡り合えるわけないだろう。現実を見た方がいい」
四つ年下の彼はいつも辛辣で彼女には冷たい。
そんな時キャロラインは、夜会で想像した文通相手とそっくりな人物に出会ってしまう……。
文通相手の正体は一体誰なのか。そしてキャロラインの恋の行方は!?
じれじれ両片思いです。
※他サイトでも掲載しています。
イラスト:ひろ様(https://xfolio.jp/portfolio/hiro_foxtail)

家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。

私のお父様とパパ様
棗
ファンタジー
非常に過保護で愛情深い二人の父親から愛される娘メアリー。
婚約者の皇太子と毎月あるお茶会で顔を合わせるも、彼の隣には幼馴染の女性がいて。
大好きなお父様とパパ様がいれば、皇太子との婚約は白紙になっても何も問題はない。
※箱入り娘な主人公と娘溺愛過保護な父親コンビのとある日のお話。
追記(2021/10/7)
お茶会の後を追加します。
更に追記(2022/3/9)
連載として再開します。

前代未聞のダンジョンメーカー
黛 ちまた
ファンタジー
七歳になったアシュリーが神から授けられたスキルは"テイマー"、"魔法"、"料理"、"ダンジョンメーカー"。
けれどどれも魔力が少ない為、イマイチ。
というか、"ダンジョンメーカー"って何ですか?え?亜空間を作り出せる能力?でも弱くて使えない?
そんなアシュリーがかろうじて使える料理で自立しようとする、のんびりお料理話です。
小説家になろうでも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる