57 / 212
第二章
ダンジョン掃除 1
しおりを挟む
翌朝、エディがマジックバッグの説明を受ける。最新のマジックバッグはウエストポーチ型とボディバッグ型にしてある。
「マドレーヌちゃんとエドの分は?」
「これ」
二人とも自分のマジックバッグを指す。エディが言う。
「こんな新品貰うのも気がひけるんだけど」
アルが説明する。
「俺の父親からの依頼だそうだ。荷物は軽いほうがいいからな。マドレーヌはそういう物品に目が利くのでマドレーヌの父親通しての依頼だってさ」
「行き届いた親父さんだな。なんで今まで連絡取ってなかったんだ?」
エディが疑問を口にする。
「……ギルドの手紙のシステムとかマドレーヌに聞いて初めて知ったからな」
エディは納得した。自分たちもマドレーヌに教えてもらうまでギルドでの識字学級の事や基本的な算術を教えてくれることなどまったく知らなかったからだ。
「ほんとにマドレーヌちゃんは良く知ってるなぁ」
「そりゃ叩き込まれたもの」
マドレーヌはさらりと流す。
「今日はギルドに行って受ける仕事あるか見ようか」
アルが提案し、他の三人も頷いた。ここからは別行動になる。好きな仕事を好きに受けるし、パーティ案件なら相談をするという事で決まった。
「なぁ、これ受けないか?」
それは下級から中級クラスの大規模ダンジョン掃討戦、ダンジョン掃除と呼ばれるものだった、エドは初級で浅い階層でスライム潰し、マドレーヌは弓で補助を、エディとアルは斧と剣で本体で深い段階まで集団で行きスタンピート、モンスター津波の名残の魔物を削るという事でギルドに振り分けられた。
「エド、慣れない事だけど頑張れよ」
「スライムとか角ウサギは子供の頃から小遣い稼ぎだったからね」
「モンスター津波後かぁ。案外と浅い階層掃除の方が忙しいかも。角ウサギもスライムも繁殖サイクル早いから……ダンジョン掃除。意外と苦労するかもよ、エド」
エドはマドレーヌの言葉に苦笑いだった。
「俺が一番ギルドのポイント稼ぎたいから頑張るさ。薬草摘みだと貰えるギルドポイントも低いしね」
「とにかく補給大事にね。スライムの体力じゃなくて自分の体力削らないように」
エドははいはいと話を聞いていた。
当日、エドは一番人数の多iD班に入った。マドレーヌは3階層目でA班が取りこぼしたモンスターをそれ以上上の階層にいかせない役目を担った。これはA班が進むにつれ各階層の入口におかれる。これをC班とし、A班のサポートをするのがB班で聖女とヒーラーで構成されていた。アルとエディはA班であった。B班の聖女はアルに興味を持ったらしくダンジョンに入る前から付きまとっている。マドレーヌはによによとその様子を見ていた。
マドレーヌが矢の本数の再確認をしているとずんずんとアルが近づいてきた。聖女がアルにまとわりついている。
「彼女が俺の婚約者だから。君が何を言ってもだめだよ。俺は彼女がいいんだ」
マドレーヌは何が起こっているのか全く理解していない。
「アル?何の話?」
アルが母国語で小さな声でマドレーヌに伝える。
「話合わせて。君は僕の婚約者ってことで」
マドレーヌはよくわからんがまぁ、後で問いただすと心に決める。
あわいピンクブロンドの聖女は確かに愛らしいが、婚約者だという冒険者は群を抜いて美しかった。銀糸の髪に紫がかった蒼の宝石のような瞳。品のある顔立ち。聖女は少しだけ引いた。しかし、聖女はしぶとかった。
「でも今はあたしが一緒についていくから。この子はスライム番でしょ?あたしの方があなたの役に立つわ」
「……君の手を煩わさないようにするよ。ポーションとか持ってきてない人の為にその力は役にたててくれ」
マドレーヌは二人のやり取りを興味なさげに見ている。
「あなた、言うことないの?」
聖女はきっとマドレーヌを睨む。マドレーヌはわざとらしくおっとりと返す。
「アルの御心のままに」
「マドレーヌちゃんとエドの分は?」
「これ」
二人とも自分のマジックバッグを指す。エディが言う。
「こんな新品貰うのも気がひけるんだけど」
アルが説明する。
「俺の父親からの依頼だそうだ。荷物は軽いほうがいいからな。マドレーヌはそういう物品に目が利くのでマドレーヌの父親通しての依頼だってさ」
「行き届いた親父さんだな。なんで今まで連絡取ってなかったんだ?」
エディが疑問を口にする。
「……ギルドの手紙のシステムとかマドレーヌに聞いて初めて知ったからな」
エディは納得した。自分たちもマドレーヌに教えてもらうまでギルドでの識字学級の事や基本的な算術を教えてくれることなどまったく知らなかったからだ。
「ほんとにマドレーヌちゃんは良く知ってるなぁ」
「そりゃ叩き込まれたもの」
マドレーヌはさらりと流す。
「今日はギルドに行って受ける仕事あるか見ようか」
アルが提案し、他の三人も頷いた。ここからは別行動になる。好きな仕事を好きに受けるし、パーティ案件なら相談をするという事で決まった。
「なぁ、これ受けないか?」
それは下級から中級クラスの大規模ダンジョン掃討戦、ダンジョン掃除と呼ばれるものだった、エドは初級で浅い階層でスライム潰し、マドレーヌは弓で補助を、エディとアルは斧と剣で本体で深い段階まで集団で行きスタンピート、モンスター津波の名残の魔物を削るという事でギルドに振り分けられた。
「エド、慣れない事だけど頑張れよ」
「スライムとか角ウサギは子供の頃から小遣い稼ぎだったからね」
「モンスター津波後かぁ。案外と浅い階層掃除の方が忙しいかも。角ウサギもスライムも繁殖サイクル早いから……ダンジョン掃除。意外と苦労するかもよ、エド」
エドはマドレーヌの言葉に苦笑いだった。
「俺が一番ギルドのポイント稼ぎたいから頑張るさ。薬草摘みだと貰えるギルドポイントも低いしね」
「とにかく補給大事にね。スライムの体力じゃなくて自分の体力削らないように」
エドははいはいと話を聞いていた。
当日、エドは一番人数の多iD班に入った。マドレーヌは3階層目でA班が取りこぼしたモンスターをそれ以上上の階層にいかせない役目を担った。これはA班が進むにつれ各階層の入口におかれる。これをC班とし、A班のサポートをするのがB班で聖女とヒーラーで構成されていた。アルとエディはA班であった。B班の聖女はアルに興味を持ったらしくダンジョンに入る前から付きまとっている。マドレーヌはによによとその様子を見ていた。
マドレーヌが矢の本数の再確認をしているとずんずんとアルが近づいてきた。聖女がアルにまとわりついている。
「彼女が俺の婚約者だから。君が何を言ってもだめだよ。俺は彼女がいいんだ」
マドレーヌは何が起こっているのか全く理解していない。
「アル?何の話?」
アルが母国語で小さな声でマドレーヌに伝える。
「話合わせて。君は僕の婚約者ってことで」
マドレーヌはよくわからんがまぁ、後で問いただすと心に決める。
あわいピンクブロンドの聖女は確かに愛らしいが、婚約者だという冒険者は群を抜いて美しかった。銀糸の髪に紫がかった蒼の宝石のような瞳。品のある顔立ち。聖女は少しだけ引いた。しかし、聖女はしぶとかった。
「でも今はあたしが一緒についていくから。この子はスライム番でしょ?あたしの方があなたの役に立つわ」
「……君の手を煩わさないようにするよ。ポーションとか持ってきてない人の為にその力は役にたててくれ」
マドレーヌは二人のやり取りを興味なさげに見ている。
「あなた、言うことないの?」
聖女はきっとマドレーヌを睨む。マドレーヌはわざとらしくおっとりと返す。
「アルの御心のままに」
8
お気に入りに追加
74
あなたにおすすめの小説

元婚約者が「俺の子を育てろ」と言って来たのでボコろうと思います。
音爽(ネソウ)
恋愛
結婚間近だった彼が使用人の娘と駆け落ちをしてしまった、私は傷心の日々を過ごしたがなんとか前を向くことに。しかし、裏切り行為から3年が経ったある日……
*体調を崩し絶不調につきリハビリ作品です。長い目でお読みいただければ幸いです。

姉から奪うことしかできない妹は、ザマァされました
饕餮
ファンタジー
わたくしは、オフィリア。ジョンパルト伯爵家の長女です。
わたくしには双子の妹がいるのですが、使用人を含めた全員が妹を溺愛するあまり、我儘に育ちました。
しかもわたくしと色違いのものを両親から与えられているにもかかわらず、なぜかわたくしのものを欲しがるのです。
末っ子故に甘やかされ、泣いて喚いて駄々をこね、暴れるという貴族女性としてはあるまじき行為をずっとしてきたからなのか、手に入らないものはないと考えているようです。
そんなあざといどころかあさましい性根を持つ妹ですから、いつの間にか両親も兄も、使用人たちですらも絆されてしまい、たとえ嘘であったとしても妹の言葉を鵜呑みにするようになってしまいました。
それから数年が経ち、学園に入学できる年齢になりました。が、そこで兄と妹は――
n番煎じのよくある妹が姉からものを奪うことしかしない系の話です。
全15話。
※カクヨムでも公開しています

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。


【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜
福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。
彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。
だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。
「お義姉さま!」 . .
「姉などと呼ばないでください、メリルさん」
しかし、今はまだ辛抱のとき。
セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。
──これは、20年前の断罪劇の続き。
喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。
※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。
旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』
※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。
※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。
(完結)「君を愛することはない」と言われて……
青空一夏
恋愛
ずっと憧れていた方に嫁げることになった私は、夫となった男性から「君を愛することはない」と言われてしまった。それでも、彼に尽くして温かい家庭をつくるように心がければ、きっと愛してくださるはずだろうと思っていたのよ。ところが、彼には好きな方がいて忘れることができないようだったわ。私は彼を諦めて実家に帰ったほうが良いのかしら?
この物語は憧れていた男性の妻になったけれど冷たくされたお嬢様を守る戦闘侍女たちの活躍と、お嬢様の恋を描いた作品です。
主人公はお嬢様と3人の侍女かも。ヒーローの存在感増すようにがんばります! という感じで、それぞれの視点もあります。
以前書いたもののリメイク版です。多分、かなりストーリーが変わっていくと思うので、新しい作品としてお読みください。
※カクヨム。なろうにも時差投稿します。
※作者独自の世界です。
新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!
月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。
そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。
新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ――――
自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。
天啓です! と、アルムは――――
表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる